【天然木を使用した薄型DIYパネル】RIB:BO(リブボ) #10 株式会社 友安製作所
2024.09.30
新連載企画『メーカーさんの一推し製品』がスタート/建材メーカーを含むサスティナブルな活動を行う企業に独占取材!彼らの一推し製品についてお話を伺いました。
時代にあった感性を形にした
異例の大ヒットパネル「RIB:BO(リブボ)」
友安(ともやす)製作所は、1948年に大阪の小さな町工場として創業しました。当初はネジやカーテンフックの製造から始まった同社は、3代目社長の友安啓則(ひろのり)さんにより、2000年代初頭に大きな転換期を迎えます。
その事業がインテリア・DIY商品の輸入販売事業でした。アメリカでの生活が長かった啓則さんは、均一化された日本の住宅文化に、もっと自由な価値観を届けたいという思いから、「世界中の人々の人生に彩りを。」という企業理念を掲げます。さらに、同社の唯一無二のものづくりを活かした、オリジナル製品の開発にも注力。そして近年では、人々の生活に関わる様々な事業も展開しています。
今回、企画課の舟木さん、広報課の國清さんに、友安製作所の展開事業をはじめ、大ヒット中のオリジナル商品「RIB:BO(リブボ)」の開発経緯や今後の会社のビジョンについてお話を伺いました。
株式会社 友安製作所
企画課
舟木さん
広報課
國清さん
ー御社の事業全体について教えてください。
(國清)当社は、創業当時の製造業にはじまり、3代目社長の友安によって、現在6つの事業を展開しています。
主力事業は、海外の輸入インテリア商品や自社商品の「通販事業」になります。そのほか、商品のショールームとしての役割も担う「カフェ事業」をはじめ、近年では、リノベーションからDIYのサポートも行う「工務店事業」、社内クリエイターによる「メディア事業」も展開しています。さらに街の活性化を後押しする「まちづくり事業」や、「レンタルスペース事業」とゆるやかな繋がりを描く、多角的な事業展開で発展していきました。
左からECサイトイメージ、「colors circle」と呼ばれる6つの事業
ーさまざまな事業を展開されているのですね。主力事業であるインテリア商品の通販事業について詳しくご紹介ください。
(舟木)通販事業では、大きく二つの柱があります。一つ目は海外の輸入商品の販売事業です。当社の取り扱い商品4万点のうち約20%が輸入商品で、インテリアやDIY商品を中心に、社内のバイヤーが海外の展示会でセレクトしています。なかでもヨーロッパの商品は、目を引く派手な色調も多いため、日本人のニーズに合わせて、独自に色柄をオーダーすることもあります。そのように輸入商品の販売に加えて、独自性のある商品を展開しているのが特徴です。
(國清)二つ目の自社企画の商品は、社内のデザイナーが、世の中のニーズや素材の特徴を活かして企画しています。また、オリジナルブランドである「TEKKI CRAFT(テッキクラフト)」では、従来の町工場のノウハウを活かした、鉄や木製の家具や雑貨を中心に展開しています。
左から世界各国から輸入したインテリアアイテム、町工場の職人の技術で生まれたオリジナル商品
ー早速ですが、大ヒット中のオリジナル商品「RIB:BO(リブボ)」について教えてください。
(舟木)「RIB:BO」は、天然木を使った薄型のDIYパネルです。全長が240cmの一枚板なので、天井から床まで継ぎ目なく施工できるのが一番の特徴になります。
なかでも、ECサイトやSNSでは、ホテルライクでスタイリッシュなインテリアが実現できると大きな反響を呼んでいます。
また、環境配慮の視点では、吸音材に100%リサイクルポリエステルを使用し、ISO9001の認証を取得しました。さらに難燃性(US・EU規格)とホルムアルデヒドの試験に合格した高品質で安全な吸音パネルとなっています。
【その他 RIB:BOの特徴】
・軽量で曲面施工も可能
・吸音、遮熱、保温効果有り
ー「RIB:BO(リブボ)」の開発に至った経緯を教えてください。
(舟木)現在も販売中の「sotto(ソット)」というDIYパネルが企画のベースとなっています。「sotto」の全長は80㎝で、天然木や中のフェルト素材に厚みを持たせた、吸音効果に優れた商品です。
しかし、「sotto」の場合は、施工面積が広いとパネル同士の継ぎ目がでてしまうことや、吸音効果の高さゆえ、パネルに厚みがでてしまうことから、意匠性に特化した商品を求めるお客様の声が数多く寄せられました。
このようなお客様の要望を形にするため、企画の難しい長尺サイズに着手します。そして、薄くて軽量でありながら、様々な機能性を持ち合わせた「RIB:BO」の開発をスタートしました。
ー「RIB:BO(リブボ)」の商品開発において、難航した点はありますか?
(舟木)「RIB:BO」の開発では、商品の湾曲性能を高めることが大きな課題でした。通常、パネルを縦方向に曲げると折れてしまうのですが、「RIB:BO」は縦にも横にも自由に曲げられることが大きな特徴です。
この課題に対して、堅牢性※と柔軟性を兼ね備えたオリジナルのMDF材※を独自開発しました。さらに、このMDF材の上に薄くスライスした天然木を貼り合わせる工程でも、ささくれや割れが起きないよう、密度の高い木材部位のみを使用しました。このように商品としての理想にたどり着くまでに多くの試行錯誤を繰り返しながら、新商品「RIB:BO」が完成しました。
※堅牢性とは:物の強度や耐久性、頑丈さを表す言葉
※MDF材とは:木材の繊維を圧縮・接着して作られる人工木材の一種
ー理想を実現するために試行錯誤した部分も多かったと思いますが、「RIB:BO(リブボ)」の販売にあたり反響はありましたか?
(舟木)新商品の場合、通常は購入に繋がるまである程度の時間がかかりますが、「RIB:BO」に関しては販売前から既に問い合わせをいただいていました。さらにECサイトのカートがオープンになった瞬間から、ご注文も何件かいただくほどに。その結果、初月だけで180件ほどの販売に至りました。
また、ありがたいことに、お客様が独自にSNS等で施工写真や施工動画を投稿してくださっていることも、大きな反響につながりました。
ーそれは発売前から大きな手応えを感じますね。「RIB:BO(リブボ)」を含め、御社の商品はどのようなお客さまが購入されるのでしょうか?
(舟木)主なお客さまは女性が多いですね。もちろん男性の購入者も多いのですが、ブログやInstagram等で積極的に発信するのは女性の方が多い傾向にあります。同時に、室内のインテリアにこだわりを持っていたり、魅力的な空間にしたいというニーズが強いのも特徴です。そのため、30~50代の女性をメインターゲットとして、スタイリッシュな意匠性と、女性でも施工しやすいという視点を大事にしています。
ーありがとうございます。今後のビジョンやチャレンジしたいことを教えてください。
(國清・舟木)友安(社長)が申しているのは、家中にあるもの全てを当社の商品でご提案できるくらい、今後も幅広く展開していきたいということと、海外進出をビジョンに掲げています。転換期を迎えた頃は、海外商品の輸入販売が主でしたが、8年程前から創業当時の鉄を活かしたものづくりにも力を入れています。その一環として、2021年に「TEKKI CRAFT(テッキクラフト)」というオリジナルのアイアン家具ブランドを立ち上げました。このブランドではデザイナーが企画を行い、町工場時代からの職人の技術を活かした商品を展開しています。
そして、この職人の高い技術を活かした商品を、今度は私たちの方から海外へ輸出するということにチャレンジしたいと考えています。
テッキクラフトオリジナルの真鍮S字フック
ー最後に、読者に向けたメッセージをお願いします。
(舟木)当社は「世界中の人々の人生に彩りを。」という企業理念を掲げ、DIYを楽しむ人が一人でも増えて欲しいと思っています。当社の商品は、見た目がきっかけになる商品が多いと思うので、まずはInstagramなどのSNSを通して、当社の様々な商品を知ってもらいたいです。それに伴い、当社の工務店事業に依頼していただければ、DIYのサポートも可能なので、ぜひ自分好みのインテリアを気軽に実現してもらえたら嬉しいです。
(國清)当社の職人がよく言っているのは、「同業者に見られても恥ずかしくないクオリティを。」という言葉です。
直近では、関西万博の出展も控えており、八尾市というエリアでブース出展します。そこで、日本の伝統的な職人の技術や町工場の力というものを、日本をはじめ世界にお披露目したいと思っていますので、ぜひ読者の皆様にもお立ち寄りいただければ幸いです。
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株式会社 友安製作所
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| 編集後記
今回の舟木さん、國清さんの取材を通して、お二人から仕事のやりがいやさまざまな仕事に対する情熱、社員同士のリスペクトも伝わってきました。私自身も友安製作所さんのWEBサイトをみているだけで前向きな気持ちになり、その度にとても素敵な会社だと感じていました。商品開発においても、お客様に寄り添った妥協しない姿勢がすばらしく、今後生まれる新商品も今から楽しみです。そして「RIB:BO」をはじめとしたDIY商品のさらなる発展と、「TEKKI CRAFT」の海外輸出に向けても応援しています。