SUEP.が語る
「清里のグラスハウス」で一番
ドキドキした建材とは

今回CLASS1 ARCHITECT Vol.04で特集した「清里のグラスハウス」を手掛けたSUEP.のお話からは、環境に配慮した設計のこだわりが読み取れる。特に、断熱性能や素材感・ムラ感の重視は、彼らのポリシーに沿うテーマだ。そんなSUEP.へのインタビューの中で、誌面に掲載できなかったお話をいくつか取り上げて紹介する。

本誌の記事はこちら

LIMITED STORY #01
「子供に自然の中で遊んでほしい」
という要望を受けて

「清里のグラスハウス」の施主は、3人の子供がいる5人家族であった。元々自然エネルギーを活用する暮らしには興味があったという。

「都会で育つと自然で遊ぶ機会がなく、漫画やゲームで遊ぶことが多くなってしまう。子供にはもっと自然の中で遊んで欲しい」という施主の要望を受けたSUEP.は、外【自然】と中【室内】を完全に分けない建物をと考えた。

その考えが最もわかりやすく現れているのが、自然と暮らしがゆるやかに繋がる、「外のような中」を実現した土仕上げの温室である。

自然が多いという環境を使って、半分キャンプをしているような、自然の一部として自分が暮らしている体験をと考えました。

自然をより身近に感じられる設計に影響されてか、最初は戸惑っていた子供も今では川の中に自作プールを作ったり、別荘の暖炉周りで遊んだりしているという。設計の狙いが上手く当たり、子供の成長という点でも大きな役割を果たす別荘になった。

LIMITED STORY #02
「一番ドキドキした」
プレミックスSタイプの土舗装

清里のグラスハウスの土舗装に使用した「プレミックスSタイプ」。土のデメリットを解消しつつ、土独自の風合いをそのまま出すことができるこの素材は、「清里のグラスハウス」のメインと言っても過言ではない。外との繋がりやムラなどの自然な感じを実現するため、土系の舗装にはこだわりを持って採用した。

固すぎず適度な軟らかさの「プレミックスSタイプ」は、ほどよい経年変化も楽しむことができる。実際、階段部分は経年によってわずかに角が丸みを帯びてくる。この経年変化について、施主も最初は少々気にしているようだった。

しかしSUEP.は、「東京にいると、周りの家が不変で安定しているため経年変化が気になるかもしれないが、清里のグラスハウスは自然の中にある建築。変化しないほうがおかしい。変化をしていく方が自然なことだ。」と考え採用。

末光氏は「施主が経年変化を気にしているという話を聞いたので、この素材を使うのは一番ドキドキした。」と語る。そんな“変化を楽しんでほしい”という思いで採用された土舗装だが、施主は今では経年変化の味や風合いに慣れ親しみ、まったく気にしていないという。

また、土舗装にしたことで別荘内にオリーブの木を地植えすることができた。オリーブを植えることによってもまた、いっそう外との繋がりを感じ取れるようになっている。別荘で問題になる水やりについては、およそ一か月分の水用タンクを設け、じわじわと水を与えられるようにしている。土舗装で地植えする際は実が落ちたときの清掃性を考慮しなければならないが、それがクリアできれば植物ならではの季節を感じさせる経年変化を楽しめる。このオリーブの木もまた、SUEP.が考える“変化を楽しむ要素”になっている。

LIMITED STORY #03
人間にとって自然とは何か?を
気付かせる建築

今回本誌で特集された建材に注目すると、ムラや素材感があり、少ないエネルギーで暮らせる建材が選ばれていると感じた。

しかし彼らにとっては恐らく、ムラ感やエコはそれ自体が目的なのではない。ムラやエコは、彼らの“理念”を達成するためのあくまでひとつの手段に過ぎない。

SUEP.が建築をする上で本当に達成したいことは、「自分が自然の一部であること」、「人間が潜在的に有している自然への帰属意識」を目覚めさせることなのである。実際、SUEP.のホームページでは、建築理念の第一に以下のように記載している。

自然との共生
自然と人とが多様な関わりを持つための触媒としての建築デザイン。自然の力を最大限受け入れながら、それと共存し、人が本来持っていた自然への感性や身体感覚を呼び起こすような空間をつくります。

自然の中に身を置いたときの、人間が本質的に感じる快適さ。その喜びを大切にし、我々に思い出させようとしている。建築は人工物として自然と対立したり自然を支配したりするものではなく、対等な立場で共生していくものである、というSUEP.の理念が伝わってきた。