共同主宰 / 一級建築士
1985年 | 広島県生まれ |
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2008年 | 東京大学工学部建築学科卒業 |
2008年 | 渡邉健介建築設計事務所(kwas)/東京 |
2011年 | スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETHZ) |
2012年 | クリスチャン・ケレツ(インターンシップ)/チューリッヒ |
2013年 | 東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修了 |
2013年 | 渡邉健介建築設計事務所(kwas)/東京 |
2015年 | ドレル・ゴットメ・タネ・アーキテクツ/パリ |
2018年 | ウルトラスタジオ設立 |
2021年 | 東京大学大学院工学系研究科非常勤講師 |
共同主宰 / 二級建築士
1986年 | 東京都生まれ |
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2010年 | ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ視覚文化論学部卒業/ロンドン |
2013年 | AAスクール インターメディエートスクール卒業/ロンドン |
2013年 | フォスター・アンド・パートナーズ/ロンドン |
2018年 | 英国王立芸術大学院大学 建築学専攻 修了/ロンドン |
2019年 | ウルトラスタジオ参画 |
共同主宰 / 一級建築士
1987年 | 福岡県生まれ |
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2011年 | 九州大学芸術工学部環境設計学科卒業 |
2012年 | スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETHZ) |
2013年 | パスカル・フラマー アーキテクト(インターンシップ)/バルシュタール |
2014年 | 東京大学新領域創成科学研究科社会文化環境学専攻修了/東京 |
2014年 | 青木淳建築計画事務所/東京 |
2020年 | ウルトラスタジオ参画 |
2021年 | 東京藝術大学大学院美術研究科建築専攻 青木淳研究室 教育研究助手 |
主な受賞歴
2021年 | FRAME Award 2021, Set Design of the Year, THE DROWNED WORLD ANCHOR, with Jukan Tateisi |
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2022年 | IF Design Award 2022, Window Display, HOME TREE |
主な作品
2018年 | QUOINE HQ |
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2019年 | 6curry SHIBUYA |
2020年 | HOUSE IN KAMAKURA |
2020年 | HOUSE IN THE FOREST |
2021年 | RESTAURANT IN AKASAKA |
2021年 | 2LDK IN OKUBO |
2022年 | HOUSE IN ICHIHARA |
建築家を目指したきっかけは?
小学生の頃海外に住んでいたのですが、日本と違う建物がある街並みに興味を抱き、スケッチブックを持って建物をデッサンしたりしていました。当時は新古典主義のような重厚な建築物に憧れていました。大学に入って建築の面白さにどっぷり浸かり、学生コンペに出品して同世代と競ったり、ワークショップなどで議論したりすることに情熱を傾けていたら自然とアトリエ系の建築事務所を目指していました。スイスに留学した際に大学院の先輩である向山と出会い、議論を重ねていく中で、考え方やデザインの方向性に通じるものを感じ、一緒に事務所をつくろうという流れになりました。上野も同時期にロンドンにおり、日本の建築文脈とは異なった考え方を学んでいました。その後日本で合流して、3人なら面白いことができるのでは、と事務所を開設しました。(笹田)
スタジオ名の由来は?
1960年代のイタリアで建築やデザインのラディカル運動が起き、その中心にいたのが「スーパースタジオ」という集団でした。彼らにあやかって、ウルトラスタジオと名付けました。ウルトラとは「過度の」という形容詞ですが、それ自体あまり強い意味を持っていない言葉です。また日本では「ウルトラマン」のようなキャラクターに象徴されるように、ポップで親しみのある言葉だと感じています。「スーパースタジオ」は実作をあまり作っておらず、イメージを提示することを通して社会に影響を与えた集団です。私たちも建築のイメージを大事にしています。完成したものだけでなく、イメージを通じて世の中にメッセージを伝えたいと思っています。(向山)
ガラスに対するイメージは?
ガラスの持つ透明性と反射性という両義的な性格に惹かれます。スーパースタジオの作品の中に反射性のあるオブジェが出てくるのですが、それは透明であると同時に空を映し出す鏡のようで、とても象徴的な存在でもあります。私たちもガラスや鏡などの反射素材を象徴的な要素として使っています。例えば、最近手掛けた内装で、水平に連続する窓の外に森が広がっている空間がありました。ところがクライアントは部屋を2つに分けたがった。そうすると、美しい森のパノラマビューは途切れてしまいます。そこで、水平連窓に直行して壁を立て、その壁を鏡面仕上げとしました。鏡に窓と風景が映り込み、視界の水平性が保たれました。(向山)
© 八木夕菜 (atelier now/here)
『ウルトラスタジオ』が本格的にスタートしたのは2020年のこと。当時小さなオフィスで始まったが、3人目となる笹田さんが参画するタイミングで新しいオフィスに移ろうと決めていた。選んだのはマンションの一室。オーナーとの交渉により、自由にデザインできることになったが、元々がマンションであるため制約がある中での設計だった。
彼らの設計手法は独特で、議論の過程はプロジェクトによって変わるが、一貫して“概念”からのスタートを行なっている。ここで言う概念とは、空間に新たな定義を与えることだ。「条件や要望からどんな概念が導き出されるかを議論し合います。概念と同時に設計も進めていくことが大事で、時には形ができた後に概念ができてくるケースもあります」と向山さんは言う。
この空間をどう定義づけたのか、それは“理性と欲望、仕事と制作”だった。本棚が並び、あふれる知識の中で議論を重ねる理性の場、キッチンという食欲ならびにパーティーを催す欲望の場、修道院のような真面目な仕事の場、そして実際に手を動かす工房としての制作の場。一つの空間を4つに分け、各々に色を与えることで、それぞれの場所で意識を切り替えることができる。
また、これまで手掛けた作品には、象徴的なものを空間の中に設置することを実践してきた。このオフィスにおいてはミーティングテーブルだ。それぞれのエリアに配された色が天板で混ざり合うことによって、一度分けられた要素を一つにまとめている。分類し、分けられた要素を再びまとめる、矛盾する要素を組み合わせる、そのようなプロセスを経て、新たな定義を持つ空間が生み出される。
DIY精神が生み出す空間
© 八木夕菜 (atelier now/here)
大工工事は知り合いの大工さんにお願いし、塗装などの仕上げは仕事の合間にDIYで手掛けました。床や天井は下地のコンクリートをそのまま見せ、「未完成」の状態を保っています。既存のダウンライトを再利用して元あった場所にぶら下げ、バブル期のファミリーマンションの要素を引き継いでいます。
カーテンにはアルミ蒸着フィルムを使っています。ラッピングに使われたり、農業用の覆いとして使われたりする素材ですが、遮光効果も持ちながらうっすら光も通す、おもしろい素材だと感じています。
【Scagliola】
©八木夕菜 (atelier now/here)
ウルトラスタジオオフィスの象徴的存在のテーブルは、イタリアやドイツで使われた技法「Scagliola(スカリオーラ)」を、応用して自分たちで制作した。以前から知っていたScagliolaをネットで情報を探して作ったそうで、研磨が意外と大変とか。「養生シートの上に粉塵が積もったのを覚えています(向山)」。オフィス以外でも一度テーブルを作ったことがあり、全部をScagliolaにすると重くなるので、木の下地にScagliolaを巻き付けて制作したという。
©SUNJUNJIE
「Scagliola」とは1500年代からイタリア・フィレンツェで大理石を真似るために作られた代替大理石の技法で、その歴史は500年と古いものです。テラゾなどの人造大理石の技法が主流になり、その技法は徐々に使われなくなってきましたが、年代が下るとアメリカやイギリスでも作られることとなり、今では趣味の教室まで開かれているようです。私たちはスタジオ内の各々の場所を特徴づける色を混ぜ合わせ、研ぎ出しました。大理石のフェイクなので、どんな色でも作ることができます。一方で、やはり、本物の石のような質量感もある。このような、フェイクと本物の中間のような存在感に興味があります。(向山)
©“Untitled (For Keigaku #202)” , 2021 © Gottingham
Image courtesy of SUNJUNJIE and Studio Xxingham
【アルミ蒸着PETフィルム】
© 八木夕菜 (atelier now/here)
“欲望”の概念を表わす赤のキッチンに、「欲望感が足りない」と選んだのはアルミ蒸着PETフィルム。上下の扉がすべて銀色になり、鮮明な赤とのコントラストが激しいイメージを生み出し、かつミラー効果をもたらしている。アルミ蒸着PETフィルムとは0.1ミリのフィルムに0.01ミリのアルミニウムを蒸着した素材。ラッピングにも使われるこの素材をスプレーのりで貼り合わせたが、敢えてしわが生まれるように貼り合わせた。それは光を乱反射させることでミラーボールのような効果を生み出す。
©Kenryou Gu
以前、アーティストのパフォーマンスに舞台美術として参加したことがあります。その舞台のイメージが映像を拡散する氷山でした。素早く制作することが必要で、軽くて扱いやすい素材を探している中で出会いました。今回のデザインにもうってつけだと思い、採用しています。背面が鏡張りになっているバーをよく見かけると思いますが、鏡張りの理由にはいくつかの説があり、「バーテンダーが鏡越しに客を確認できる」「客が自分が酔っていることを自覚できる」などがあります。反射することで、自分たちを相対化して見ることができる装置にもなっているわけです。(向山)
建材開発秘話
株式会社オーテック
関本優さん
付加価値を高めるフィルム
弊社の強みは、100種類以上の商品を常時在庫していることにより、あらゆる業界の皆様のニーズに合わせた商品を短納期・低価格・小ロットでご提案/ご提供ができることです。アルミ蒸着フィルムやホログラムフィルムはサイン&ディスプレイ分野では華やかさを演出し、キャラクタークッズなどの分野では商品の付加価値を向上させることに貢献しています。
【ペンダントライト】
©Daiyu Inoue
照明器具は一つだけでも室内のイメージをガラリと変える存在。『ウルトラスタジオオフィス』においても照明の選定は重要だった。彼らが選んだのは『斉藤照明』。現在進めている数々のプロジェクトで製作をお願いしている経緯もあり、相談に乗ってもらった。『斉藤照明』ではラフイメージから図面を作って打合せ、議論を重ねてイメージを合わせていくそうで、納得するまで詰められたことでイメージに合ったペンダントライトとなった。
特注照明の製作ができる会社を探していた際に、知人の紹介で相談したことが最初の出会いでした。工場は西日暮里の街中にあり、まさに下町の工場といった場所でしたが、その中には巨大なレーザーカッターの機械があって、ギャップに驚きました。これまでも様々なシェードを作っていただいており、“金属加工が得意な照明製作会社”というイメージです。こちらのやりたいことを汲んで、いろいろなことを考えて作ってくださるメーカーです。(笹田)
建材開発秘話
株式会社 斉藤照明
松崎雄一さん
奇抜でも不思議と馴染むデザイン
弊社は東京都荒川区で特注照明の製作を行っている会社でして、弊社のように、設計~板金加工~組立まで一貫して自社で製作できる会社はかなり稀有な存在で、強みでもあると思っています。また多種多様な職人や工場様と連携し、様々な素材・加工技術を使うことで、デザイン原案に近いモノづくりを実現しております。今回制作依頼をいただいたペンダントライトに関しましては、いただいたイメージ・サイズ感から、製作可能なアルミ絞りのサイズを割り出し、足立区にある沼山絞製作所様に協力いただき、製作していただきました。工場で製作できるほぼ限界値のサイズ感で、金型の総重量は230kgほどとなり、今まで製作した絞りの中でもかなりのサイズ感でした。ウルトラスタジオ様からご依頼いただく照明は、既製品では見たことがない、独特で奇抜な形状をしている印象を受けますが、設置空間を見渡すと、不思議と馴染んでいるという、空間とモノとのデザインの距離感・バランスが絶妙な印象を受けます。
〒116-0013
東京都荒川区西日暮里6-61-2
TEL:03-3893-3876
FAX:03-3893-3878
URL:https://saito-syoumei.co.jp/
Q. 今までで最も思い出深い建材とは?
A. 特殊塗装
©Tomoyuki Kusunose
空間の不利な部分を
空間を象徴する存在に
『2LDK IN OKUBO』のプランを考えていた際に、空間を作ろうとするとどうしても上の階からのパイプが露出してしまいました。そこで、むしろパイプスペースを独立させ、この空間の象徴となるものにしようと、8角形の柱型で覆うことにしました。『ウェルカムトゥドゥ』さんには、現場で鏡面塗装をお願いし、工場塗装に近い艶のある特殊塗装を行なってもらいました。マットな質感の建材が多い空間の中にあって、この艶が空間の中で浮き立ち、柱型の存在を強調することができました。
〒152-0004
東京都目黒区鷹番2-13-9
URL:https://www.welcometodo.com/
Q. コストパフォーマンスがよいと感じた建材とは?
A. 養生シート
©Kenryou Gu
スピードが求められる現場で
扱いやすいシート
こちらは舞台美術で使用しました。 “触れる”をテーマにしたコンテンポラリーダンスの舞台で、感染症によって接触が忌避される時代に、接触・非接触を可視化する存在として、0.1ミリの養生シートを選択しました。舞台だけでなく会場全体も養生シートで覆い、風が吹けば揺らめいて会場全体が変化する仕組みになっています。この会場はかなり大きく、公演も8時間に及ぶものでした。仕込みも解体も施工スピードが求められる中で、扱いやすさという観点からも重宝しました。
〒105-0004
東京都港区新橋4-28-1 トラスコ フィオリートビル
TEL:03-3433-9830(代表)
URL:www.trusco.co.jp/
Q. 素材が活かされた建材とは?
A. シナ合板拭き取り
©Tomoyuki Kusunose
サンプルの色だけで
現場で調色して施工
こちらも『2LDK IN OKUBO』を手掛けた際の話です。円弧状にデザインしたシナ合板の壁を、天井のコンクリートと色合いを合わせるために、現場でグレーに染色しました。色を決めるために水彩絵の具で塗装サンプルを作り、現場で調色しながら色を調整しました。一人の職人さんが塗装を薄く伸ばして、もう一人が拭き取っていくことでイメージした通りの色を出すことができました。『ウェルカムトゥドゥ』さんは、人数は少ないながらも様々な建築家案件に取り組んでいる施工会社で、いつも丁寧に対応してくださります。
〒152-0004
東京都目黒区鷹番2-13-9
URL:https://www.welcometodo.com/
Q.汎用性が高く、使い勝手の良い建材とは?
A. MDF染色
©山内紀人
染色一つで
存在感を曖昧にする
『enechain Tokyo Office』のデザインでは、中央の巨大なテーブルを象徴的に浮き立たせる必要がありました。そこで、オフィス全体では均質かつ素材感が謎めいた、抽象的な雰囲気を作り出そうと考えました。何か素材感がありそうでいて、離れてみるとよくわからない、その抽象的な質感をつくりだすために、MDFを工場で染色してもらいました。家具の内外で色を変え、出隅で切り替えることで、物質の存在感をさらに曖昧にしています。
〒174-0041
東京都板橋区舟渡3-5-8 MIC1-304
MAIL:mail@inoueindustries.com
URL:https://inoueindustries.com/
Q. 空間が引き立つデザイン性をもった建材とは?
A. SUS♯800
©山内紀人
象徴となる存在であり、
空間を広げる鏡面
赤坂の焼き鳥屋を、客席やキッチンなどの配置を変えずにイタリアンレストランに改装するというプロジェクトの中で、壁付照明の問題がありました。配線を既存の壁に埋め込むことができないため、配線が露出してしまいます。そこで、露出した配線が気にならないほどの強い象徴となる照明にしようと考えました。ここではステンレスの鏡面仕上げを使って照明の傘を作っています。曲がった鏡面は下から見上げるとカーブミラーのように周囲を歪めながら映し出し、空間の広さを撹乱します。
〒111-0053
東京都台東区浅草橋5-9-7 原田ビル2F
TEL:03-5879-8671
FAX:03-5820-3080
CONTENTS
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Vol.31