これまで見向きもされなかったカラマツが、なぜ外壁材で最近人気なのか?

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と感じたことありませんか?木の家って、意外と目にする機会少ないですよね。
また「メンテナンスが大変なのでは…?」といった不安も先立って実際にはしない、といった方もいると思います。

そんななか今回、信州カラマツをつかった外壁材を見つけたので紹介したいと思います。

信州カラマツでつくる美しい木の外壁|カラマツT&Tパネル
http://www.karamatsu-tandt-panels.com/index2.html

そもそもカラマツってどんな木材なの?

今回のカラマツ、実はこれまで”不遇の時代”が続いた木材のひとつ。

そもそもカラマツは長野県が主要産地で、長野県の森林面積106万m2の約55%を占めています。戦後復興の昭和20~30年代初期に植林され、現在では約55~65年級のカラマツが生い茂っています。

ちなみにスギ・ヒノキの場合、一般に植林後約20~30年で丸太として出荷されます。過去にカラマツも植林後20年で使われた経緯があったものの「ねじれる性質があって建築材に向かない」と判断されました。それ以降間伐といった森林整備も後回しになり、集成材・床材・縁甲板として一部使われるものの脚光を浴びない期間が続きます。

30年の”不遇の時代”があったからこそ生まれた、カラマツの強み

そんなカラマツも、苦節30年の逆境があったからこそ生まれた特長があります。

【信州カラマツの特徴】

  1. 木目が細かい
  2. 画鋲をさしてもプスッと刺さらないほど硬い(主要木材の中で、アカマツに次ぐ2位)
  3. 腐りにくい(こちらも主要木材の中で実は2位。1位はヒノキ)
  4. 年輪が明瞭に見える
  5. 紅色に経年変化する美しさ
  6. 塗料をぬってもよく映える(木の材質が硬い&表面の赤黒さが少ないため)

カラマツは国産材針葉樹のなかで唯一の落葉針葉樹。冬になると葉をすべて落とすため、葉まで養分・水分を回す必要がありません。それも相まって、上記の特長を有しています。

また雨も少ない標高800~1500mの寒冷地で間伐が進まなかったことから、通常の木材と比べ成長がかなり遅れました。結果、信州カラマツは直径18~24センチに到達するのに約55~65年かかっています。ちなみに同じ直径に到達するまでスギ・ヒノキであれば約20~30年で到達します(同じ太さになる年月が、まるで違う)。

そんななか約12~13年前程からシベリアカラマツに代わる構造用合板として、信州カラマツの需要が活発になってきます。さらに工務店・設計士からも「北米産のレッドシダーもいいが、国産材でより良い外壁材を使いたい」といった声も増えてくるようになりました。そこで生まれたのがこの「カラマツT&Tパネル」です。

カラマツT&Tパネルとは?


「カラマツT&Tパネル」は林友ハウス工業株式会社から発売されています。特長として2種類の板(①厚み21mm×幅160mmの木表と②厚み21mm×幅100mmの木裏)を交互に組み合わせ釘打ち施工していきます(実際には①を先に貼っていき、空いた隙間に②を差し込み貼っていく)。たしかに断面の年輪をみると1枚ずつ上下逆になっていることがわかりますよね。


交互に貼り合わせるねらいとして、木材の木表側に反る性質を利用して面全体の反りを軽減しています。釘もあえて木の真ん中1本だけで留めることで、板の両端が反りによって浮き上がりやすくしています。これは板の両側を釘2本で留める場合と比べて、反りの逃げ場ができるため、板のひび割れを防止する効果もあります。部材交換も一部のパネルを外すことで出来る点も特長。


また、木材のムダを減らすよう丸太から板への加工方法も工夫しています(歩留まり率も従来比30%アップ)。


標準仕様として木材保護効果もある表面塗装(リボス社製の外用塗料「タヤ・エクステリア」)がされています。標準色で5つあり、最近はグレー系が経年変化後の風合いに似ているため人気とのこと。

実際、展示会で見てきた!


先日大阪で「木のある暮らし展2017」にて、実物が展示されていました。近くで見るとこんな感じです。


グリーンの色もありました。表面はラフソーン(粗目鋸)仕上げなので触ってみると、結構ざらざらしています。

施工事例

実際の施工事例をみていきましょう。

①クリア塗装(茨城県守谷市)


「木の家にしたい」というお施主の要望から、木目を最大限に活かした、着色なしのクリア塗装の事例。施工後1年半経過したお写真です。クリア塗装の場合は木目が見えて綺麗な一方、3~5年で色が抜けてしまう場合があります。ただ、お施主さんもそれを理解した上で、色が抜けた後に別色を楽しむ方もおられるそう。

②森のなかのお家(長野県茅野市)


こちらは標高700~800mにある「週末ハウス」。山野草が好きな普段東京にお住まいの方で、毎週末こちらで過ごされるそうです。「ブルーグレー系」の塗料が使われた施工後3~5年のお写真で、経年変化に伴いブルー色が強くなっているとのこと。引き締めつつも、木材の柔らかさも感じる素敵な建物ですよね。

③海が見えるお家(神奈川県二宮町)


海近くのお家の施工事例です。金属外壁だと潮風で錆びやすいため、経年変化を味わえる木材が人気とのこと。

④住宅地のシンボルにも(神奈川県鎌倉市)


こちらは人気のグレー色をつかった施工事例です。モダンな印象を受けますね。

⑤私立幼稚園(茨城県水戸市)


こちらは幼稚園の施工事例です。もともと明治時代から続くレンガ造りの建物でしたが、東北震災時に崩れてしまったため、レンガの風合いも残せるよう特注色の事例です。木育にも合いそうですね。

施工方法


「モイスTM」または「ダイライト」を下地材に、防水紙を貼って、横胴縁のうえからステンレス釘で打ちます。耐力壁としても機能し、準防火地域にも使えます。

価格は?

設計価格で9,700円/m2(税別)です。

  • 21mmの厚み(一般の無垢外壁材は12~15mmの厚さが主流)
  • カラマツならではの意匠性(木目)
  • カラマツならではの耐久性・耐候性(外壁として長く持つ)

といった特長を有している点がポイント。

まとめ


今回のカラマツのように、仕組みとして木を活かす取り組みが増えています。長野県では林業会社、製材所、加工メーカー、工務店、設計事務所、家具木工といった6種類のメンバーが集い、木材の安定供給・製品開発・販路拡大を協力して行う「ソマミチ」という任意団体が立ち上がっています(ちなみに「ソマミチ」とは「杣道」と書き、何世代にもわたって林業者が通る道のこと)。それぞれが共に手を取り合って信州の木を活かしています。

私には調べていくうちに、カラマツがまるで一人の人間のように見えてきました。「期待されて採用された新卒社員なのにしばらく経って『使えない』と烙印おされ、でも苦節30年耐えに耐え、その30年があったからこそ身についた強みが、定年間近に花開く」そんな感じです(笑)。

ぜひそんな”カラマツさん”の本当の価値に目を向けて、大切に使ってみてはいかがでしょうか。

この建材のポイント

オススメなのは? 木の家にしたい!木の外壁にしたい!メンテナンスもむしろ楽しめばよい!
一番の強みは? 美しい木目、意外と知られていない耐久性・硬さ
施工の強みは? 場合別に施工マニュアルがきちんとある(一般的な場合、面材で耐力壁を確保する場合、外張り断熱工法の場合)
今回ご紹介した建材メーカー
林友ハウス工業株式会社
〒399-8303 長野県安曇野市穂高8421
TEL0263-82-3388
FAX0263-82-8063
※ お問合せの際は「建材ダイジェストを見た」とお伝えいただければ幸いです。
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