著名インテリアデザイナーに選ばれた、キャスト製法による「アクリルパイプ」
商品概要
ガラスのように美しく滑らかな映りと優れた強度を持つ「高透過アクリルパイプ」。パイプに痕が残らない独自の「キャスト製法」で作られており、パイプ越しの景色や物体を”ありのまま”に映してくれる。水槽やアート作品など、空間をデザインする素材として使用される事例も多く、日本を代表するインテリアデザイナーも、その透明度に惹かれ作品に採用しているほどである。
一般的なアクリルパイプと異なり痕がなく鮮明に景色を透過してくれる理由は、製法の違いにある。
通常のアクリルパイプは「押し出し製法」という手法で作られ、この製法の場合は名前の通りアクリルをところてんのように押し出して筒状に仕上げるため、押し出しの際の摩擦が痕となって残る。一方で、高透過アクリルパイプは「キャスト製法」という手法で作られ、アクリルの素材を高速回転する製造機で噴射しながら形を作り上げていく。筒状に仕上げるためにくり抜くステップがないため、摩擦が生じず痕が残らないわけだ。
またキャスト製法で作られる高透過アクリルパイプは、分子量が高く、優れた耐薬品性と強度を備える。接着・溶剤に強く加工も容易であることも特徴の1つだ。
高い「透過性」「強度」から、客船・水族館・駅で活かされる
その透過性の高さ・強度の高さから、国内外の水族館などで展示ケースとして、また空間を飾るアクリルポールとして用いられている。
ドイツのクルーズ会社「アイーダ・クルーズ」が、客船「AIDAprima」のバーエリアに活用
ドイツのクルーズ会社「アイーダ・クルーズ」が運航する客船「AIDAprima(アイーダ・プリマ)」では、バーエリアに高透過アクリルパイプが設置された。AIDAprimaは「三菱重工業株式会社」により建造され、全長は300m。日本国内で建造されたクルーズ客船としては過去最大のものだ。
使われたサイズ
外径 | 300㎜ |
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肉厚 | 5㎜ |
長さ | 4000㎜ |
千葉県の総合海洋レジャーセンター「鴨川シーワールド」が、円柱水槽に活用
「鴨川シーワールド」は、千葉県鴨川市に立地する大規模総合海洋レジャーセンター。「tripadviser(トリップアドバイザー)」調べによる「日本の水族館 ランキング 2019」では2位にランクインしている。色とりどりのサンゴ礁やクマノミ類を展示する「コーラルライフ」で高透過アクリルパイプを使用。6本の円柱水槽で、サンゴ礁の多様性をあらゆる角度で観察できる。
使われたサイズ
外径 | 2000㎜ |
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肉厚 | 15㎜ |
長さ | 1000㎜ |
東京都港区「品川アクアパーク」が、クラゲ水槽「ジェリーフィッシュランブル」に活用
東京都港区の「品川アクアパーク」は、品川プリンスホテル内の水族館を核とする屋内型テーマパーク。高透過アクリルパイプが使用されている「ジェリーフィッシュランブル」は、水族館の展示の中でも特に人気を集めるエリアだ。音と光で演出された幻想的なクラゲを楽しむことができる。一般的な四角形の水槽ではクラゲが傷付いて死んでしまうため、円形のアクリルパイプが採用された。
使われたサイズ
外径 | 1000㎜ |
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肉厚 | 10㎜ |
長さ | 2000㎜ |
京都府の「嵐山駅」では、友禅で飾る「アクリルポール」に活用
京都の代表的な観光地である嵐山と京都市内を結ぶ「嵐山駅」。「キモノフォレスト」は、2013年の嵐山駅リニューアルによって作られたアートスペースだ。キモノフォレストでは、友禅を用いたアクリルポールが約600本林立している。高さ約2mのアクリルポールの正体は、大型の高透過アクリルパイプ。パイプが2重構造になっており、外側と内側のパイプの間に友禅の生地を入れている。デザインを手がけたのは、海外でも活躍するインテリアデザイナーの「森田恭通」氏。高透明度のアクリルパイプが、LEDに照らされた友禅を美しく魅せている。
使われたサイズ
キモノフォレストで設置されたアクリルポールは、2層のアクリルパイプで構成されているため、直径の異なるアクリルパイプを購入いただいた。2層のアクリルパイプのそれぞれの外径を20㎜ズラすことで、アクリルパイプの間に友禅の生地を入れるスペースを確保した。
外側のアクリルパイプ
外径 | 200㎜ |
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肉厚 | 3㎜ |
長さ | 2000㎜ |
内側のアクリルパイプ
外径 | 180㎜ |
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肉厚 | 3㎜ |
長さ | 2000㎜ |
お気に入りの小物や植物を入れて、オリジナルのインテリアに
美しい透明のアクリルはライトアップとの相性抜群、夜を上品に照らす看板に
展示物を保護しつつ、「ありのまま」に見せるショーケースに
あえて中身を見せるドリンクサーバーで店内をオシャレに演出
床から天井に突き抜ける大型水槽で、水族館の目玉スポットに
インパクトのある菓子店のオブジェクトに
高い透過性を実現する開発の裏側
「高透過アクリルパイプ」には「メタクリル酸メチルモノマー」を使用している。原料となるアクリルの原液を、地下タンクに貯蔵し保管している。ドラム缶等での保管に比べて保存状態が良いため品質の劣化が少なく、ゴミ等の異物が混入することも防いでいる。
製造の際には、アクリルの原料に触媒を混ぜ、温度をかける事によって固形化させる。この製造過程は難しく、特に技術が求められるプロセス。製作したいパイプの厚みと大きさによって原料の最適な量・濃度は異なり、また当日の室温によってすら凝固するまでのスピードが異なってくるためだ。そこで、パイプのサイズと原料投入量の最適な組み合わせを40年かけてすべて検証し、独自の製造ノウハウを確立した。製作するパイプのサイズに合わせて原料の量を自動的に計算し、型に注入する設備も独自開発。これにより、常に効率的な生産性と安定した品質を実現している。
完成時には、パイプを通した景色の歪みがないかを1本1本目視で検査。さらに、必要に応じて画像測定器による検査も実施している。パイプの断面を精密カメラで捉え、直径や角度を機械的に計測、検査表まで自動的に作成している。透明性を誇るからには、妥協は許されない。細かな過程までこだわり抜いた製造法が、高透過アクリルパイプの品質を保ち続けている。
製造工程
1. 原料の保管
アクリルパイプの原料として使用しているのは、メタクリル酸メチルモノマー。原料は、地下タンクに貯蔵し保管されている。地下タンクでの保管は、ドラム缶等で保管するより品質の劣化が抑えられ、またゴミ等の異物の混入も防止できる。
2. 原料の重合・加熱
メタクリル酸メチルモノマーをアクリルの素に変化させる。熟成窯内でメタクリル酸メチルモノマーを重合(※)させたり熱を加えたりし、固形化前のアクリル樹脂を生成する。
※ モノマー(低分子化合物)をポリマー(高分子化合物)に変化させること。
3. 触媒を加え撹拌
アクリルの素に、固形化するための触媒を配合し、かき混ぜる。製作したいパイプの厚みや大きさ、また当日の室温によっても配合の量や濃度が異なるため、この過程は特に難しく技術が求められるプロセスだ。当社では、パイプのサイズに合わせて最適な量の原料を投入できる独自のノウハウを備えており、効率的な生産性と安定した品質を実現している。
撹拌などをしている間にチリやホコリが入る可能性もあるため、成形前には必ず原料をろ過させる。
4. 材料の注入・成形
材料を機械に注入し、パイプを成形していく。当社のアクリルパイプは、独自の「キャスト製法」で成形する。キャスト製法とは、原料を筒状の型管に入れ、加熱回転させて成形する方法だ。この製法により、成形する際に金型の痕が付かず、美しく滑らかな質感のアクリルパイプになる。また分子量も高くなるため、優れた耐薬品性と加工性、強度にも繋がっている。
5. 表面磨き・歪みの除去
成形後は、機械からアクリルパイプを取り出し、両端をカット。成形時、パイプの外側は型に触れていたため、多少曇りができる。そのため、成形品は機械と人の手で表面を磨き光沢を出し、よりクリアな仕上がりにしていく。
最終検査の前に行うのは、成形品を加熱することでアクリルパイプを構成する分子を安定させる「アニール処理」。アクリルが変形する寸前の温度で成形品を加熱し、刃物を入れたり接着剤を使用したりしても歪まずクリアな外観を保つアクリルパイプにしていく。
6. 検査・出荷
仕上げ処理を終えたアクリルパイプは、一本一本目視で見栄えを検査。異物やキズが無いか、また透かして向こう側の景色が歪んで見えないかを検査する。さらに、必要に応じて画像測定器による検査も実施している。パイプの断面を精密カメラで捉え、直径や角度を機械的に計測。妥協の無い細やかな検査で、アクリルパイプの品質を確認していく。
もし透明度が不十分であれば、何度も表面磨きと歪み修正を繰り返す。厳密な検査にクリアしたアクリルパイプのみが、完成品として出荷される。
「長さ」「外径」「肉厚」「断面の仕上がり」を決めよう
アクリルパイプを検討する際は、「長さ」・「外径」・「肉厚」・「断面の仕上がり」の4つを決めよう。こちらの図を見るとイメージが分かりやすい。
「長さ」の決め方は非常にシンプル。「使いたい長さ」が「必要な長さ」だ。当サイトの高透過アクリルパイプは、20㎜~1020㎜までの範囲で購入できる。その際に「寸法公差(誤差)」があることに気をつけよう。
長さ | 20㎜~1020㎜ |
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寸法公差 (誤差) |
+0㎜~+2.0㎜ |
「外径」も「長さ」と同じく決め方はとてもシンプル。「使いたい径の大きさ」が「必要な外径」。当サイトの高透過アクリルパイプは、30㎜~1200㎜までの範囲で購入できる。
外径 | 30㎜~1200㎜ |
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寸法公差 (誤差) |
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※ 当サイトでカート購入できる外径は1200㎜までになりますが、大口径の外径2000㎜の製作も可能です。お見積となりますので、ご相談ください。
「肉厚」を決めるときは、こちらの計算式にパイプの「外径」と「耐圧(どれくらいの圧力に耐えられるか)」をあてはめて求まる。計算に用いる「外径」と「肉厚」の単位が「cm(センチ)」であることに注意しよう。
肉厚の算出に必要なのは、アクリルパイプに求める「耐圧(MPa)」とアクリルパイプの「外径(cm)」。算出された肉厚の単位は「cm(センチ)」となる。(1cm = 10 ㎜)
尚、ここで記述の物性・性質等は当社が独自の結果に基づいた参考値であり、保証値ではない点に注意しよう。ご使用にあたっては、実際の条件下での試験をお勧めしたい。
寸法公差 (誤差) |
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「耐圧」はこの式で計算できる。こちらも、計算式で用いる「外径」や「肉厚」の単位が「cm(センチ)」であることに要注意。
「鴨川シーワールド」の円柱水槽を例にすると、水槽の耐圧は次のように算出される。
外径 | 2000㎜ (200cm) |
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肉厚 | 15㎜ (1.5cm) |
長さ | 1000㎜ (100cm) |
計算式から求まる耐圧は、0.055125MPaとなる。
断面はカットの仕方次第で仕上がりを変えられる。
- 切りっぱなし
- 糸面取り
- ツヤミガキ
切りっぱなし |
切断面に多少凹凸ができる |
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糸面取り |
「切りっぱなし」での凹凸をなくし、切断面を平坦にする |
ツヤミガキ |
切断面の凹凸をなくした上で、透明感が出るよう綺麗に磨く |
価格は「外径」・「肉厚」で決まる
価格は「長さ」や「断面の仕上がり」によらず、シンプルに「外径」と「肉厚」だけで決まる。
製作からお届けまでの期間
- 在庫があるものは翌営業日に出荷
- 大型品など一部製品は、1~2週間で出荷
使用時はこの3つに気を付けよう
1. 直接日光に当たらない場所で使う
強い紫外線を受け続けると、劣化が早まるため、屋外・屋内ともに、できる限り直射日光にさらされない場所で用いる。
2. 掃除をする際は「中性洗剤」を使う
酸性やアルカリ性の洗剤の場合、品質の劣化に繋がる可能性があるため要注意。尚、薬剤に対する耐性は下記の通りだ。