太陽光発電できる建材!?採光もできるソーラーパネル「SoR-E」
今回ご紹介する建材は、建材一体型ソーラーパネル「SoR-E」(株式会社タミヤ製作所、奈良県田原本町)です。
ソーラーパネルなのに採光も出来る!?「SoR-E」の実力
15年の開発期間、3年間の試験期間を経て生み出された「SoR-E」の強みはこの3つです。
建材一体型ソーラーパネル「SoR-E」のココがすごい
- 発電する屋根・壁になる
- 光を透過させることができる
- 見た目(パターン)や大きさを自由にデザインできる
1. 発電する屋根・壁になる!
ソーラーパネルなので当然発電することができ、発電する屋根、発電する壁としてデザイン可能です。
2. 光を透過させることができる
通常のソーラーパネルは光を通しませんが、建材一体型ソーラーパネル「SoR-E」は透明ガラスでセルをサンドイッチさせるため、セルとセルに間を空ければそこから光を通すことが出来ます。これは屋根として使えばその下が暗くならず、日中に照明が不要となります。壁に使えば壁の向こう側が見える面白いデザインも可能に。このように、これまで不可能だった空間をデザインできるだけでなく、発電もできる展開が実現できます。
3. 見た目(パターン)や大きさを自由にデザインできる
一般的にソーラーパネルは縦横に規則的に並べますが、タミヤ製作所さんではセルの加工ができ、セルの形状を変えたりセルの配置を工夫することで、様々なパターンを作り出すことが可能です。ショールームに展示されている例でも、千鳥、木の葉、桜、ドットなどバリエーション豊かなデザイン例がありました。
製作上の制約としてセルとセルの間隔はゼロに出来ず、最低でも3mm空ける必要があります。これは発電素子のセルから電気を通すための配線にスペースが必要だからです。
施工事例
株式会社タミヤ製作所 本社社屋内 駐車場
黒田農業ハウス
ガラス温室に使用すると遮光ネットが不要になり、さらに屋根全面で発電することも出来ます。青々と育ったトマトの苗と屋根を覆うセルの模様が印象的ですね。
- 引用元 : 導入実績 : 黒田農業ハウス | 株式会社タミヤ製作所
- 引用日 : 2016年7月11日(月)
南都 大安寺
ガラスは洋風のイメージがありますが、寺社など和風の建物でも採用されています。
- 引用元 : 導入実績 : 南都 大安寺 | 株式会社タミヤ製作所
- 引用日 : 2016年7月11日(月)
他にも 学校、官公庁、企業、個人住宅など
100を超える事例がタミヤ製作所さんのWebサイトの導入実績で紹介されています。一目見ただけでソーラーパネルが導入されていると分かる外観なため、エコへの関心の高さをアピールするシンボルとして官公庁や学校への導入が進んでいるようですね。
タミヤ製作所さんの導入実績を地域別にご覧いただけます。
製品仕様
安全性に関して
ガラスを屋根や高所に使用する場合、地震や事故による破損時にその安全性に関しても検証する必要があります。「SoR-E」は強化ガラスを使用しており、さらに中のセルは充填剤で結合しているため割れてもガラス片が落ちにくい特徴があります。
寿命やメンテナンスに関して
現在のセルの大きさの主流は6インチ(156mm)のもので、そのセルはUVカット素材の充填剤で封止されているため、劣化がほとんどなくセルの寿命は半永久的といえるレベルに達しています。ただしソーラーパネルとしてユニット全体で見た場合は、表面の汚れや傷、配線の劣化、パワーコンディショナーの寿命等で発電能力が下がることが考えられます。こうした部品のメンテナンスが重要で、特にパネル表面の汚れはセルに入射する太陽光の総量を減らすことに直結するため良好な発電を維持するためにも定期的な表面のメンテナンスが重要です。
価格について
価格はオーダーメイドということもありその規模や施工年度によってもバラバラですが、導入を検討していただく際の価格の目安となる情報を何件か開示していただきました。
- 赤羽根中学校
- 大安寺
赤羽根中学校 | |
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校庭に面した校舎の手すり壁に配置され、子供たちが触れることが出来るソーラーパネルとして施工された例です。 | |
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費用 | 約1000万円 (材料費・工事費込) |
大安寺 | |
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敷地内の建物の庇等に施工した例です。 | |
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費用 | 約400万円 (材料・工事費込) |
発電の目安
10m2で1kW
これは模様などのパターンによってセルが少ないと実現できませんが、平均的なユニットで目安となる数字としてタミヤ製作所からご提示いただいた数値です。パネルの特徴である光の透過を優先してセルを減らせば発電能力は下がります。逆にセルの密度を高めて光の透過を減らせば発電能力が上がります。
パネルはすべてオーダーメイドであり、この点は設計者様や施工者様と共に施主の希望で自由に設定できます。
向き・角度
屋根や庇として使用する場合 | |
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向き | 南向き |
推奨傾斜角度 | 傾斜角30° |
この点は一般的なソーラーパネルと同じです。あまり傾斜がないと汚れやすくなるため、その点でも30°の傾斜角が推奨されます。また雪の多い地域では、屋根としての利用より壁としての利用を採用することで降雪時期の発電が維持できる事例も。
屋根や庇への利用に比べると壁面への利用実績はまだ少ないですが、壁面への利用は以下のメリットがあります。
壁面に「SoR-E」を利用するメリット
- 雪の影響が少ない
- 汚れにくい
1m2あたりの重さ
セルをサンドイッチするガラスの厚さなどでも変わるため、以下に参考例を示します。構造の検討などにご利用ください。
※ 掲載例以外の同じ条件の例も計算して確認したところ同じガラスの組み合わせでも多少(1kg/m2以下)の誤差がありました。
施工例 | 仕様 | 1ユニットのサイズ | 重量 | |
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総量 | 1m2あたり | |||
赤羽根中学校 | TP5mm + TP5mmの合わせ | 1.135m × 1.078m | 約34kg | 約27.79kg |
大東文化大学 | TP6mm + TP6mmの合わせ | 1.259m × 1.900m | 約80kg | 約33.44kg |
大安寺 | TP6mm + 透明バックシート | 0.845m × 2.400m | 約30kg | 約14.79kg |
合わせガラス製品と同じように建材としては非常に重い製品なので、原則としてはこれを支える構造体はアルミなどの支柱ではなく鉄骨で設計する必要があります。一方で大安寺の例のように、透明バックシートと組み合わせて軽量化することも可能。カーポートでの利用時も同じく、屋根がポリカーボネート(通称 : ポリカ)の製品に多く使われているアルミ製の支柱では支えきれないことがあるため、支柱の設計時には重量に注意が必要です。
配線が存在することに関する注意
パネルには配線があるため、設計時にはこの配線を支柱の中に通すなどの配慮が必要です。一般の鉄骨材でも設計可能ですが、タミヤ製作所さんでは専用の構造材も用意されています。
所要期間
サイズや数量によりますが、一般的な目安としては製造は発注から平均で2ヶ月必要になります。施工はタミヤ製作所さんが行うことも可能で、その場合は平均で2週間程を予定していただく必要があります。
建材一体型ソーラーパネル「SoR-E」の開発
開発のきっかけはタミヤ製作所社長の民谷浩一さんがドイツに視察に訪れた際に遡ります。エコの本場でアイデアの数々に触れる中、「こうしたアイデアを日本の技術で更に発展させた商品開発をしたい」思いから開発をスタートしたのが始まりでした。当時は0.2mmという薄いセルを、固くて分厚いガラスの間に圧力をかけながらサンドイッチするという技術の開発に苦労されたそうで、パネルに入るセルが1枚でも割れてしまえば出荷できず廃棄処分になってしまいます。少しでも割れればやり直しが出来ず、セルを割らずに大きな1枚のパネルを作ること、安定した製造を維持するまでが大変だったそうです。
この建材のポイント
オススメなのは? |
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一番の強みは? | 1つ1つがオーダーメイド!採光と発電を両立した自由な空間が作りだせる |
施工の強みは? | ユニットの製造から現場への取り付けまで責任施工してもらえる (施工者自身でも設置できる) |