磁器質・せっ器質・陶器質タイルの使い方を、タイルメーカーが解説

CLASS1 ARCHITECT Vol.24で、本瀬齋田建築設計事務所 サモアーキが「空間が引き立つデザイン性のある建材」として紹介した、名古屋モザイク工業株式会社の「アートモザイクタイル パヴォーネ」

鎌倉の集合住宅

本瀬齋田建築設計事務所 サモアーキが設計した「鎌倉の集合住宅」の外壁に使用され、珍しい色彩とモザイクタイルでありながら外壁にも使える点が評価されていました。

この「アートモザイクタイル パヴォーネ」は、タイルの素地としては「磁器質タイル」に分類されます。

タイルには多くの種類があり、素地によって「磁器質」「せっ器質」「陶器質」と分類することができます。

今回は、名古屋モザイク工業株式会社 商品開発部担当者の方へのインタビューをもとに、磁器質・せっ器質・陶器質それぞれの素地からなるタイルの特徴や強みを比較していきます。

目次

タイルの素地と種類

著名建築家が採用。「昭和の風合い」を醸し出す磁器質タイル

本瀬齋田建築設計事務所 サモアーキが使用した8つの建材を無料公開中

 

タイルの素地と種類

旧JIS規格では磁器質・せっ器質・陶器質と分類していましたが、2008年のJIS規格改正により試験方法が変わり、分類名もⅠ類・Ⅱ類・Ⅲ類と変更されています。

旧分類表記(自然吸水率) 新分類表記(強制吸水率)
磁器質(1.0%以下) Ⅰ類(3.0%以下)
せっ器質(5.0%以下) Ⅱ類(10.0%以下)
陶器質(22.0%以下) Ⅲ類(50.0%以下)

メーカーやカタログによっては、磁器質・せっ器質・陶器質の表記を残しているものが多く見られます。

次からは、磁器質・せっ器質・陶器質のタイルの特徴を紹介します。

磁器質タイル(Ⅰ類)

パヴォーネ PVO-07
[名古屋モザイク工業株式会社]

石英や長石などを1,250度程度で焼いたタイル。

非常に綿密で硬質な素地で作られており、吸水率は3.0%以下と最も小さいタイルです。吸水性が低いため変形しにくく、水回りの壁・床や外装に用いられます

名古屋モザイク工業株式会社のコメント

弊社では主に屋外の壁や床に、屋内でも耐水性や強度が求められる場合に、磁器質タイルをご提案しています。

せっ器質タイル(Ⅱ類)

グレモス GUR-23B-60
[名古屋モザイク工業株式会社]

粘土・長石などを約1,200度前後で焼いたタイル。

吸水率は10%以下で、磁器質タイルと同等の強度を持ちます。素焼きのような素朴な雰囲気のものが多く、主に外部壁・床に使用されます

名古屋モザイク工業株式会社のコメント

せっ器質タイルも、主に屋外の壁や床を中心にご提案しています。また、土物らしい素朴な風合いを求められる場合もおすすめのタイルです。

弊社のせっ器質タイル製品では、「グレモス」が圧倒的に人気商品ですね。

陶器質タイル(Ⅲ類)

バーガンディ EKP-F2760
[名古屋モザイク工業株式会社]

陶土や石灰などを1,000度程度で焼いたタイル。

多孔質のため、吸水率は50%以下と最も水を吸いやすいタイルです。強度が落ちるため外装には不向きですが、寸法精度が高いため、より近くで見ることの多い内装用タイルとして多く用いられます

名古屋モザイク工業株式会社のコメント

陶器質タイルをご提案するのは、主に屋内の壁が多いです。

タイルの材質だけでなく、材質以外の要素──例えば釉薬の有無や表面の質感・サイズ・形・デザイン・色などによっても、おすすめの使用場所が変わります。

弊社ではこれらを総合的に判断し、建物の種類や使用部位などの諸条件に適したタイルや組合せをご提案しています。

著名建築家が採用。「昭和の風合い」を醸し出す磁器質タイル

CLASS1 ARCHITECT Vol.24で紹介した名古屋モザイク工業株式会社の「アートモザイクタイル パヴォーネ」は、インテリアや外装に使える「磁器質タイル」です。

昭和のビルにあるような色ムラと虹色の光沢が、鎌倉の街並みに馴染み採用されました。

名古屋モザイク工業株式会社によると、「パヴォーネ」は昭和の時代から続くロングセラー商品とのこと。「パヴォーネ(pavone)」はイタリア語で孔雀という意味で、虹色に輝く孔雀の羽をイメージした商品名が付けられました。

名古屋モザイク工業株式会社のコメント

「パヴォーネ」は自然な色むら・レトロ感を演出するために、特殊な施釉方法を用いて作られています。

手間のかかる工程ではありますが、それを長年変えることなく、手づくり感を大切にして丁寧に作っています。

「パヴォーネ」の人気の採用場所は、主にキッチンや洗面の壁や天板などの水回り。

また、光を反射して輝く質感や色彩などが特徴的なため、今ではリビングの壁や床の一部に差し色として使用するケースや、「鎌倉の集合住宅」のように磁器質の耐久性を活かして、外壁への採用も多いといいます。

サモアーキによる「パヴォーネ」のレビューを無料公開中

今回は、3つのタイルの使い分け方と、本瀬齋田建築設計事務所 サモアーキが採用した磁器質タイル「パヴォーネ」について詳しくご紹介しました。

CLASS1 ARCHITECT Vol.24では、本瀬齋田建築設計事務所 サモアーキによる「パヴォーネ」のレビューを公開しています。建材・素材選びの参考に、ぜひご覧ください。

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