【あの建材は何だろう①】「FCバイエルン・ミュンヘン」のスタジアムの外装材
今回から、たまにですが有名建築物や普段目にする建造物に使われた建材をひとつずつご紹介する新シリーズをやってみたいと思います。
街中で「あの建材って何だろう?」と思っても結局わからないことが多くて、それってユーザーもメーカーも機会損失だなぁと思うんですよね。
最終的には、建造物と使用建材がわかるデーターベースを作って建物にピッとかざせば使用建材がわかるスカウター装置を作れたらいいな~と思ってます(笑)。
というわけで今回は、あのドイツ名門のフットボールクラブ「バイエルン・ミュンヘン」のホームスタジアムの外装に使われた建材をご紹介したいと思います。
半透明特殊フィルムで覆われている
引用元 : ウィキペディア
引用日 : 2017年7月11日
こちらがそのホームスタジアム「アリアンツ・アリーナ」。2006年ドイツW杯の開催に伴い2005年に建設され、収容人数は約75,000人(ちなみに日本代表戦が行われる埼玉スタジアム2002で約63,700人)。
気球船のような独特なフォルムでおもしろいですよね~。半透明の特殊フィルムのためスタジアム内から景色を眺めることもでき、試合開催日はクラブカラーであるバイエルン・ミュンヘンの赤、1860ミュンヘンの青、ドイツ代表戦などでは白にそれぞれ発光します。
この外壁に使われているのはAGC旭硝子が原料から一貫生産する高機能フッ素樹脂フィルム「アフレックス(英語名 : Fluon®ETFE FILM)」です。フィルムを重ねて、中にエアーを送り込むことで座布団のような状態にしており2800個ぐらい使用しているそうです。強度も問題なく、ガラスではできない曲面も作り出しています。
AGCスタジオにETFEフィルムがあったので取材してきた
実際にドイツへ…といきたいところですが、日本でも見れる場所があります。今回はAGCスタジオに現物があるとわかったので実際に取材してきました。近くで見るとこんな感じです。触った感触は子供が遊ぶ冬の雪ぞりのような感覚です。
全面を同一色にライティングするだけでなく、菱形ひとつひとつ毎に表示分けすることも可能。
ETFEフィルムの特長
最大の特長は光線透過性と軽さ。紫外線も通すのでスタジアムの事例のように、手入れの難しい天然芝でも芝が育ち、重さも440グラム/m2(厚み250μ)と軽く柱の数も少なくて済みます。その他には下記の特長があります。
- 耐熱性 : L規格94V-0の難燃材料
- 耐薬品性 : 強酸性や強アルカリ性の化学物質に対する耐性
- 耐候性 : 紫外線から赤外線領域まで
- 光線透過性 : 透過率95%の印刷をフィルムにできる
- 軽さ : サッカーボール約1個分の440グラム/m2
取扱上の注意点
- 固いものでこすったり、鋭利なものでつつかないこと
~国内の施工事例はこちら~
①新豊洲Brilliaランニングスタジアム(東京都江東区)
元陸上選手の為末大さんが館長を務めるランニングスタジアムです。「障害のあるなしや、年齢、性別に関係なく、すべての人がスポーツやアートを楽しんでいる風景」を実現する場所として活用されています。
天井部分に日本で初めてETFEフィルムが採用された事例で、フレームにはカラマツの集成材を使用しています。長さは108m、高さ8.5m、幅16.27mの施設規模で雪がふっても雨がふっても年中練習できます。
2枚のETFEフィルムに高反射インクと白インクが印刷され、光線透過率を調整。夏場の室内温度をコントロールしています。
②ユニクロ心斎橋店(大阪府大阪市)
引用元 : You tube
引用日 : 2017年7月11日
こちらはクッションタイプのユニットが壁面に連続して使われています。クリスマスには独自のイルミネーションが展開されています。LEDとの相性はご覧の通りです。
まとめ
実際に自分の目で見たことある建築物に「あの建材が使われている」とわかると、すごく身近に感じますよね。また有名建築物だけでなく近所の建物でもわかるとおもしろいです。
「あの建材は何だろう」と気になる建物・建材があれば、がんばって調べますのでお気軽にこちらまでお寄せ下さい(できれば写真も!)(contact@kenzai-digest.com)
▼ETFEフィルム(AGC旭硝子)
http://www.fluon.jp/products/aflex/index.html
この建材のポイント
オススメなのは? | 耐熱性・耐薬品性・耐候性・光線透過性に優れた面白い外装材が欲しい方 |
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一番の強みは? | 光線透過性 |
施工の強みは? | 軽いので柱いらない |