This issue’s CLASS1 ARCHITECT

岩瀬諒子
RYOKO IWASE

建築家

1984年 新潟県生まれ
2007年 京都大学工学部卒業
2010年 同大学工学研究科修了
2008年-
2009年
EM2N Architects (スイス/チューリッヒ) 勤務
2011年-
2012年
隈研吾建築都市設計事務所勤務
2013年- 岩瀬諒子設計事務所代表
2012年-
2014年
慶応義塾大学助手
2014年-
2019年
東京藝術大学教育研究助手
2020年- 京都大学工学部助教

主な受賞歴

2013年 旭硝子株式会社主催実施コンペ「U30ガラス建築の設計競技」最優秀賞(KUSANAMI)
2018年 グッドデザイン金賞/経済産業大臣賞(トコトコダンダン)
2018年 日本造園学会賞 作品部門(トコトコダンダン)
2019年 ベストデビュタント賞(トコトコダンダン)
2019年 東京藝術大学美術エメラルド賞

主な作品

2013年 KUSANAMI
2014年 ドボクのへや
2017年 トコトコダンダン
2021年 第17回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展 日本館展示「ふるまいの連鎖:エレメントの軌跡」

建築家を志したきっかけは?

小さい頃から自分の部屋に手を入れるのが好きで、棚を赤く塗ったり、テレビをピンクに塗ったりしていました。その様子を見ていた建築の音響専門家であり一級建築士でもある父から「インテリアだけでなく建築の道もある」と勧められたのがきっかけです。防音対策における断熱材や床材について父に相談することもあります。

ターニングポイントになった建築は?

独立して最初に手掛けた「トコトコダンダン」です。コンペから竣工までの約5年間、そして竣工後も観察を続けています。予想外の使われ方に出合うとワクワクしますし、ある時は土木の現場で特注品の採用が難しいという状況を観察し紐解いていくと維持管理の問題があり、竣工後に維持管理ガイドブックが策定されたこともありました。少子化や税収減で公共施設などの維持管理が難しくなっていきますが、こうした状況に対しても「維持していく」という考え方自体を見直し、創造的に場所を改変したりお手入れをすることができるデザインについて最近はよく考えています。

学生に伝えたいことは?

私は今でこそ「建築+土木+ランドスケープ」の間を行き来しながら独立して設計をしていますが、学生の当時は土木デザインに関心のある人が建築学科にあまりおらず悶々としていました。今では社会の潮目も変わり、自分なりの設計の考え方を実践した先に楽しさや共感を得られている実感がありますが、仮に周りの理解が得られなくても、自身の興味、違和感、問題意識等に真摯に向き合い、楽しむことを忘れずにそれぞれの方法で建築や都市に関わり続けることは大事だなと思っています。

最近完成したプロジェクトについて教えてください。

(c)studioIWASE

今年の3月末に公園が完成しました。土を掘って盛りながら三次元曲面の山をつくり、その中に建築が埋まっているという構成です。「山の中に内部空間をつくる」という、土木と建築が混ざり合った面白いプロジェクトになりました。三次元曲面を建築でつくろうとすると、部材の切り出しや成形などが非常に大変です。しかしこの公園では土木工事のように土でつくったため、複雑な造形も土を盛ることで実現できました。「既存のものを壊さずに付け足す」という土木の考え方がぞんぶんに活きたプロジェクトになったと思います。

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