【阪本製作所の金物】
リビングテラスを機能させる鎧戸
今回、阪本製作所の造ったリビングテラス入り口の鎧戸が、Ark 久が原の「住居者同士の生活を普段から感じる」というコンセプト成立の鍵を握った。この鎧戸は網状で、空気がよく通り、廊下からリビングテラス全体が見えるように設計されている。それにより、リビングテラスを半外部、半内部という空間に仕上げることに成功したのだ。その過程には、「どうしたら扉がうまく閉まるか」 「針金などで簡単に開けられてしまうのを防ぐにはどのような鍵が良いか」などのセキュリティ問題も生じたが、阪本製作所と遠藤氏が試行錯誤した結果、コンセプトと機能性を両立させるものが出来上がった。こうして完成した鎧戸により、Ark 久が原の要となるリビングテラスを有効機能させることができたのだ。これは紛れもなく、建築家と共にコンセプトの成立を目指す、阪本製作所の「手」があったためではないだろうか。
阪本製作所さんはArk 久が原の施工会社から紹介された金物屋さんです。阪本さんはモックアップを何度も試作しながらものづくりに深く関わってくれるので、イメージにより近いものをつくることができます。今回のArk 久が原では、階段や手摺、リビングテラスの鎧戸を製作してもらったのですが、どれも質が高くてとても満足しています。
建材開発秘話
阪本 彰夫さん
建築家の想いと使い勝手を両立
今回、Ark 久が原の金物を製作するにあたって、特に力を入れたのが鎧戸でした。この鎧戸製作では、各部屋でサイズが全て違ったため、全12戸分をオリジナル製作するという、とてつもない作業が必要となりました。そのうえ、鎧戸をはめ込む周りのコンクリートが先に造られてしまっていたため、数ミリの狂いも許されなかった。だから、サイズ計測にはいつも以上の正確さが求められましたね。それに、金物の扉では2~3本の骨で補強するのが一般的なのですが、遠藤さんからの要望は、「骨がない枠のみの扉」というものでした。これを実現するために、モックアップを通して遠藤さんと何度も確認し合った結果、やっと要望に沿うものを造り出すことができました。私は、金物づくりで大切なのは「使い勝手」だと思っています。そのため、今回のArk 久が原でも建築家さんの想いを尊重しつつ、住居者がどのような使い方をするのかを想像しながら、金物づくりに取り組みました。
挑戦から得る利益以上の価値
製造をメインとする会社は、難しいことやコストが合わないことに対し、あまり前向きでないように思います。ですが私たちは、これまでに前例がないうえに利益もほとんど出ないような依頼を何度も引き受けてきました。その理由は、当社は「難しいことにも常に挑戦していこう!」という意識を持っているため。だからこそ、私たちはどんな要望を受けたとしても、まずはチャレンジしてみることを心掛けています。それに、見たことも聞いたこともないものをつくるということは、率直に「面白そうだ!」と感じるんです。そのような案件を引き受けると、大抵、利益は出ないのですが、同時にそれ以上の価値を得ることもできていますね。こうして、数多くの困難な案件をやり遂げたことで得た自信とノウハウが、また次の挑戦の原動力になっているのだと感じています。
金物職人の揺るぎない熱量
私たちは、”金物は建築の見せ場のような存在である”と、一人ひとりが職人魂を持っています。ですが、クライアントが建築家さんとなると、時に一筋縄ではいかないような、奇抜な要望を受ける場合もある。それでも、私たちはプロの金物職人なので、製作の際は作り手としていつも完璧なものをつくりたいと思っています。そのため、「メッキの種類によって起こり得る現象は、漏れなく伝える」 「クライアントが納得いくまで作業風景を見てもらう」そして、「必要な数だけモックアップを造る」といった、一つひとつの工程をとても大切にしながら提案していますね。このように、私たちには”どんなに難易度が高いものでも、できる限り追求して完成度を高めたい”という想いがある。そういった想いでは、建築家さんに引けを取らない熱量を持っていると日々感じています。
阪本製作所の主な特徴
どれだけ難しい案件でも、「まずはやってみよう!」と挑戦する姿勢を持ち、クライアントの要望を実現する。
クライアントとの綿密な打ち合わせを通し、建築のコンセプトへの理解を深めたうえで製品づくりを行う。そのため、阪本製作所の金物はイメージの実現に大きく貢献してくれる。
表札・スチールフレームなどの小規模製作からArk 久が原の金物のような大きな製作物まで幅広い案件に、真摯に対応してくれる。
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