【マーモリウム】業界をリードするリノリウム床材 #13 田島ルーフィング株式会社/フォルボ・フロアリングB.V.日本支店

2024.11.14
連載企画『メーカーさんの一推し製品』/建材メーカーを含むサスティナブルな活動を行う企業に独占取材!彼らの一推し製品についてお話を伺いました。

原料の確保から製造までカーボンニュートラルを実現!
サスティナブルなリノリウム床材「マーモリウム」

田島ルーフィング株式会社は、100年以上の歴史を持つ建材メーカーです。「屋根で守り、床で支える」をスローガンに、防水材、床材、住宅建材の3つの事業を展開しています。創業当初の1919年に、アスファルト防水材の製造販売会社としてスタートし、床材については1950年から独自製品の製造販売を通じて、床材事業の道を切り拓きました。
そして1995年、田島ルーフィングはフォルボ社の天然リノリウム床材「マーモリウム」の取り扱いを開始します。このリノリウム床材は「究極のサスティナブル」を実現する製品ですが、当時は安価ではないことや施工の難しさから、日本国内のリノリウム離れが加速していったのです。しかし、田島ルーフィングは最後まで国内販売を継続し、時代と共に注目が高まる商品となっていきました。

今回、田島ルーフィングの藤嶋さんとフォルボ社日本支店の磯田さんに、「マーモリウム」の特徴や、サスティナブルな製造工程、今後チャレンジしたいことについてお話を伺いました。

 

田島ルーフィング株式会社 
床材営業部 フロアマーケティング室長 
藤嶋愛史さん

フォルボ・フロアリングB.V.日本支店
セールス&マーケティング本部 販売戦略室長
磯田昌弘さん

ー田島ルーフィング様が床材の製造を始めたきっかけを教えてください。

(藤嶋)創業当初は、建築防水材メーカーとしてスタートしましたが、防水材のアスファルトを扱っていたことから、戦後の1949年に、GHQ※から、床材を作ってほしいと声がかかったのです。このオーダーをきっかけに、アスファルト防水の技術を活かしたアスファルトタイルの開発に成功しました。このタイルは10万人の歩行に耐えるという特性がPRされ、大きな注目を集めた商品になります。

その後、アスファルトの高価格が影響し、新たな床材として1953年に塩化ビニル樹脂を用いたPタイル(塩ビタイル)の生産を開始しました。さらに、塩ビシートやカーペットタイルなどへの展開を広げ、床材事業は徐々に拡大しました。

※GHQとは、第二次世界大戦後の日本における連合国軍最高司令官総司令部

左から 旧本社、当時の宣伝用のネオンサイン

ー今回、ご紹介いただく天然リノリウム床材「マーモリウム」の製造元となるフォルボ様について教えてください。

(磯田)当社は、スイスに本部を置くヨーロッパの床材メーカーです。業界をリードするグローバルカンパニーとして、環境に優しく高品質で、機能性とデザイン性を備えた商品開発を強みとしています。特に、持続可能な原料調達と製造工程を通じて、カーボンニュートラルを達成した天然リノリウム床材「マーモリウム」は、当社の主力商品の一つです。その他、安全性能に特化したビニルシートやメンテナンスコストを抑えるエントランスカーペットなど、さまざまな商品を展開しています。

ーありがとうございます。では早速ですが、マーモリウムの特徴について詳しく教えてください。

(磯田)マーモリウムは、天然リノリウム素材である亜麻仁油、ロジン(松やに)、ジュート(麻)、石灰石、木粉、そして43%程度のリサイクル廃材から作られています。この亜麻仁油が空気に触れて酸化する過程で、「抗菌」「抗ウイルス」「脱臭効果」「ハウスダスト抑制」といった効果が得られる点も注目されています。また、色展開はコレクション全体で200色程度あり、色や柄もすべて鉱物由来の天然顔料をメインに使用しているのが特徴です。このように、すべて天然素材で作られているため、素材として土に埋めれば自然に還る循環型製品となります。

さらに、マーモリウムは原材料の調達から生産、工場出荷まで、自社の活動のみでカーボンニュートラルを達成しています。床材としてカーボンニュートラルを実現できるのはあまり例がありません。また、アップサイクルとリサイクルが可能な床材が他にないことも大きな強みです。

ーマーモリウムのメンテナンスのしやすさや、実用性の面でも特徴はありますか?

(磯田)メンテナンスについては、基本的にノーワックスメンテナンスが可能な床材です。ワックスメンテナンスは、ワックスの剥離、再塗布が必要になります。ワックスを剥離した際の廃液は産業廃棄物になってしまうため、当社としてはノーワックスを推奨しています。さらに、マーモリウムは単層シート(金太郎あめ構造)で作られているため、表面が若干すり減っても、同じ柄が出続けます。一方、複層タイプの床材は表面がすり減ると、床材として美観維持ができなくなるため、比較するとマーモリウム床材は実用性が高く、長寿命の商品と言えます。

ーマーモリウムには、床シートとタイルがありますが、お客様に選ばれるのはどちらが多いですか?また、人気のシリーズについても教えてください。

(磯田)お客様に選ばれるのは、圧倒的にシートの方が多いですね。タイルの方がシートに比べて色数が少なく、高価であること。さらに、タイルは目地の継ぎ目が多くなってしまうため、継ぎ目の少ないシートの方が人気があります。主に、学校や病院などに多く採用いただいていますが、近年は、マンションや住宅にもシートを採用いただくことが増えてきました。

人気のシリーズにつきましては、近年、無機質な空間が好まれる背景もあり、コンクリートシリーズが人気を集めています。また、新しいものとしては、SDGsの視点から生まれたココアシリーズも人気を集めています。ココアシリーズは、廃棄してしまうカカオの殻を粉砕し、小さなチップを混ぜたシリーズ唯一のアップサイクル商品です。フォルボの全体コレクションとしては、matcha(抹茶)やnori(海苔)など日本文化に由来した新色も登場しました。

左からマーモリウムの定番カラー、コンクリートシリーズ、ココアシリーズ

ココアシリーズの全体コレクションカラーイメージ

ーマーモリウムの床シートとタイル、それぞれの価格はいかがでしょうか?

(磯田)まず、マーモリウムの床シートは3種類あり、価格は通常のものが6000円/㎡、コンクリートシリーズなどの単色が6600円/㎡、ココアシリーズは7200円/㎡です。価格差に関しては、通常はマーブルのような色彩になるのですが、このマーブルをコンクリートシリーズのような単色で作るには、技術的に非常に手間がかかります。また、単色でカカオチップの入ったココアシリーズは、製造工程数がさらに増えるため価格が高くなっています。マーモリウムタイルは2種類あり、通常のものとフローリングのような縦ラインの入ったものが各7200円/㎡です。(※2024年12月23に価格改定を予定しています。)

価格面では、他の床材と比べてマーモリウムは高価ですが、環境に配慮した床材として、近年多くの企業やオーナーに注目されています。特に戸建住宅の場合、個人のお客様が「一生もの」としての投資を考え、一つひとつの建築材料を慎重に選んでいる印象があります。

ーでは、実際にマーモリウムを施工する場合、何か課題はありますか?

(磯田)マーモリウムは天然素材で構成されているため、割れやすい特性があります。特に冬場は硬くなりやすいため、施工の際にはマーモリウムの施工技術を持った職人に依頼することをお勧めします。

(藤嶋)田島ルーフィングと提携している工事店は全国に存在するため、マーモリウムの施工技術を持った職人たちが工事を行っています。そのため、マーモリウムをご検討されているお客様の中で、パートナーの工務店さんによる施工が難しい場合は、気軽に当社にご相談ください。国内で連携できる工事店の職人さん、技能士さんを紹介することができる可能性があります。

ーマーモリウムを通してこれからの未来に期待することはありますか?

(藤嶋)マーモリウムは安価ではありませんが、環境に配慮した商品ですので、ぜひ多くの方に使っていただければうれしいです。些細なことでも気軽にお問い合わせいただければと思います。

(磯田)フォルボはオランダの企業で、地球温暖化や環境問題に積極的に取り組んでいるメーカーです。特徴的な製品としては、『ファニチャーリノリウム』というリノリウムを使用した家具用表面材がありますが、国内の設計者にはまだあまり知られていないのが現状です。このようなインテリア向けのリノリウムの活用を進めるとともに、リノリウムを用いたマーモリウムが、価格だけでなく価値のあるものとして認められ、採用いただくお客様が増えることを期待しています。

ファニチャーリノリウムの施工事例

ー今後のビジョンもしくはチャレンジしたいことを教えてください。

(藤嶋)フォルボさんのマーモリウムはもちろんですが、当社は塩ビの床材メーカーでもあるため、塩ビも環境配慮に寄り添っていく必要があると思っています。塩ビは再利用が可能なので、例えば、現場で貼ったものを回収し、持ち帰って別の用途に再利用できればいいなと考えています。現在はまだ実現できていませんが、今後塩ビの再利用にチャレンジしていきたいと思っています。

(磯田)輸入当初は戸建住宅ではあまり注目されていなかったマーモリウムですが、近年、マンションや戸建住宅のリノベーションの需要が増えてきています。そのため、新たな床材として、このマーモリウムを使用していただけるよう、フォルボとしてもリノベーション分野に力を入れていきたいです。
前提としては、まずは「フォルボ=リノリウムと環境配慮メーカー」というイメージを確立できる企業になっていきたいと考えています。

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田島ルーフィング株式会社
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https://find.tajima.jp/inquiry/flooring/contactus/

※お問い合わせの際はCLASS1 DIGESTをみたと
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田島ルーフィング株式会社(販売元)
〒101-8575
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TEL: 03-5821-7760
FAX: 03-5821-2186

フォルボ・フロアリングB.V日本支店
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TEL: 03-5740-2790
FAX: 03-5740-2791
showroom: 9:00-17:45 (Mon-Fri)
e-mail: info.jp@forbo.com
https://www.forbo.com/flooring/ja-jp/

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| 編集後記

実は、「マーモリウム」はCLASS1 ARCHITECTのVol.06でも紹介した建材なんです。今回はフォルボさんと販売パートナーの田島ルーフィングさんの取材を通して、両社の関係性やマーモリウムの酸化で得られる効果など、様々なお話をお聞きすることができました。また、マーモリウムの施工では、田島ルーフィングさんのパートナーである工事店が、全国に存在することで、質の高い施工が実現できるのだと思います。このことから改めて、フォルボさんと田島ルーフィングさんの間には良いパートナーシップが築かれていると感じました。そして、今後もますます注目されるであろうマーモリウムのさらなる発展を楽しみにしています。

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