This issue’s CLASS1 ARCHITECT

佐野哲史氏(左上)と永井拓生氏(右上)と稲垣淳哉氏(左下)と堀英祐氏(右下)

Eureka / エウレカ

建築家

稲垣淳哉
INAGAKI JUNYA
1980年 愛知県生まれ
2004年 早稲田大学理工学部建築学科卒業
2006年 早稲田大学大学院修士課程修了(建築学)
2007年-
2009年
早稲田大学建築学科助手(古谷誠章研究室)
2009年- Eureka 共同主宰
佐野哲史
SANO SATOSHI
1980年 埼玉県生まれ
2003年 早稲田大学理工学部建築学科卒業
2004年 Renzo Piano Building Workshop
2006年 隈研吾建築都市設計事務所
2009年- Eureka 共同主宰
永井拓生
NAGAI TAKUO
1980年 山口県生まれ
2003年 早稲田大学理工学部建築学科卒業
2005年 早稲田大学大学院修士課程修了(工学)
2005年-
2007年
早稲田大学大学院博士後期課程
2009年 永井構造計画事務所
2009年- Eureka パートナー
堀英祐
HORI EISUKE
1980年 佐賀県生まれ
2004年 早稲田大学理工学部建築学科卒業
2007年 早稲田大学大学院修士課程修了(工学)
2007年-
2009年
早稲田大学大学院博士後期課程
2009年- Eureka パートナー

主な受賞歴

2014年 第46回 中部建築賞(Dragon Court Village)
2017年 2017年度 グッドデザイン賞 グッドデザイン・ベスト100(Dragon Court Village)
2017年 日本建築家協会 JIA東海住宅建築賞2014 大賞(Dragon Court Village)
2019年 SD Review 2019 入選(あざみ野の土)
2020年 2020年度 土木学会デザイン賞 奨励賞(奈義町多世代交流広場 ナギテラス)

主な作品

2012年 感泣亭
2013年 Dragon Court Village
2018年 Nagasaki Job Port
2019年 奈義町多世代交流広場 ナギテラス
2021年 あざみ野の土

建築家を目指したきっかけは?

(佐野)建築が好きだったからです。私を建築嫌いにさせなかった恩師の古谷誠章さんに感謝しています。
(稲垣)大学院で所属していた古谷誠章研究室は、特にチームで活動をする機会が多かったですね。ひとりでつくる面白さよりも、コラボレーションや、コレクティブにものづくりをしていくことの面白さを体験してきたので、Eurekaというチームで活動をする決断に至ったのも割と自然な流れだったと思います。

現在進行中のプロジェクトは?

(稲垣)災害対応を考えた住宅モデルをつくり商品化するプロジェクトに関わっています。大雨による河川氾濫で市街地の住宅が水没するような現象に対して、木造2階建て住宅をかさ上げして3階建てにし、1階部分をRCにする住宅モデルです。「Dragon Court Village」や「感泣亭」のような、地域に対して開きながらコミュニティ力を養っていける賃貸住宅をつくろうとしています。

これからチャレンジしたいことは?

(稲垣)このご時世なのでなかなか難しいですが、早く海外で仕事をしたいですね。我々の建築を発信して、現地の方の意見を聞いてみたいです。20代後半から30代後半までの10年ほど、アジア各地の集落に通っていました。土着的な住宅には現代の建築に失われつつあるような重要な知見があると感じているのですが、残念ながら今は行けないので、現地で体感し魅了されて切実に思っていたことが薄れていくようです。時間や距離的なところで分断が起こり、手を伸ばそうとしていた重要なことが遠くに行ってしまっている危機感に近い感覚を持っています。

事務所のターニングポイントになった建築は?

(佐野)「感泣亭」という、住宅に離れをつくるプロジェクトです。それまでは、例えば住宅なら住宅をつくる、事務所なら事務所をつくるという意識で仕事をしていました。しかし「感泣亭」の場合は、離れという住宅から切り離された場所があることで、住宅として一般的には想定されない使い方ができる空間になりました。その使われ方を見て、「空間はデザインの仕方によって想定以上の使い方ができる」ということを学びました。その学びから、「感泣亭」と同時期に設計をしていた「Dragon Court Village」でも、集合住宅に離れを組み込んでみようと試みました。

ガラスと聞いて思い浮かぶ自身のプロジェクトは?

(佐野)隈研吾建築都市設計事務所時代に担当した、アメリカの住宅「Glass / Wood」です。森の中に建つ全面ガラス張りの住宅で、太陽の光や雲がかかったときの影などが家の中でもダイレクトに感じられ、まるで外に居るような感覚になれます。ただガラス張りにして「モダンです」というだけではない建築が僕にとって新鮮でした。このような屋内外が一体になる空間をつくった経験は、「Nagasaki Job Port」の設計にも活きていると思います。ちなみに、「Glass / Wood」を見た施主に依頼され設計したのが「Eagle Woods House」。後の仕事に繋がったという点でも思い出深いです。

求める人物像

(佐野)様々なジャンルの考えを持ち、それをデザインとしてまとめられる人でしょうか。Eurekaは4人で事務所をつくっているので、仕事の中でも色々な意見が出ます。また、我々が関わるプロジェクトも「ひとりのクライアントのために」というものだけではなく、色々な立場の方がいて、そのなかで設計をするということが増えています。我々の事務所の形態としてもプロジェクトの内容からしても、一つのことを突き詰めるというよりも、色々な角度の話を総合的にまとめられる人がいると、良いチームになれるのではないかと思います。

(稲垣)僕は明るい人が必要だと感じます。周りの人を楽しませるパワーや明るい希望を持つ力というものは、自分の中だけから湧き上がってくるものではなく、人と人の間でしか生まれないものだなと、歳とともに思います。そして、そのような明るさやフレッシュな空気というものは新しい人が入ってこそ、取り込むことができる。Eurekaは「熟練の人たちだけで集まって良い建築をつくろう」というチームでは決してないので、そのような明るさやパワーをもたらしてくれる人材を大切にしたいと思っています。

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