ふれた人の印象に残る優しい素材感。配線器具「SO-STYLE」の新しさを、オンデザインパートナーズの森氏が語る。
2020 年にパナソニック株式会社から発売された配線器具「SO-STYLE(ソースタイル)」。
「空間に統一感を出せる」と建築家やデザイナーからの採用が増え、2021年には好評につきラインナップも拡大した注目の建材です。
なぜ今、SO-STYLE(ソースタイル)が選ばれるのか。従来の配線器具と比べた、SO-STYLE の新しさとは何なのか。
今回 CLASS1 ARCHITECT 編集部は、メーカーであるパナソニック社と、実際にSO-STYLE を使用した建築家である株式会社オンデザインパートナーズの森詩央里氏に取材を行いました。建築家への取材では、建築家視点から見た SO-STYLEの良さ・活かし方などを語っていただきました。
─ SO-STYLE 誕生のきっかけを教えてください。
今まで当社は配線器具において、安全面・施工面を重視した商品開発を行ってきました。
一方で、直線を基調とするようなデザインの配線器具のラインナップがなく、そのようなデザインをお好みのお客様に対し、ご満足いただけておりませんでした。
そこで、直線を基調とする、上質な空間との調和にこだわったデザイン配線器具としてSO-STYLE を開発しました。
─ SO-STYLE の特徴はどのような点にあるのでしょうか。
SO-STYLE は名前の由来となっている「素」「創」「沿」と関連した、3 つの特徴を備えています。
1つ目の 「素 」は、空間の素地となるマット仕上げです。
プレート部とコンセント部は、光沢の出ないマットな質感で仕上げています。特にコンセント部のマット仕上げは、製品化が難しいとされてきましたが、美しさに徹底的にこだわり抜いたモノづくりで実現しました。
2つ目の「創」は、創造性を喚起する静音設計です。スイッチを押した時の感触が非常にソフトで、その操作音の大きさは 32db。これは環境省と建築学会が推奨するホテルの室内環境レベルの静音性に相当します。
3つ目の「沿」は、設計者の意図に沿うシンプルでシャープなデザインです。
空間に溶け込ませるため、存在感を抑えたシンプルなディテールを追求しました。水平・垂直のラインで構成されるよう、コンセント挿入口まで可能な限り最小化しています。
─発売に至るまで苦労したことはありますか?
部品によってマットの仕上げやすさが異なっていたため、均等な質感を表現することに苦労しました。
プレートやハンドルに用いている樹脂(ABS樹脂など)と、コンセントに用いている樹脂(ユリア樹脂)は、マット加工の凹凸のつくりやすさが異なります。また、生産過程で金型が摩耗し、凹凸の状態が変化していくリスクもありました。
それに対し、部品の凹凸状態の管理を強化することで対策。均等な質感のマット仕上げが実現しました。
─ 2020 年にはグッドデザイン賞も受賞されていますね。
はい。配線器具のような多くご採用いただいている汎用品は、アップデートが困難と言われています。そんな中、機能とデザインの完成度、生産性や価格をすべてクリアする姿勢に高い評価をいただき、受賞となりました。
インテリアに調和しつつ、品質面やコスト面でも安心して採用いただけるような「ニューベーシックとしての配線器具を提供したい」と考えた我々の想いが伝わり、受賞に至ったのだと思います。
─実際に発売されてからは、どのような所に採用されているのでしょうか?
発売後は住宅・非住宅問わず幅広く採用いただいています。
─配線器具の生産で、環境面に配慮していることはありますか?
成形材料のランナーをリサイクルしています。
ランナーとは部品間をつないでいる部分で、普通は廃材になるところです。ランナーを材料に混ぜて再利用することで、廃材を減らす取り組みをしています。
また、製品を形作る成形機を、使用エネルギーの少ない電動式に置き換えることも推進しています。
─ 2021 年 11 月から、ラインナップも拡充されています。新しく発売された商品の特徴を教えてください。
照明を点ける/消すためだけでなく、より幅広い用途に対応できるようにラインナップを拡充しました。
例えば、HDMI ケーブル等の通線に使える「通線カバー」や、テレビやブルーレイレコーダーのコンセントに使える「弱電関連商品」、2022 年 2 月には人が近付くと自動で足元を点灯する「熱線センサ付ナイトライト」を新たに発売します。
また、2021年11月には、プレート・ハンドル部分の新しいデザインとして、メタルプレート「EXTRA(エクストラ)」も発売しました。
こちらは無垢金属のような風合いが特徴で、配線器具でありながらもインテリアの一部として、ラグジュアリーな空間を演出します。
Profile
1992年 2014年 2016年 |
長崎県生まれ 九州産業大学卒業 株式会社オンデザインパートナーズ入社 |
■主な作品 unico(2017) |
株式会社オンデザインパートナーズ
〒231-0012
神奈川県横浜市中区相生町3-60 泰生ビル 2F
http://www.ondesign.co.jp
─ SO-STYLE はどのような物件で採用したのですか?
宿泊施設や住宅などで、複数回採用しています。とある宿泊施設で最初に使い、そのときに凄く素敵な製品だと思ったので、事務所のプロジェクトでは住宅の案件などでも何度か採用しています。
知ったきっかけは、その宿泊施設の現場に関わっていた電気屋さんからおすすめされたことです。デザインに関心のある方で、採用が決まるとすぐに在庫を押さえて、サンプルを手配してくれました。
─なぜ、SO-STYLE を採用しようと思ったのでしょうか?
正直、設計の仕事につくまではスイッチプレートにこだわったり、じっくり見たりすることはあまり無かったのですが、SO-STYLEは部屋の雰囲気にそっと寄り添いながらも高級感があり、ラグジュアルな宿泊施設にも合うと思いました。
おすすめされたサンプルを見て、印象に残る優しい素材感が素敵だと思いました。
─従来製品と比べて、どのようなところが違うと感じましたか?
一般的なスイッチプレートは、傷防止等のコーティングで光沢感があり、カジュアルなものが多い印象です。一方で SO-STYLE は、表面に傷や汚れ等も付きにくい素材を使用されているのですが、手触りや質感がマットで、肌馴染みが良い製品だと思います。
SO-STYLE を採用した宿泊施設は部屋によって内装を変えていて、骨材を用いた凹凸のある壁材の部屋もあります。その中でSO-STYLE は少し壁から浮いた納まりで、特殊な壁材でも取り合いや質感において凄く相性の良いものだったので安心して採用しました。
あと、「マットな質感の照明」は他のメーカーでも少し見たことはありましたが、SO-STYLE は素材の耐久性に優れているうえに、品のある質感だと思います。商業施設など多くの方の目にふれる空間でも安心して採用できる製品だと思います。よりラグジュアルな空間に相性が良い印象を持ちましたね。
─実際に SO-STYLEを導入してから、反響はありますか?
はい。特にお施主さんは、「こんなにおしゃれなスイッチプレートって世の中にあるんだね」と驚かれていました。
また先程の宿泊施設では、宿泊した方から「スイッチプレートに使っている製品を教えて欲しい」と連絡をもらうこともあります。この間は、実際に宿泊された方がちょうど住宅を建設中で、「凄く素敵だから自分も取り入れたい」と連絡をいただきました。
─今後、SO-STYLE をどのような案件に使ってみたいと思いますか?
SO-STYLE は商業施設はもちろん、住宅や公共施設など色々な案件でも安心して採用できる製品だと思います。
私はいつも建材を選定するときに、「建築のコンセプトや空間の世界観に沿うものなのか」「施主の人柄や暮らしぶりに馴染むか」を重視していて、SO-STYLE はそのどちらも実現してくれる建材だと思います。今では、他のスイッチプレートの製品を選ぶ選択肢がなくなってしまうくらい気に入っている製品です。
SO-STYLE の使用事例やPR動画を公開中
SO-STYLE の商品ページでは、商品ラインナップや使用例、プロモーション動画などを公開しています。SO-STYLEについてより詳しく知りたい方は、商品詳細ページをご覧ください。
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