窓の仕組みはどうなっているの?実際にバラしてみた。【窓#2】
窓シリーズの流れ
- #1 : 徹底特集!23種類の窓、そのメリット・デメリットとは?
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こんにちは。雪掻きで筋肉痛のMr.Tボーンです。
皆様は、身の回りのモノがどのような構造になっているのか、気になりませんか?私は気になるタイプの人間です。運転できないのに自動車のエンジンの構造が知りたくなったり、何で蛇口をひねると水が出るのか気になって調べたりします。
私はこうした身近な物の構造を知ることが楽しいのですが、皆様はいかがでしょうか。今回は、そうした何にでもこだわりたい好奇心旺盛な方の知的欲求を満たす記事をお届けします。
今日のテーマは「窓の構造」。窓はどのような部位から成り立っているのか。その構造にはどのような意味があるのか。それを解き明かします!
基本 : 窓の部位の名称を覚えよう
まずは基本編として、改めて窓の部位を見ていきましょう。窓はガラスとサッシから構成されています。この図を頭に入れた上で、実際に窓の構造を見ていきます。
今回、窓のサンプル製品が手に入ったので、それを実際に分解してみました。
窓を分解して構造を調べてみた。
それでは実際に、こちらの製品を分解していきましょう。株式会社LIXILの「アトモスⅡ CTシリーズ」。サンプルのため、実際の製品よりも小さいサイズ (縦358ミリ × 横240ミリ) です。
矢印で示した4つの角にネジが止まっているので、プラスドライバーで外していきます。
左下の1箇所には、矢印で示すようにキャップが付いていました。
このキャップを爪でつまんで外すと、中にネジがありました。これも取ります。
サッシを取り外しました。このうち、下側のサッシが特徴的な構造をしています。
上の写真は断面の様子。(青いマークはサンプル品に付いているものです。)
上下に溝がありますね。上の溝にガラスが、下の溝に窓枠のレールが嵌まります。ネジ穴は、サッシ同士 (ここでは下側のサッシと横のサッシ) を止めるためのもの。
白い物はローラー (戸車) です。ローラーについては後ほど詳しくご説明しようと思います。
ここで重要なのはガラスが入る部分。ガラスがサッシと直接触れ合うと、硬い物同士がぶつかるためガラスが割れやすくなります。そのためクッションとなる部材が必要です。このクッション部材は、ガラスに取り付けるタイプと、サッシに取り付けるタイプがあります。
ガラスにクッション部材を取り付けるタイプ : ゴムパッキン
まずはガラスにクッション部材である「ゴムパッキン」を取り付ける方法。柔らかいゴム素材のパッキンを4辺に巡らせるのです。
パッキンをつまんでみると、その下からガラスの切断面が現れました。切断面は研磨処理をしていないため、素手で触ると少し危険です。
サッシにはこのように嵌まります。パッキンを付けたガラスが、サッシの溝幅にピタリと収まりました。
サッシにクッション部材を取り付けるタイプ : シーリング
次に、クッション材をサッシに取り付ける方法をご紹介。ガラスの下部にセッティングブロックを、通常2個取り付けます。これはガラスの荷重を支えるためのもの。
そしてサッシとガラスの隙間を埋めるものとして、シーリング材とバックアップ材が使われます。この隙間を埋める工程を「シーリング」または「コーキング」と言います。
▼下の記事では内窓の施工をご紹介していますが、コーキングの様子も記載されています。
それぞれの利点
2つの方法にはそれぞれ異なる長所があります。まずゴムパッキンの良いところは、ガラスにあらかじめ取り付けられるので、そのままサッシに嵌めるだけで済むこと。シーリングでは施工の手間があるため、一般の施主は工務店に依頼する場合が多いでしょう。しかしパッキンを付けたガラスなら自分で交換できます。
一方シ-リングの利点は、幅を調整できること。例えばガラスを交換したいとき、厚みが違うガラスでも嵌められることが多いです。強化ガラスやデザインガラスは厚みが決まっているものがあるため、そうしたガラスに交換する場合は、シーリングで幅を調整するのが良いでしょう。
例えばサッシの幅が9ミリの場合、厚さ4ミリのデザインガラスだと5ミリの隙間ができてしまいます。その場合、シーリングによって5ミリ分だけ隙間を埋めることが可能。11ミリのサッシ幅なら7ミリ分、といった具合です。
ゴムパッキンの利点
ガラス自体にクッション (パッキン) が付いているので、交換が楽。
シーリングの利点
ガラスとサッシの隙間がどれくらい開いていても、その分だけ埋めることが可能。幅の広いサッシに薄いガラスでもOK。
ガラスを嵌める構造については以上です。次に窓を動かすための構造をご紹介します。
補足 : サッシを動かす=ローラーで滑らせる。
引き違い窓は、サッシを横方向に動かすことで開閉します。それに関する構造についても簡単に見ておきましょう。
引き違い窓では、サッシの下側にローラー (戸車) が付いています。丸で囲んだ白い物体がローラー。
ローラーは1つのサッシに2つ付いています。下の図のように、ローラーとレールが噛み合うことで窓を動かす (滑らせる) ことができるのです。
まとめ : サッシを分解して分かったこと
ここまで会社の雪掻きをしながら、窓の構造について調べてきました。その結果分かったことを以下にまとめます。
分かったこと・気付いたこと
- 窓は素人にも解体できて、ガラスを取り出せる。
- ガラスのクッション材として、ゴムパッキンとシーリング材がある。
- 引き違い窓は、ローラー (戸車) をレール上で滑らせることにより動く。
生まれたときから傍にあり、あまりにも身近で意識されることのない「窓」。それだけに知らないことが意外と多いことに気付きました。
「窓」シリーズでは、これからも窓に関する様々な事柄を扱っていきます。次回は窓の断熱性について書く予定です。お楽しみに!
▼第3回では、窓の断熱方法について、予算と効果を比較検討しています。
参考一覧
- 彰国社編『既製サッシを使いきる』2009年
- 日本建築学会『ガラスの建築学 光と熱と快適環境の知識』学芸出版社、2004年