地域の技術力を最大限に活かした建材とは。
那須塩原市まちなか交流センター「くるる」
地域産業の景観を残す
人と文化が入り混じる交流拠点
東京から東北新幹線で約1時間の場所にある那須塩原市は、酪農や農業が盛んなまちだ。JR黒磯駅から徒歩2分の場所にある那須塩原市まちなか交流センター「くるる」は、市民の新たな交流拠点として2019年に完成した。「くるる」の外観で目を引く長さ50mもの大屋根は、黒磯周辺でよく見られる大屋根の倉庫建築をイメージしたもの。東京と東北をつなぐ拠点としてさまざまな産業が集積している黒磯の景観にもマッチしている。また6mもの天井高があることにより、内部・外部・半外部空間がゆるやかにつながり、全体がワンルームのように感じられるのも大きな特徴だ。
設計に携わった藤原徹平氏は、地域の人々が日常を舞台にできる新しい時代の建物を目指した。このプロジェクトには「人と食を育む交流の家」というテーマが与えられていたが、時にはフードコートとして、コンサートホールとして、お祭り広場として用途を自由に変えられ、目的を持たない人も思い思いに過ごすことができる多目的広場を目指した。「『くるる』に行けば常に面白いことが起こっている」そんな文化をつくりだすことで、都市部からの移住者の増加も期待されている。
実際に「くるる」では、高校生が学校の帰りに電車の待ち時間を使って勉強していたり、年配の方が集まって談笑していたりなど、世代ごとに自由な使われ方をしている。地域で暮らす人々のあらゆる活動を受け入れる、これからの都市のあり方を変えるような建築なのである。
那須塩原市まちなか交流センター「くるる」
所在地 / 栃木県那須塩原市
設計 / 藤原徹平+針谷將史+フジワラテッペイアーキテクツラボ