建築家のイメージを忠実に再現する「パーフェクトルーフ」が
30年かけて積み上げた技術と信頼

CLASS1 ARCHITECT Vol.05で紹介した、仲建築設計スタジオの「写真家のスタジオ付き住宅」。ここで使われた建材として紹介したのが、株式会社ダイムワカイの金属屋根「パーフェクトルーフ」だ。「パーフェクトルーフ」は、ビスや釘を使わずに粘接着で貼り付ける施工が特徴で、「写真家のスタジオ付き住宅」でも複雑な三次曲面の屋根を見事に仕上げている。今回は、ダイムワカイの東出昭生氏への取材から、本誌に掲載できなかったお話を紹介したい。

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LIMITED STORY #01
真の「パーフェクトな屋根」を求め続け、挑戦を繰り返している

パーフェクトルーフは「一風変わった芸術的な設計」もかたちにできる金属屋根。通常の金属屋根では制限が多すぎて断念してしまう形状も、その特殊な施工法で実現していく。そのため、アトリエ系の建築設計事務所からの依頼が多く、隈研吾氏や坂茂氏、古谷誠章氏といった著名な建築家からの要望にも応えてきた。しかし、「パーフェクトルーフ」は、最初からパーフェクトな屋根だったわけではない。ダイムワカイの数々の苦労と試行錯誤によって生まれているのだ。

ダイムワカイが金属屋根壁の工事を始めた当時、雨漏りの相談が多く頭を抱えていた。雨漏りの原因がダイムワカイの責任の範囲外の部分にあったり、「無償で直して」と言われることもあったという。そんななか、銅箔を屋根の下地に貼る業者の存在を知ったことが「パーフェクトルーフ」を開発するきっかけとなった。「銅箔ではなく、ガルバリウム鋼板や銅板などを使うとどうなるか?」「防水性や耐風圧性はどう確保するか?」といった研究開発を重ね、ビスや釘を打たない「パーフェクトルーフ」が誕生した。

「パーフェクトルーフ」誕生後も、ダイムワカイの試行錯誤は続く。「パーフェクトルーフ」はその特殊な施工法ゆえに、「どこの板金屋でも施工できる屋根」というわけではなかった。そのため、施工の仕方が間違って漏水してしまったこともあった。「正式な認定制度がないと当社の信用がなくなる」と危惧したダイムワカイは、非常に細かな部分まで注意事項を明示した「施工手順マニュアル」を作成。同時に、実技・学科を含めた試験制度を導入し、試験を合格した施工者のみ施工管理が許される厳密なシステムをつくりあげた。さらに、大手部材メーカーからの部品供給や研究の協力を得ながら、徐々に信用を獲得していったのだった。

弊社が構築してきたノウハウがあるので、他社にはなかなか真似できないと思います。パーフェクトルーフを扱って30年になりますが、10数年目くらいにはやはり真似してくる業者も見受けられました。それでも、どこも当社と同じものをつくることはできませんでした。(東出氏)

本当に、漏水の問題にずっと悩まされた経験があったからこそ「パーフェクトルーフ」を作れたのだと思います。(東出氏)

こうして様々な課題を乗り越えたダイムワカイだが、今でも「パーフェクトな屋根」を実現するための挑戦は続いている。「パーフェクトルーフ」は「どんな形も実現すること」を売りにしているため、建築家やデザイナーからの無理難題といえる要望が多く寄せられるためだ。

例えば「写真家のスタジオ付き住宅」では、仲氏から「棟にかぶせるカバー(棟包み)をなくしたい」という要望があった。

「写真家のスタジオ付き住宅」の全体模型図

屋根勾配が違う、ブーメランのような特殊な形状の屋根は棟のカバーなしでは相当難しく、技術チームがモックアップを何度も製作した。最終的には、棟包みを使わず綺麗な曲面の屋根に仕上げたのだが、「あれは本当に、ちょっとやそっとの苦労ではなかった。」と東出氏は語る。その際製作したモックアップは仲氏も非常に気に入ったようで、現場にも飾られていたという。「周りの皆が驚くくらい綺麗にできたよ」と仲氏も嬉しそうに話していたそうで、ダイムワカイと仲建築設計スタジオの双方にとって印象深いエピソードのようだ。

LIMITED STORY #02
30年経ち、「パーフェクト」と評価されるように

ダイムワカイは「パーフェクトルーフ」を販売し始めて30年になるが、「30年経ってようやく『パーフェクトだね』と言って貰えるようになってきた」と東出氏は語る。最近は海外の問い合わせも増え、ドバイの船着き場の屋根や、フィリピンの駅の屋根などに提案されているという。

海外の仕事となると英語のカタログが必要だったり、大変なことも出てくるんですけど、とにかく色々なことに挑戦していきたいし、チャレンジするのは面白いなと思っています。(東出氏)

「パーフェクトルーフ」という商品名の裏には、「パーフェクトな屋根」を実現するためにもがきつづけた、ダイムワカイの苦労と奮闘、そして、未知の挑戦を楽しむ姿勢があった。今後も「パーフェクト」と呼ばれる屋根を、泥臭くつくりあげていくのだろう。