サッシを学ぼう!三協アルミ「アルジオ」を徹底分析!【性能編】
Yes, sir! カタログ三等兵です。
建材紹介の任務を開始します!
最近台風・ゲリラ豪雨による道路の冠水が多いですよね。こうした天災に備え三協アルミでは「厳しい環境に負けない」をキャッチコピーに、アルミと樹脂の複合サッシ「アルジオ」を2015年の10月に発売しました。
ところでみなさん、窓選びに本気で取り組まれたことありますか?実物を見たことがなかったので、広報担当の方のご協力のもと今回富山県高岡市の三協アルミのショールームを見学させて頂きました。感想としましては、窓って実はすごいけど良く知られてないと痛感しました。つい見た目を気にしがちになりますが、実は家の断熱性能に大きく関係している建材だからです。断熱材選びに時間を割く気持ちもありますが、実はそれに匹敵するくらい窓選びも重要。
建築業界でなければ知る・学ぶ機会がない窓について、今回は「アルジオ」を教材としながら窓選びの勘所についても学んでいきましょう。それではまいります。
「アルジオ」で確認しておきたい性能は3つ
アルジオで確認しておきたいポイントは以下の3つです。この記事では1つめの「耐風圧・水密性」をみていきます。残りは次回記事にて紹介していきます。
- 耐風圧・水密性
- 断熱性能
- 安心構造
1. 暴風雨・ゲリラ豪雨に耐える「耐風圧・水密性」
引用元 : 三協アルミ | ハイスペックサッシ アルジオ WEBカタログ
引用日 : 2016年8月4日
最近ゲリラ豪雨多いですよね。横殴りの雨風に耐える性能として、JISの耐風圧性と水密性という基準がありまして、それには等級という基準が設けられています。アルジオは住宅用建材として最高グレードの等級認定を受けており、具体的には以下のとおりです。
- 耐風圧性 : S-4
- 最大瞬間風速57m/sに耐えられる性能
- 水密性 : W-5
- 1時間あたり240mmの降雨時に、風速35m/sの風が吹いても雨水が下枠からあふれない性能
この等級は高層ビルでも使用可能な性能値であり、同社の従来品「マディオJ/マディオM」よりもワンランク上となっています。この等級をもたらす機能として、以下のものが貢献しています。
1-1. 耐風圧性S-4に貢献する、タブルホロー
「耐風圧性」には「ダブルホロー」という形状が貢献しています。ダブルホロー形状とはいわばお部屋に仕切りが入った状態のことです。この仕切りが強度を左右するなんて不思議です。こちらは引き違い窓のみの採用です。
1-2. 障子引き寄せピン
窓フレームと開いた窓がより密着して閉じ、水密性を高める機能。縦枠の内側にピンがついており、開いた窓(障子)がサッシ内に戻った時に密着できる仕組みです。
1-3. 水密性W-5に貢献する、ハイパードレイン構造
引用元 : 三協アルミ | ハイスペックサッシ アルジオ WEBカタログ
引用日 : 2016年8月4日
次は「水密性」です。これは水の漏れにくさの指標です。大量の雨が降った後サッシのレールに溜まった水を見かけたことありませんか?このハイパードレイン構造は、これらの水が中へ入ってくるの防ぐのがねらいです。水を逃がす仕組みです。屋外側&屋内側のレールにたまった水を逃がす空き部屋のようなものです。ちなみに従来品「マディオ」にもこの水溜り部屋はあったのですが、アルジオでは大容量化しています。
赤丸で囲んだ水溜まり部屋が大きくなっているのが分かりますか?
溜まった水はここから排水されます。この出口は従来品からありますがアルジオでは排水弁が大きくなっており、より詰まりにくい構造に。
1-4. サッシを保護するHDコート
次のHDコートは雨風にさらされる屋外のサッシを守る機能です。屋内だけを守って屋外のサッシがボロボロなら片手落ちですよね。HDコートはサッシにコーティングを施し風雨の耐久性を増しています。ただし、外観色(アルミ側)がホワイトの場合は利用できません。
アルミ建材に施す皮膜の樹脂分子間の結合力を高めることで、塗膜の劣化や減耗を抑える高耐久性複合皮膜「HDコート」は、高意匠と高性能を併せ持つ、三協立山アルミ独自の表面処理技術です。
引用元 : 【三協アルミ】ニュースリリース/アルミ建材をより長く美しく保つ表面処理 高耐久性複合皮膜「HDコート」
引用日 : 2016年8月4日
購入前の注意点
注意点もあります。それはサッシのサイズにより等級が変わる点。S-4等級は2枚建(下記写真参考)でサッシ幅が169センチまでのものに。4枚建では等級が落ちる場合があるため設計士・工務店によく確認しておきましょう。
2. アルジオの断熱性能
引用元 : 三協アルミ | ハイスペックサッシ アルジオ WEBカタログ
引用日 : 2016年8月4日
アルジオの熱貫流率は「1.95W/m2・K」とマディオJの「2.33W/m2・K」よりも小さい値となっています。これを実現する仕組は一体何があるのでしょうか?
2-1. サッシ上枠の素材をアルミから軟質樹脂へ
引用元 : 三協アルミ | ハイスペックサッシ アルジオ WEBカタログ
引用日 : 2016年8月4日
従来の平らな形状の樹脂を凸形状にすることで、障子と枠の隙間が狭くなり熱の流出量を抑えています。
また一般的にこれまで窓フレームの素材として、アルミ・樹脂・木の3つがありました。近年アルミの窓フレームが樹脂に置き換わりつつあります。理由は熱の通しにくさが樹脂の方が優れているからです。アルミと樹脂の熱伝導率を比較すると次の通りです。
- アルミ…236
- 樹脂(エポキシ)…0.21
引用元 : ウィキペディア
引用日 : 2016年8月8日
ざっと1000倍違いますね。樹脂は意匠性が低くなりがちですが、アルジオでは屋外側の上枠部分に使用し、なるべく意匠性に影響がでないような配慮をしています。
2-2. 障子の工夫 : マルチチャンバー
引用元 : 三協アルミ | ハイスペックサッシ アルジオ WEBカタログ
引用日 : 2016年8月4日
アルジオはマルチチャンバー形状(多層形状)という構造をもっており、これが断熱性UPに貢献しています。上記写真をみると、窓フレームの中に小部屋のような空間がたくさんあることがわかりますでしょうか?この空間を設ける目的は、空気の層をいれるため。動かない空気は熱を伝えにくい性質を持っています。その空気層で仕切っていくことで断熱性能を上げています。
小部屋がたくさんあればあるほど、熱が通りにくくなるわけですね。
2-3.ガラス面積の拡大
引用元 : 三協アルミ | ハイスペックサッシ アルジオ WEBカタログ
引用日 : 2016年8月4日
最後の断熱性能UPの秘密は、ガラス面積の最大化。ガラスが大きくなるとなぜ断熱性能が上がるのか、疑問に思いませんか?実はガラス単体での熱貫流率は「1.2W/m2・K」である一方、窓全体での熱貫流率は「1.95W/m2・K」となっています。つまりガラスのみの方が、窓(ガラス+サッシ)よりも高い断熱性能を持っているということです。その理由はガラスよりも窓フレーム素材であるアルミ・樹脂の方が熱を通しやすいからです。だからこそガラス面積を大きくし、フレームを小さくする動きが窓業界で加速しています。
アルジオではトリプルガラスもはまる仕様になりました。ペアガラスの熱貫流率は「1.95w/m2・K」に対しトリプルガラスは「1.34W/m2・K」。従来品のマディオJ・マディオMはガラスが入る間口が26mmで、これはトリプルガラス29mmが入らない長さだったのですが、アルジオでは32mmまで拡大しています。そのためトリプルガラスを入れられます。
3. 住まいを守るための安心構造
3-1. トリプルジョイント構造
防水を高める「トリプルジョイント構造」という、上枠をネジで3点止めにした構造をしています。ネジ間隔を短くし防水シーラーの密着度を高めて止水性を向上しています。さらに重い障子によるサッシ枠の変形を防ぐため、躯体掛かり寸法を37mmと大きく取っています。例えば「つま先で階段の縁に立つ」か「足裏半分ぐらいで階段の縁に立つ」場合では、足への負担も安定感も異なりますよね。従来品マディオでは寸法が27mmなのに対し、アルジオでは+10mm長い37mm。この10mmの違いが躯体掛かりの負担軽減に貢献しています。
3-2. 外障子はずれ止め自動ロック機構
「外障子はずれ止め」とは屋外側の障子がサッシから外れ落下するのを防ぐものです。従来の窓は手動だったのですが、アルジオでは自動でロックがかかり外れない状態になります。「はずれ止めをかけ忘れる」ということがなく、万が一の落下の心配がありません。
3-3. 一体水切(オプションの機能)
引用元 : 三協アルミ | ハイスペックサッシ アルジオ WEBカタログ
引用日 : 2016年8月4日
こちらはオプションですが、外壁に雨だれの汚れが付くのを防ぐのが、「水切」という部材です。サッシ枠に取り付ける構造のため、サッシと一体化して壁に納まります。そのため壁の上から取り付けるよりも取り付け面が見えず、仕上がりはスッキリします。こちらは引き違い窓W1690の場合7,800円。雨の多い地域に向いています。また、比較的汚れが目立ちやすい白・ベージュ系のサイディングや左官外壁の場合により効果的です。
価格
最小サイズの価格 | S-4等級を満たす最大サイズの価格 | |
---|---|---|
引違い窓(窓) | 35,200円 | 57,400円 |
引違い窓(テラス) | 86,100円 | 104,300円 |
引違い窓「フラットレールタイプ」(窓) | 45,900円 | 71,800円 |
引違い窓「フラットレールタイプ」(テラス) | 107,700円 | 130,400円 |
面格子付引違い窓(たて格子) | 49,680円 | 123,800円 |
面格子付引違い窓(クロス格子・横格子・枡格子) | 56,100円 | 140,600円 |
面格子付引違い窓(目隠し可動ルーバー) | 69,900円 | 180,200円 |
面格子付引違い窓(目隠し固定ルーバー) | 64,100円 | 177,100円 |
面格子付引違い窓「フラットレールタイプ」(たて格子) | 63,790円 | 149,400円 |
面格子付引違い窓「フラットレールタイプ」(クロス格子・横格子・枡格子) | 70,400円 | 166,200円 |
面格子付引違い窓「フラットレールタイプ」(目隠し可動ルーバー) | 88,100円 | 205,800円 |
面格子付引違い窓「フラットレールタイプ」(目隠し固定ルーバー) | 79,300円 | 202,700円 |
シャッター付引違い窓(窓タイプ) | 121,100円 | 145,700円 |
シャッター付引違い窓(テラスタイプ) | 176,000円 | 203,100円 |
シャッター付引違い窓「フラットレールタイプ」(窓) | 138,500円 | 166,700円 |
シャッター付引違い窓「フラットレールタイプ」(テラス) | 204,500円 | 235,900円 |
UD断熱障子(テラス) | 113,000円 | 128,400円 |
UD断熱障子「フラットレールタイプ」(テラス) | 139,200円 | 170,500円 |
片上げ下げ窓 | 56,700円 | 84,800円 |
面格子付片上げ下げ窓(クロス格子) | 73,400円 | 119,900円 |
面格子付片上げ下げ窓(たて格子) | 66,670円 | 112,300円 |
たてすべり出し窓「オペレーターハンドル」 | 51,300円 | 77,500円 |
すべり出し窓「オペレーターハンドル」 | 47,900円 | 79,900円 |
FIX窓(窓) | 16,800円 | 43,100円 |
FIX窓(テラス) | 27,700円 | 56,300円 |
※ガラスは別売りです。
※税抜き価格です。
まとめ
いかがでしたか?
アルジオの3つの特長のうちの1つめ「耐風圧・水密性」についてみていきました。耐風圧・水密性のポイントは以下の3つでした。
- ダブルホロー
- ハイパードレイン構造
- HDコート
2つめの特長「断熱性能」では、以下の3つがポイント。
- サッシ上枠素材を軟質樹脂化
- マルチチャンバー
- ガラス面積の拡大
3つめの特長「安全を守るための構造面」では、以下の3つがポイントでした。
- トリプルジョイント構造
- 外障子はずれ止め自動ロック機構
- 一体水切り
今回は性能面に特化した記事でした。
次回は使い勝手に焦点を当てた記事をお届けします。
以上、カタログ三等兵でした!
この建材のポイント
オススメなのは? | ・自然災害への備えをしたい人 ・雨の多い地域の人 |
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一番の強みは? | 耐風圧性がS-4で、水密性がW-5 |
施工の強みは? | 外障子はずれ止め自動ロック機構がある |