免震が住宅にもやってきた!基礎パッキンそっくりの 「ゆれなーい」
2011年の「東日本大震災」に引き続き、2016年4月に九州地方を襲った「平成28年熊本地震」。熊本県や大分県をはじめとして、近県に甚大な爪痕を残しました。
地震大国の日本では、地震に備えた耐震・制震・免震は住宅・建築物には切り離せないキーワード。
今回は地震対策に最も有効とされる「免震工法」に着目。これまでの高コストで施工力が必要な免震工法のイメージを覆す「MER-SYSTEMベースタイプ(ゆれなーい)」を紹介します。
設置コストが高い免震工法は、敷居が高かった
「免震工法」とは、建物と地面を直接固定するのではなく、建物と地面の間に「免震装置」を入れることで地震の揺れを建物に伝えにくくする方法です。
免震工法は 地震対策に最も効果的と言われながらも、設置コストが高く特殊な技術が要るので、大型建築物での採用がほとんどです。
免震工法のデメリット
- 免震装置を設置するコストが高い
- 誰でも出来る工法ではなく、施工力を必要とする
コストが高く技術を必要とするので、一般の木造住宅での導入が進まないのが現状です。
一方で小型の木造住宅は地震対策をしなくてもいいというわけではありません。木造住宅も当然揺れます。熊本県・大分県を襲った今回の熊本地震でも、度重なる揺れに耐えきれずに多数の家屋が倒壊しました。
建物にとって怖いのは、地震の揺れを受けて建物本体に損傷を受けること。例えば木造住宅では、柱、梁といった主構造体が割れたり、屋根や外壁が外れたり、軸組のつなぎ目のボルトが緩むことがあります。地震によって倒壊しなくても、建物寿命が確実に縮みます。
特殊道具いらずで免震できる「ゆれなーい」
そこで登場したのが土台と基礎の間に設置する積層ゴム「MER-SYSTEMベースタイプ(ゆれなーい)」。
土台と基礎の間に設置というと、「基礎パッキン」のイメージを抱きますが、写真を見る限り基礎パッキンにもそっくりですね。ですが期待する性能は違います。
基礎パッキンは、土台と基礎を離して換気のための隙間を作るもの。コンクリート基礎と木材の土台を密着させないようにするため、基礎から上がってくる湿気から土台を守ってくれます。
ゆれなーい は基礎全体を覆うものではないので、基礎パッキンのように換気性能にも優れています。従来のような基礎を所々欠損したような換気口が不要になり、基礎が頑丈になります。そして大工さんは、余計な型枠を作る必要もなくなり、作業効率が上がるわけですね。
ゆれなーい | 従来の工法 | |
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施工イメージ | ||
換気効率 |
換気効率は従来の200%にまでアップ |
床下に換気のムラが生じる |
免震力のポイントは、ゴムの中の金属板
肝心な免震力のポイントは、ゴムの中に金属板が入っている点。ココにあります。
ゴムの中に金属が入ることで、地震時のゴムの揺れ幅を抑え、ゴム自体の潰れも抑えられる特徴があります。ゆれなーいを導入することで、地震による建物の揺れが最大30~50%軽減します。
従来の免震工法よりも敷居が低く、戸建住宅や木製アパート、木造幼稚園が増えてきている幼稚園にもピッタリです。
ゆれなーいが多く使われている建物
- 戸建住宅
- 木製アパート
- 木造幼稚園
ゆれなーいはこうやって取り付ける
従来の免震工法は技術者が付きっきりでしたが、ゆれなーいの場合は設計者が配置計画して図面を大工さんに渡すだけ。大工さんが専門の特殊道具を必要とせず施工できる点がポイント。ここが施工の敷居が低い理由ですね。
こんな種類がある!ゆれなーいのラインナップ
今回ご紹介したMER-SYSTEMベースタイプ(ゆれなーい)のラインナップはこちら。
- MB-100
- MB-120
- MB-100H・MB120H (ハーフカットタイプ)
MB-100 | ||
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寸法 | 100 × 200 × 20mm | |
用途 |
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材質 | 合成ゴム・金属板 | |
入数 | 30個 / 梱包 | |
定価 (税込) |
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MB-120 | ||
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寸法 | 120 × 200 × 20mm | |
用途 |
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材質 | 合成ゴム・金属板 | |
入数 | 30個 / 梱包 | |
定価 (税込) |
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MB-100H・MB-120H | ||
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寸法 | – | |
用途 |
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材質 | 合成ゴム・金属板 | |
入数 | 60個 / 梱包 | |
定価 (税込) |
100 : 85,680円 / 梱包 (本体価格 : 81,600円) | |
120 : 98,280円 / 梱包 (本体価格 : 93,600円) |
20年使われてきてクレームがほぼない
取材の中で驚いたのは、20年間使われてきてクレームがほぼないということ。その理由はやはり、耐久力の高さと免震力の高さにあります。実験ではゴムの最大劣化要因の「オゾン」による30年以上の耐候試験をクリアし、実際の使用環境では100年以上の耐久性能をもっています。
施主にも工務店にもメリットがあり、しっかりとした免震機能を実現してくれる手軽さと低コストを兼ね備えた建材がどんどん登場してほしいですね。
この建材のポイント
オススメなのは? | 住宅を建てたいと思っているが、頑丈で低コストな免震をしたい方 |
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一番の強みは? | これまで戸建て住宅などで敷居の高かった免震が出来る |
施工の強みは? | 大工さんが特殊な施工技術・器具を必要としない |