MATERIAL
液体金属の光沢が変える表情
【ヴェロメタル】

レセプションホールカウンター下の幕板には、細目木毛セメント板が用いられている。経年変化を味わいに変えていけるよう、少し煤けたようなムラのある素材を探すなかで選ばれたこの板は、汎用性のある建材でありながら、適度なクラフト感のあるテクスチャーが魅力だ。しかし、板の素材が剥き出しのままでは空間が単なる古びた民家や倉庫のようなトーンになり、施主がこれまでの集大成として提供する新たなホスピタリティの空間にはそぐわないと考えた本瀬氏と齋田氏。そこで金属塗料「ヴェロメタル」を木毛セメント板に塗装することで、かつての集落の雰囲気を醸しつつも金属質のやや煌びやかな艶が加わる仕上げにした。谷筋を望む眺望を最大限に取り込んだロビーに設置されたカウンターは、窓から入り込む自然光をやわらかく反射し、精巧な細工が施された工芸品のような奥深い表情をつくり出している。

サモアーキさん、なぜこの建材を採用したのですか?

身近な素材に新たな価値を与える

固有のテクスチャーを持つ素材を基盤に、金属の塗装や左官を施すことで新たな表情をつくる手法には、長年興味を持っていました。今回のデザインでは、造形として特異なことをするよりも、シンプルな造形の中に昔からあるかのような味わいをどのようにつくっていけるのかを考え、どこにでもある見慣れた素材である細目木毛セメント板にこの手法を適用すべく富山県内で活躍する塗装職人を頼ったところ、この商品を紹介されました。このオーベルジュは敷地周辺の山や近海で獲れた素材を使い、究極の地産地消を目指しています。どこにでもある身近な素材にひと手間を加え、新たな表情・価値を与えるこの建材に、施設の目指す理念に通じるデザイン性を感じ、採用しました。

施工会社さんへ聞いた
建材施工秘話

ZINEN合同会社
中田政一さん

「磨き」が美しさを決める

今回施工した「ヴェロメタル ガンスモーク」はシリーズの中でも腐食性がないものの一つで、硬度も高く頑丈、黒いシルバーのような質感が特徴です。下地処理・塗布・磨きの全工程が良いと非常に美しい仕上がりになります。その神秘性、ありそうでないものという要素も採用された理由の一つなのではないかと思います。特に磨きの工程は最も重要で、力の入れ具合や角度によってテクスチャーの現れ方、光沢など仕上がりが変わるため、細心の注意を払いました。

ヴェロメタルの詳細・ムービーはこちら

ヴェロメタルの特徴

1.リキッド化した金属

ドイツ生まれの特殊メタルコーティング剤。金属を極めて微細な粉末に加工する高い技術と、特殊技術を駆使した溶剤により、多種多様な金属をリキッド化している。

2.素材を選ばず塗れる

木材やプラスチックなどあらゆる素材に塗布することができるため、通常の金属では不可能な形状も表現可能。金属の質感がほしいが質量をコントロールしたい時にも。

3.多様な表面処理も可能

塗布後の表現力にも優れ、サビ付けやムラ出しはもちろん、ヘアライン加工など物理的な加飾処理にも十分な耐久性を発揮。思いのままの表面処理を実現する。

株式会社アイチ金属

〒462-0011
愛知県名古屋市北区五反田町77
TEL:052-909-5600
FAX:052-909-5610
MAIL:info@aichi-metal.co.jp
URL:www.aichi-metal.co.jp/

 

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