MATERIAL
重ねたテキスタイルが生み出す、新しい価値
【テキスタイル】

テキスタイル

今回のデザインのなかで、「安東さん流石だな」と感じたあるアイデアがあったという。それは、布と布を接着するというもの。これにより、生地に張りを持たせ、光の反射の強度を増幅させたのだ。また、布を二重にすることで木目調の柄が表現できたため、「これはいいね」と安東さんとも合意し、使用を決めたのだという。実験室の間仕切りとして用いたテキスタイルは、何重にも重ねたものをSHYさんのZIPrail® Screenに掛け使用した。布はあえて色違いのものを貼り合わせているため、表裏で違う色が出現するのもポイントだ。「安東さんからの“重ねる”アイデアによって、新たなデザイン価値が生まれたことに心から感謝したい」と小堀氏は笑顔で語ってくれた。

小堀さん、なぜこの建材を採用したのですか?

今回の意匠へのこだわりは、「光を空間に導く」「直射を遮る」「光を投下させて煌めきをつくる」の3つでした。それらを踏まえ、「光の拡散」をキーワードに、空間の仕上げ材としてテキスタイルを使用したいと思ったのですが、市販のカーテンではイメージが違うし、どのようなものがフィットするか考えていました。そこで、空間制作から生地のテクスチャーまで一緒に考えていただける方として、安東陽子さんにお願いしました。

メーカーさんへ聞いた
建材開発秘話
テキスタイルデザイナー
安東 陽子さん

光の粒から煌めきをつくる

NICでのテーマである「光」をどうしたら活かすことができるのか、そこにいくつかの工夫を凝らしました。そのなかでも特にこだわったのが、布に円状の穴をランダムに開けたことです。これはテキスタイルが光を受けることで、煌めきをつくるため。ランダムといっても、ただ闇雲に開けるのではなく、基本のパターンを4種類つくり、穴が重ならないように繰り返し並べました。そうしてできた光の粒の移動が、煌めきに繋がればと思ったためです。その穴も、初めは化学記号のような形をイメージしていましたが、実際現場で見たときに、シンプルな円を隣り合わせる方が、より化学記号のように見えて良いなと感じ、円状にしました。こうして工夫を詰め込んだテキスタイルが、NICの光の表情を豊かにするものになれば嬉しく思います。

空間とテキスタイルの関係性

テキスタイルを制作するときに、空間との関係性で重視していることがあります。それは、建築家の考え方と空間から、イメージを受け取るということです。あくまで空間ありきで、「素材との相性は良いか?」「納めたときのバランスはどうか?」などを想像して制作していますね。また、テキスタイルが上手く納まることで、良い影響を与え合う関係性になればいいなと思っています。空間の印象も変わり、テキスタイル自身も表情を変える。両者がお互いの雰囲気を変化させ合うようなイメージです。こうした関係性から、テキスタイルはその存在を主張することなく、でもそこに在ることで空間全体の調和を取る力を持っているのだと感じています。

安東陽子デザイン

〒151-0051
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