ARCHITECT’S Q&A

遠藤克彦が選ぶ5つの建材

Q. 今後、挑戦したい建材はありますか?

A. カーボン

建築の新しい可能性を秘めた素材

カーボンは炭素繊維の、圧倒的な軽さと強度を持った素材で、飛行機や車、自転車などにも使用されています。一方で、建築は他業界より5~10年遅れていて、カーボンが使われる場面がまだまだ少ないんです。だから、建築においてカーボンの可能性を広げるきっかけ作りができたらと日々考えています。地震が頻繁に起こる日本の建築では、カーボンは非常に重宝すると思うんですよ。軽いことで構造負担を減らせるうえに、少しの材料でかなりの強度を与えることができる。例えば、300mm角の柱を、カーボン1mmくらいの厚みで自立させられるかもしれません。そうなると、楽に建物が造れるようになりますよね。引張強度を考えるのもとても面白そう。でも、カーボンは耐火性の問題を抱えているので、建築ではまだ浸透していないのが現実なんです。

僕は、カーボンが建築に使われる出口は、意匠に設備と構造がインテグレートされて行く過程の中にあると思っています。今の建築施工は、まず基礎を作り、骨組みを立て、設備を配置し、仕上げを行う。という流れが一般的ですよね。でも、カーボンには構造と仕上げを一体的に、さらには設備性能も備えた骨組みのような、いわば「モノコック」な建築の可能性を秘めているのでは、と考えています。カーボンは、建築の形態を変える可能性を秘める、避けては通れない素材です。ただ、大きな建築では勝負しにくいので、まずは小さな建築から始めたいですね。

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