MATERIAL
メーカーもさじを投げた難解な窓を施工
【富永建具 木製サッシ】

「TAKARAZUKA HUTS」のデザインの中でも特殊なのが、建物内側の窓・サッシの合わせ部分。110度という角度により気密性の保持や網戸・鍵の取り付け方が難しく、他のメーカーがさじを投げたほどだった。しかし、窓を開けたときに庭とつながり全開放となるにはこの納まりしか成立せず、「実現のために妥協せず一緒に仕事ができる会社を」と考えた前田氏が徳島から招いたのが富永建具だった。現場で打ち合わせをしながら試行錯誤を繰り返し、戸と戸が付き合わさる部分をトメ構造とし、建築の精度の誤差も建具の技術で吸収することで、隙間を無くし密閉性を保たせる見事な木製サッシが完成した。

前田さん、なぜこの建材を採用したのですか?

徳島県佐那河内村での古民家改修時にお世話になった建具屋さんで、当時もこちらの無茶な要求にも対応してくれ、今回もこの意匠を実現できるのでは、と思い声をかけさせてもらいました。やり方を現場で一緒に考え、徳島で製作してこちらに来て設置してもらいました。

メーカーさんへ聞いた
建材開発秘話
富永 裕司さん

建築家の理想を現実にする

最初に設計を煮詰めているときは「これは難しそうだ」という感覚でした。しかし富永建具のモットーは「建築士の理想をできるだけ現実にしてみる」ということです。頭を柔軟にして、理想に対して無理とは思わずどうやったら形にできるか、をまず考えることから始めます。もちろん限度はありますが、たいていは考えるうちにどうにかできてしまうものです。

現場での即興対応でまとめきる

県外への仕事はたまにあり、今回も徳島から兵庫県の宝塚に出向きました。110度という今までにない角度だけに現場対応が必要だと思い、徳島で製作してから現場へ行って取り付けました。実際に建築をしていて誤差は生まれます。それは本当に些細なものですが、木工なので現場で切ったり削ったりと、切り込み作業を行うことでその誤差を埋めることができました。

経験が次のステップとなる

今回の仕事は自信につながりました。今後も今までと変わらず、難しい案件でも可能性が少しでもあるのなら模索して進んでいきたいと思います。それによってこれまで取得していなかった技術や発想が得られますし、それが次のステップにつながっていることを実感しています。どんな仕事でも経験だと思って積極的に取り組みスキルを積み上げていきたいと思っています。

富永建具の特徴

1.4代続く建具職人の誇り

富永建具は、古くから木工業が盛んなまちである徳島県阿南市において4代ものあいだ続く小さな木工職人工場。

2.オーダー家具の設計・製造

県内外の店舗や住宅でのオーダー家具を製作。小さな仏壇を格納する家具なども受注している。

3.キッズ用の家具も製作

学生時代からプロダクトデザインを楽しんできた富永社長の経験から、オリジナル家具部門「U,G FURNITURE」を展開。オーダーメイドでキッズ用の家具も製作している。

有限会社 富永建具

〒779-1102
徳島県阿南市羽ノ浦町宮倉芝生13-7
TEL:0884-44-2369
FAX:0884-44-2061
MAIL:tominaga@chive.ocn.ne.jp
tategu.ugfurniture.com/

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