【NUNOUS】唯一無二のサスティナブル新素材 #07 セイショク株式会社

2024.08.07
新連載企画『メーカーさんの一推し製品』がスタート/建材メーカーを含むサスティナブルな活動を行う企業に独占取材!彼らの一推し製品についてお話を伺いました。

世界に一つだけの美しい柄を生み出す、サスティナブルな新素材
「NUNOUS(ニューノス)」

セイショク 株式会社は、1880年に岡山県の倉敷市で創業した140年の歴史をもつ老舗染色加工会社です。創業当初は織物製造業からスタートし、現在はユニフォームの染色加工事業を中心に行っています。また近年では、傷や染めムラで規格外となった布を独自製法でアップサイクルする「NUNOUS(ニューノス)」事業を展開。環境にも配慮した持続可能なサスティナブル素材やプロダクトを提供しています。
さらにニューノス事業では、国内企業とのコラボレーションにより、様々な新しい企画やプロダクトも誕生すると同時に、国内だけでなく海外市場への事業展開にも力を入れています。

今回、ニューノス事業部の高橋さんに、ニューノスができた背景や、今後のビジョン、チャレンジしたいことについてお話を伺いました。

 

セイショク株式会社
ニューノス事業部
高橋さん

ー早速ですが、ニューノスとアップサイクルされる素材について教えてください。

ニューノスは、『捨てるものをなくす』をコンセプトに、近年の地球環境の改善も目指すサスティナブルな新素材です。主原料は廃棄する布素材であるため、アップサイクルによって同じ色、同じ柄にはならない、世界に一つだけの素材が誕生します。

製造工程は、この規格外の布とサトウキビの非可食成分から作った接着剤フィルムを交互に数百枚積層し、加熱圧縮、冷やして固めることで「ニューノスSTONE」というブロック素材になります。さらに、このSTONEを薄くスライスすることで「ニューノスSKIN」というしなやかな素材になります。そして、表面に自然な木目や波模様、大理石のような美しい柄が現れることもニューノスならではの魅力です。

左からSTONE(ストーン)、SKIN(スキン)

ーニューノスをスタートしたきっかけを教えてください。

元々の染色事業では、染めムラや傷のある生地は燃やしたり廃棄処分していました。しかし、これらの廃棄生地を無駄にするのはもったいないと感じ、アップサイクルによって新しい製品を生み出すことを考えたのが、社内プロジェクト「NUNOUS(ニューノス)」です。

世界的にも、繊維産業やファッション産業は、廃棄素材を埋めたり燃やすことで環境に大きな負荷を与えています。一方で、日本では製品の品質基準が高いため、基準に満たない規格外品が大量に発生しています。ニューノスではこれらの規格外品の廃棄を減らし、CO2排出量の削減を通じて地球環境の改善にも貢献したいと考えています。

ーそのような経緯だったのですね。ニューノスの色や厚みの展開も教えてください。

色味に関しては、STONE、SKINともに定番カラー8色で展開していますが、規格外品が原料となるため、色柄にはバラつきがあります。ただし、一つとして同じ色柄が出ないのも特徴です。また、両面使用可能なので、表裏で柄の見え方が異なるのも面白いかと思います。

STONEは厚みが4~48㎜と幅広く、強度も高いため、工業製品としての耐久性も兼ね備えています。一方、SKINの厚みは0.6、0.7、0.8、1.0㎜を定番としており、テキスタイルらしい柔らかな質感と柔軟性から、曲面への施工も可能です。

ー建築分野では、どのような方々に使用いただいていますか?また、建材としての使用事例や用途につきましてもご紹介ください。

ニューノスは、大手建築会社を中心にホテルや店舗、オフィスなどの内装用壁面パネルや案内板として広く使用いただいています。また、それに伴い設計事務所からの問い合わせも増えてきました。建築家の隈研吾さんもニューノスを気に入ってくださっていて、最近ではLEDの照明カバーとしてSKINを採用いただきました。
一方で、ニューノスの素材は現時点で不燃・準不燃認定が取得できていないため、インテリア製品としては、取り外しや移動が可能な用途限定でご使用いただいております。

ー不燃、準不燃認定が取得できると、更に可能性が広がりそうですね。ニューノスの立ち上げにあたり、企画や設計のヒントとなった人物や物事はありますか?

まず、岡山県の工業試験センターに相談し、製造方法についてアドバイスをいただきました。その結果、加熱後にプレスすることで現在のSTONE(固形)を作ることに成功します。当初はこのSTONEのみを製品化する計画で、現在のSKINにつながるスライスして削りだすという発想はなかったんです。

ですが、看板制作会社の方とSTONEの話をしていた際に、「スライスしてみるとどう?」というアドバイスをいただきます。そこから、知り合いのツキ板メーカーさんにSTONEのスライスを依頼することに。そこで実際にスライスをしてみると、1枚1枚異なる美しい木目模様のテキスタイル素材が出てきたことで、「これはいける!」と現在のSKINが誕生しました。

ー実際に、ニューノスを使用されたお客さまの反応はいかがですか?

建築関係者や企業、メーカーさんを中心に、ニューノスはサスティナブル且つデザイン性が高い素材であると非常に高い評価をいただいています。特に、複数の生地を重ね合わせることで生み出される美しい断面が、多くのお客さまに支持されています。

建築・設計・インテリアデザインに携わる方々は、空間に奥行きを求めることが多いようです。そのため、薄さのなかにも立体感があるSKINは、価格面でも使いやすいことから多く採用いただいています。また、最近ではサスティナブル分野に力を入れている企業さんからも多くの問い合わせをいただいております。

ー国内でも多くの企業とのコラボレーションがあるとのことですが、建築系のプロダクトについてご紹介ください。

㈱竹中工務店さんとコラボレーションした、「使えなくなった作業服から生まれたサイン」や㈱ユニオンさんとコラボレーションした、「ドアハンドル」などの製品があります。こちらの2点は、今年の6月に出展した、インテリアライフスタイル展でもご紹介させていただきました。どちらもファッションと建築の分野を融合させたプロダクトであり、アップサイクルの可能性を広げた活用例となっています。

左から株式会社竹中工務店さま製作のサインと使用イメージ

左から株式会社ユニオンさま製作のドアハンドルイメージとカタログ写真

ーニューノスの素材を通して、これからの未来に期待することは?

現在は、ニューノス作成用の生地が限定されてしまうため、少しでも素材の種類を増やして、可能性を広げたいと考えています。例えば、ナイロン素材に撥水加工や防炎加工が施されていると、表面に薬品が塗られているため、加熱時に有害物質が発生する可能性があります。そのため、現在は受け付けていないのですが、将来的には加工できるようにしたいと考えています。
また、現状ではニューノスの作成可能な最大サイズが450×225㎜なのですが、今後は450×450㎜サイズの作成も見込めるため、その可能性にも期待したいですね。

ー今後チャレンジしたい事や今後のビジョンについてお聞かせください。

近年、ヨーロッパ方面からニューノスへの問い合わせが増えてきているため、海外への販路開拓にも注力していきたいと考えています。
将来的なビジョンとしては、フランスにエージェントの方がいるため、現地の生地を加工してニューノスが作れるようになるといいと思っています。もちろん、今後はヨーロッパ以外の地域に向けても、ニューノスの素材を広めていきたいと考えています。

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セイショク株式会社 (NUNOUS)

▼お問い合わせはこちら
https://nunous.jp/contact/

※お問い合わせの際はCLASS1 DIGESTをみたと
お伝えいただけるとスムーズです。

本社
〒710-1101 岡山県倉敷市茶屋町234
TEL. 086-428-1211 / FAX. 086-428-8114
※NUNOUSについては、岡山工場までお問い合わせ下さい。

岡山工場
〒700-0804 岡山県岡山市北区中井町2丁目8-7
TEL. 086-224-3281 / FAX. 086-233-0869

http://seishoku.co.jp/
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| 編集後記
高橋さんからは、事前にNUNOUSに関する詳細文や動画、パンフレットやサンプルなど多くの資料をいただき、とても力を入れられている事業だと感じました。そして、ホームページもとてもクリエイティブ!オンラインショップの商品をはじめ、数々の企業とコラボレーションされた作品は心が踊るものばかりです。そして、なんといっても一つひとつがオンリーワンの素材であることが魅力的でした。その美しさとサスティナビリティ性の融合により、今後も益々、国内外のファンが増えることを楽しみにしています。

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