ペアガラスの効果を最大化するLow-Eガラスの8つのポイント
先日結露対策にペアガラスという方法があるとお伝えしましたが、「Low-Eガラス」にグレードアップできることご存知でしょうか?
Low-Eガラスとは、特殊金属膜(酸化亜鉛と銀)をコーティングしたガラスのことを言います。
ちなみに新築戸建ての場合、Low-Eガラスの普及率は73.8%となっており、最近家を建てた方にとっては身近なガラスとなっています。
建材ユーザーであれば知っておきたい建材のひとつで、国から最大30万円の補助金(2017年9月7日時点)ももらえる重要な建材でもあります。
そこで、今回はLow-Eガラスから得られる効果や役割、使い方をお伝えします。
1. Low-Eガラスとは?
Low-Eガラスとはそもそも何か、要点をおさえておきましょう。
【Low-Eガラスとは】
- Low-E(ロー・イー)とは「Low Emissivity(ロー・エミシビティー)」の略。「Low」は「低い」、「Emissivity」は「放射」という意味。
- Low-Eガラスの目的は遮熱と断熱。(防犯効果はない)
- Low-Eガラスが遮熱・断熱できる理由は、特殊な金属膜(酸化亜鉛や銀など)をコーティングしているから
- Low-Eガラスは単板でほぼ使わない(特殊な金属膜が風化・さびやすい)
- 「Low-Eガラス=Low-Eガラスをつかった複層ガラス」という意味合いで使われている
- 「エコガラス」とも呼ばれている
Low-Eガラスの目的は「遮熱」と「断熱」なんですね。
「Low-Eガラス=Low-Eガラスをつかった複層ガラス」ということも意外な事実です。
2. Low-Eガラスには大きく2種類ある
Low-EガラスはLow-Eガラスを室外側につけるか室内側にするかで大きく遮熱タイプか断熱タイプの2つに分かれます。
【Low-Eペアガラスの種類】
- 室外側にLow-Eガラスを使ったペアガラス(一般に「遮熱タイプ」という)
- 室内側にLow-Eガラスを使ったペアガラス(一般に「断熱タイプ」という)
3. Low-Eガラスの効果・メリット
Low-Eガラスには遮熱・断熱効果があることがわかりましたが、他にどんな効果・メリットがあるのでしょうか?
3-1. 節電・省エネできる
遮熱・断熱によって冷暖房費を削減できます。
たとえば東京都(戸建て住宅)の場合、年間51,572円削減できるとわかります(※このシュミレータは窓面積を31m2として計算しています)。
板硝子協会は「エコガラスシュミレータ」というツールを提供しており、これで「ガラス1枚の場合とLow-E複層ガラスにした場合の光熱費の違い」を算出できます。
引用元 : 冷暖房費削減シミュレーション│窓ガラスならエコガラス
引用日 : 2017年1月10日
なおLow-Eガラスに交換する材料費用は775,000円(工事代のぞく)とも算出されています。
年間51,572円削減できますから、約15年で回収できる計算です。
3-2. カーテンの日焼けを防げる
Low-Eガラスはカーテンの日焼けの原因となる紫外線をカットできます。
旭硝子のデータによると、Low-Eガラスの採光量はガラス1枚の時よりも暗くなります。
グラフをみてみましょう。A~Hの全8種類のガラスが表示されています。
グラフ左に位置していると室内が暗くなり、右にいけば明るくなる、という見方です。
一番右上の「H : ガラス1枚」では光の透過率は約90%とよく光を通す一方、ふつうのペアガラスでは約82%に、Low-Eガラス(サンバランス)では約77%以下になることがわかります。
引用元 : 遮熱 | 旭硝子のGlass Plaza
引用日 : 2017年1月10日
3-3. 結露対策もできる
Low-Eガラスは一般に複層ガラスで使われます。
複層ガラスは、ガラスとガラスとの間に空気層があるので、単板ガラスよりも部屋の外と内で気温差ができにくく、結露対策にもつながる建材です。
こちらで詳しく記事にしておりますので、ご一読ください。
4. Low-Eガラスの見え方はいろいろある
実はLow-E複層ガラスには色があります。見え方もちょっとずつ違います。
施工後、「あれ、なんか気になる」とならないためにも事前に確認しておきましょう。
4-1. AGC(旭硝子)の場合
「サンバランス」という商品の場合、遮熱タイプに「アクアグリーン」、断熱タイプに「ピュアグリーン」と「シルバー」があります。
- アクアグリーン(遮熱タイプ)
- ピュアクリア(断熱タイプ)
- シルバー(断熱タイプ)
引用元 : 新Low-Eサンバランスカタログ
引用日 : 2017年1月10日
4-2. YKK APの場合
YKK APの場合は、遮熱タイプの「ブルー」と断熱タイプの「ブロンズ」「ブルー」「ニュートラル」の計4色あります。
- ブルー(遮熱タイプ)
- ブロンズ(断熱タイプ)
- ブルー(断熱タイプ)
- ニュートラル(断熱タイプ)
実際の写真もありました。
こちらは「1. ブルー(遮熱タイプ)」ですが、室外に光がある場合と、室内に光がある場合では色も違います。
引用元 : よくあるお問合せ(FAQ) – YKK AP株式会社
引用日 : 2017年1月10日
4-3. LIXIL(リクシル)の場合
最後にLIXILです。
遮熱タイプに「グリーン」、断熱タイプに「グリーン」「クリア」「ブロンズ(北海道・東北地区限定)」の4色あります。
- グリーン(遮熱タイプ)
- グリーン(断熱タイプ)
- クリア(断熱タイプ)
- ブロンズ(断熱タイプ)
こちらは「1. グリーン(遮熱タイプ)」の写真。
確かにグリーンがかって見えますね。
引用元 : LIXIL | 窓まわり | サーモスX | バリエーション | ガラス設定
引用日 : 2017年1月10日
5. Low-Eガラスに防犯・防音効果はあるの?
Low-Eガラスの目的は遮熱・断熱であって、防犯・防音目的のガラスではありません。
しかし、Low-Eガラスで防犯・防音効果が得られる商品もあります。
引用元 : 商品の特徴(セキュレ)|旭硝子のGlass Plaza
引用日 : 2017年9月12日
防犯目的のガラスに「合わせガラス」がありますが、さきほどの複層ガラスの原理を応用し、
「合わせガラス+Low-Eガラス」の複層ガラス製品があります(例 : AGCのセキュレ)。
同様の原理で、防音効果の高いフィルムをつかった複層ガラス製品(防音効果の高い膜を使用した合わせガラス+Low-Eガラス)もあります(例 : AGCのマイミュート)。
6. Low-Eガラスを使うと他にいいことあるの?
国も普及に力を入れています。
いまなら最大30万円/戸の補助金がもらえます(2017年9月7日時点)。
- 開口部の断熱改修(ガラス交換、内窓設置、外窓交換、ドア交換)
- 外壁、屋根・天井又は床の断熱改修
- 設備エコ回収
といった3種類の工事が対象です。
詳しくはこちらをご覧ください。
7. Low-Eガラスのお値段は?
一般に、
- ガラス1枚の価格 約4,500円 × 約2.0倍=ペアガラスの価格 9,000円
- ペアガラス9,000円 × 約1.6~1.9倍=Low-Eガラスの価格 14,400円~17,100円
であることが多いです。
ふつうのガラス1枚の値段の約4倍ぐらいと覚えておけばよいでしょう。
こうみると「高くつくでねぇか!」と感じますが、最近では東京の最高気温(平均)が沖縄を超えましたし、大阪では2016年8月の猛暑日が過去最多の23日と都心部での地球温暖化が確実に進んでいます。
エアコンは家に入ってきた熱を外に追い出して冷やしています。
Low-Eガラスは家に熱をそもそもいれないようにしています。
ECOさでいえば、どちらが良いか明白です。
8. Low-Eガラスの見分け方は?
ガラスの右下に「Low-E」とか「エコガラス」と印字されています。
まとめ
引用元 : 複層ガラス/ Low-E 複層ガラス普及率の推移 – 板硝子協会
引用日 : 2017年1月10日
築数十年以上前の住宅ではふつうのガラスがはまっているのが現状ですよね(私の実家も普通のガラス…)。
そんなご家庭が、この冬結露が気になってペアガラスへの交換を考えているのであれば、Low-Eガラスを知っておいても損はないと思います。
空き家リノベや窓リフォームを検討している方も同様です。
Low-Eガラスはインターネットでも売られているので(オーダーガラス板.com)、気になった人はぜひチェックしてみてください。
【この記事のまとめ】
- Low-Eガラスの目的は遮熱と断熱
- Low-Eガラスが室外側にあるか、室内側にあるかでタイプが変わる
- Low-Eガラスの効果には光熱費削減(遮熱・断熱)・建具の日焼け予防・結露対策がある
- Low-Eガラスには色があって、見え方変わる
- Low-Eガラスには防音・防犯効果は期待できない
- いまなら条件満たせば国から最大30万円の補助金もらえる
- お値段はふつうのガラス1枚の約4倍ぐらい
- Low-Eガラスかどうか見分けるにはガラスの右下見る