木製サッシメーカータミヤさんを取材その2!民谷社長インタビュー編
前回の記事「木製サッシメーカータミヤさんを取材!大開口向けヘーベシーベの魅力」ではタミヤさんのベーヘシーベに焦点を当ててお伝えしました。
今回はその記事でお伝えしきれなかったタミヤさんの木製サッシを紐解いていきます。
民谷社長と直接インタビューできました。
民谷社長にさっそくインタビュー!
日本ではアルミサッシが主流のなか、父と行ったドイツの窓はほぼ木製だったのに衝撃を受けました。
日本国内に流通している木製サッシも輸入品ばかり。
祖父の手伝いをした経験から木に対する知識もあったので、国産の木製サッシを作ろうと思いました。
2年の開発期間を経て1991年に奈良の山奥に倉庫を借りて木製サッシを売り始めました。
でも案件が少ない奈良でPRしても厳しかったです。
採用してくれたのは、木製サッシが普及していたドイツで勉強した人、ドイツから帰ってきた人でした。
あとは別荘です。
バブルの終わり頃でしたけど、別荘は変わらずどんどん建っていて、そこに木製サッシを使ってもらえたんです。
最近は木の雰囲気、高断熱、高気密が見直されて人気が出てきています。
自然の中で育つ木はアルミや樹脂素材といった工業製品とは異なり、一本一本性格が違うので同一の製造工程を経ても性能が変わってしまう点です。
性格の違う木材の性能をいかに引き出すか、というのが今でも一番難しいですね。
性能を引き出す工夫として1本の無垢材を使用するのではなく、性能を補強し合う3本の無垢材を積層させてクセを少なくしてます。
室内・室外からの見た目を良くするために、ガラスの入る溝・金具を取り付ける部分に積層面がくる工夫も行っています。
枠と障子を組むために溝を作り、開け閉め用のドイツ製金具を設置します。
この枠と障子は別で作っているんですよ。
はい、国産材のヒノキや、アフリカンチーク材、耐久性に優れたアセチル化木材も取り扱っています。
地産地消ということでお客様の要望を受け、お客様の地場で購入した木材を弊社が加工して納品する、ということもしています。補助金が出る県産材で、木製サッシを作ることもできますよ。
塗料もホルムアルデヒドの放散量を規制しているF☆☆☆☆の基準に適合している国産品を使っています。
アセチル化木材という、腐らない・反らない・割れない面白い素材を使っています。
アセチル化木材は無害の酢酸を含浸させた木材で、湿気や水分から影響をうけにくくするだけでなく、塗装の寿命を延ばすことができる、防蟻性や寸法安定性に優れた木材です。持続的な生産を実現する為、FSC森林認証を受けた木材を使用しています。
白い部分がアセチル化した木材です。
室外側に耐候性の高いアセチル化木材を使用し、室内側に外装材に不向きのスギを組み合わせることも可能です。国産材にこだわりのあるお客様や、耐候性を求められる時にこの材料を使用しています。
サッシなので構造躯体に固定され、揺れることは否めません。
しかしガラスが割れないようにエッジクリアランスを大きくとっています。
それにアルミサッシと違って木は柔らかいですから、ガラスが障子にあたっても割れにくいです。
実は木製サッシにはまだJIS規格がありませんが、弊社ではビル・大きな公共物件向けではサッシが動いてもガラスが割れないように、アルミサッシのJIS規格に基づいて作っています。
1つはアトピーのお子さんをお持ちのご家庭に需要があります。
木製サッシならアルミに比べ結露が出にくく、ダニやカビが発生しにくいんです。
次に大開口をしたい、大開口は出来るだけ大きなガラスにしたいという要望があります。
しかしアルミサッシ・樹脂サッシだと規格品となるので開口部のサイズが制限されてしまいます。
そこでドーンドーンと大きいサッシをサイズの制限無く作れる木製が選ばれます。
最後に、見た目の美しさでリビング・玄関ドアだけでも、という要望もあります。
木製サッシとアルミサッシが一つの建物で両方使われる、というのはよくあるんですよ。
もともとは寒い地方向けの商品なので北海道や東北・北関東が多かったです。最近ではZEHが増えてきて、断熱という観点から北から南まで広くの範囲で採用されています。
応接室にあったサンプルも撮影
ケースメント
障子が縦のまま室外へすべり出す、縦すべり出し窓です。
全開放時には室内よりガラスの清掃が可能です。
(上記写真はサンプルなので、上部に持ち手がついていて持ち運びが出来るサイズとなっています)
ケースメントは右図のように開きます。
窓枠と障子の間から手を入れられるので、室外側のガラスの清掃ができます。
こちらのサンプルは木枠がヒノキです。
オーニング
開けた状態でも雨や雪の侵入が少ない横すべり出し窓。
全開放時には室内よりガラスの清掃が可能です。
(上記写真はサンプルなので、上部に持ち手がついていて持ち運びが出来るサイズとなっています)
オーニングは右図のような開き方をします。
開いた窓が庇のようになるから雨や雪の侵入が少ないです。
網戸がついているサンプルです。
上がオーニング、下がケースメントです。
オーニングのハンドル部分を拡大した写真です。
網戸が付くとこのようになります。
障子が室外に開いていくので室内に網戸が付きます。
ヘーベシーベ
レバー操作により障子(可動部分)を持ち上げ滑らかにスライドさせることができる、大型引違戸・片引戸。
主に「掃出し窓」として使用されますが、「腰窓」としての使用も可能です。
ヘーベシーベの開閉パターンは図の2つ以外にも「引分け」「引込み」のパータンもあります。
ヘーベシーベについては、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
https://class1.jp/woodfenster/
インタビューを終えて
約1時間半にもおよぶインタビューの中で木製サッシについて大変分かりやすく説明してくださった民谷社長、ありがとうございました。
気さくで軽妙なトークが印象的で、民谷社長のもとで働くのはとっても楽しそうだと思いました。
口調は軽妙ですが木製サッシに対する思いはどこまでも真摯で、だからこそお客様に喜ばれる良いものを提供し続けているタミヤさん。
「新しい事、新しい事をしていく」とおっしゃっていた民谷社長。
今後タミヤさんからどんな「新しい世界」が飛び出してくるのか、目が離せませんね。