安くなったFRP建設資材「エバープルトン」で建物のメンテナンスフリーを実現
概要
「安くて丈夫」なFRP素材を活かした建設資材
エバープルトンは、「連続式引抜成形システム」という技術で生産される、FRP(繊維強化プラスチック)素材の建設用資材です。自由に長尺物を成形でき、あらゆる色に着色できます。優れた耐食性・耐薬品性や軽くて丈夫、といった特徴があり、屋外の折り返し階段やダムの取水塔などに利用されています。
エバープルトンの使用事例
エバープルトンはFRP素材の優れた特性を発揮し、あらゆる分野の建設素材として活用されています。また、同じFRP素材の「FRPグレーチング」の補強用部材としてもよく使用されます。FRPグレーチングと組み合わせることで、建物の外装にも活用できます。
エバープルトンの多くが湿度の高い場所や水に触れる場所で使われており、腐食に強いFRPの特性が活かされています。質量も軽いため、複雑な形状の施工や高い位置への施工の際も容易。特に高所への橋の施工は、建設するための足場を作るコストを抑えられ、現場作業にも負担がかかりません。
エバープルトン製
商業ビルの外装
こちらは商業ビルの外壁として、FRPグレーチングとエバープルトンを合わせて使用した事例です。エバープルトンはFRPグレーチングの補強材として、しばしば併用されます。ブラウンが木製の壁ともマッチして、落ち着きや高級感の感じられる外観になっています。日光による劣化が少なく、長く使用していただけます。
エバープルトン製
管理橋
エバープルトンは質量が軽いため、写真のような大規模で高い位置への施工も容易になります。特に高所への橋の施工は、足場を作るコストを抑えられます。
エバープルトン製
水槽上キャットウォーク
大型水槽の上を歩くためのスタッフ用通路です。幅900㎜、全長69mと大きな通路になっています。FRPは耐食性があるため、水槽やプールなど湿度のある場所でも腐食やサビの心配がありません。また、鉄よりも強度があるため割れたり、破断することもなく人が歩くような床材でも安全です。
エバープルトン製
水門ゲート
従来の水門は腐食しやすい鋼製のものが多く、あまり長持ちしませんでしたでが、エバープルトンとFRPグレーチングを用いた水門にすることで、腐食やサビがなく綺麗な状態で長持ちします。また、海水などの様々な水質にも対応。穴あけなどの加工が容易であることや軽量性に優れていることから、施工も行いやすいです。
エバープルトン製
発電所水圧管路階段
発電所の水圧管路下路に幅1m、高さ4.5mの階段を施工。エバープルトンは耐食性に優れているため、事例のような地下の湿気にも耐えることができます。サビや腐食が発生しないため、メンテナンスの負担も軽減できます。
エバープルトン製
梯子・階段
梯子・階段に使用した事例です。穴あけなどの加工も簡単に行えるため、固定金具でしっかり固定することができます。また、色を指定していただくことで自由に着色も可能です。周囲の景観と馴染ませたり、明るい色で目立たせたりなど目的に合わせて着色できます。
他にも
その他、耐薬性を活かした排水溝蓋、電気特性を活かした配電盤用部材など、幅広い用途で使用されています。
一般構造材 (強度 / 耐食性 / 耐薬性を発揮) |
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工業関係 (強度 / 耐食性を発揮) |
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電気関係 (電気絶縁性を発揮) |
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農水産関係 (強度 / 耐食性を発揮) |
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エバープルトンの特徴
特徴 1 |
ガラス繊維でプラスチックを強化した “鉄よりも強い”新たなプラスチック |
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特徴 2 |
耐食性・耐薬性・電気特性に優れる あらゆる環境や用途に対応、設置場所を選ばない |
特徴 3 |
重量は鋼材やステンレスの約1/4 複雑な設計・高所での設計も可能に、現場作業の負担・コストを軽減 |
特徴 4 |
豊富なカラーバリエーション “色が剥げない”素材で鮮やかな外観を保つ |
詳細
ガラス + プラスチックの新しい素材
エバープルトンは、熱硬化性樹脂(プラスチック)にガラス繊維を加えたFRP(繊維強化プラスチック)素材です。熱硬化性樹脂にガラス繊維を加えることによって物質の強度が増し、さらにプラスチック独自の特性も備えるようになります。屋外や化学薬品等で劣化・腐食しにくい耐食性や、酸・アルカリに強い耐薬性、電気を通さず電流によって劣化しないといった電気特性を有します。
特に建設資材として使用する際に注目するのは、その軽さ。鋼材やステンレスなどの一般的な建設資材と比べて重量が軽いため、据え付け作業や建設作業が従来と比べて格段に容易になり、作業の効率化に繋がります。また、軽量なことで複雑な構造の工作物も設計可能に。軽くて丈夫、また工作物の自由度も上がる、建設用資材の新たな選択肢です。
連続式引抜成形とは
エバープルトンは、高精度のFRP製造システムである「連続式引抜成形」によって製造されています。樹脂層の中にガラス繊維を浸し、それを金型で加熱・硬化させ、最後に引抜装置で引抜く製法です。成形品は生成され続けますので、自由な長さに成形品を切断することが可能です。成形可能な形状も多様であり、角パイプ、丸パイプ、チャンネル、アングル、フラットバーの5種類をご用意しております。
自由が利くのは長さや形状に限りません。エバープルトンは、あらゆる色に着色が可能です。着色は塗装ではなく、あらかじめ色を混ぜた樹脂を使用して成形するため、”色が剥げる”心配もありません。綺麗に色付いた外観を保つことができます。周囲の景観と馴染ませたり、明るい色で目立たせたりなど目的に合わせた着色が可能です。
電蝕の心配もなく、他金属と組み合わせての使用が可能
異種金属が接触した状態で水に触れると、金属間に電気が流れ、その電気によって金属が腐食する「電蝕」という現象が起きます。その金属の腐食現象を防ぐために、通常、鉄とアルミ、ステンレスと亜鉛などの異種金属同士の接合は避けられます。
しかしFRPは電気絶縁性に優れているため電気を流さず、上記のような「電蝕」にも強い、という特徴を持ちます。そのため、鉄やステンレスなどの金属と組み合わせた使用も可能です。様々な金属との併用が可能であるため、建設の自由度も高まります。
原材料
エバープルトンは、熱硬化性樹脂にガラス繊維を加えたFRP素材です。熱硬化性樹脂とは、一度加熱されると硬化しその形状で安定するプラスチックのこと。そこにガラス繊維を加えることで、元のプラスチックに強度と弾性が加わります。
エバープルトンのスペック表
角パイプ、丸パイプ、チャンネル、アングル、フラットバーの5種類をご用意しております。通常のオーダーサイズ注文の他、図面を送っていただくことでこちらで強度計算・必要部材を出し、お見積りさせていただくことも可能です。
形状 | 形状寸法 × 肉厚 (㎜) |
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エバープルトンに関するよくある質問
ある程度のロットが必要ですが、様々な色で製作可能です。日本塗料工業会の色見本などで指定可能です。
在庫しているグレーと黄(下写真)以外の色の場合、追加料金がかかります。その他、通常より納期が延びますのでご了承ください。
「エバープルトン」は熱硬化樹脂にガラス繊維を加えて強化しています。下の表では、「エバープルトン」が引張りや曲げに対して大きな耐性を持つことがわかります。比重も考慮すると、非常に高い強度特性を備えていることがわかります。
エバープルトン | 構造用鋼 | アルミニウム | 硬質塩ビ | ||
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比重 | ‐ | 1.7~2.0 | 7.8 | 2.7 | 1.4 |
引張り強さ | ㎏/㎟ | 30 | 35~50 | 6~14 | 4.2~5.3 |
引張り弾性率 | ㎏/㎟ | 2,000 | 21,000 | 7,000 | 250~420 |
曲げ強さ | ㎏/㎟ | 30 | 35~50 | 7~28 | 7.0~11.2 |
曲げ弾性率 | ㎏/㎟ | 2,000 | 21,000 | 7,000 | 245~420 |
圧縮強さ | ㎏/㎟ |
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‐ | ‐ | 5.6~9.1 |