大理石と御影石ってどう違うの?石材屋さんに聞いてみた。
こんにちは、最近は石材ライターの東です。石材って奥が深くて面白いですね〜。
先日福井の石材屋さんとお話しする機会がありました。
以前の記事で石材の種類を調べましたが、あれだけの種類がありながら使用されるのは大理石と御影石が大半…。
大理石というと高級石材の代名詞的なイメージがあるので、使用されるのもわかります。でも、御影石がそこまで多く使用されているのはなぜでしょう?また何が違うのでしょう?
今回は、石材業界でよく使用されている大理石と御影石について、それぞれの違いや性質・用途を比べてみました!
- わかったこと その1
- 石材として使用されるのは、大理石と御影石が大半。
大理石と御影石は成り立ちが違う
以前の記事で、石材を成り立ちから分類しましたね。
簡単に紹介すると、
- 火成岩 : マグマが冷え固まり結晶化したもの。
- 堆積岩 : 色々なものが堆積して押し固められることによって出来た岩。
- 変成岩 : 火成岩や堆積岩などの地層が地殻変動による熱や圧力を受けて再結晶化し、変質したもの。
石材はこの3種類に大きく分類されます。
石材と一言で言っても、その成り立ちによって性質はバラバラ。比重、硬さ、水分の耐性、酸の耐性など様々な違いが出てくるんですね。
大理石は変成岩
先ほどの表の中で、大理石は変成岩という部分に分類されます。
変成岩というのは、石灰岩が圧力や高温環境による影響を受け、特性や見た目が変化したもの。つまり、石灰岩と同じように炭酸カルシウムを主成分とした石材です。
時間をかけて圧力や温度変化を受けるので、石材表面には独特の縞模様が表れます。この模様、英語ではマーブル(Marble)と呼ばれます。
大理石は加工しやすいが酸に弱い
- 比較的軟らかい石材なので、加工がしやすい
- 色や模様の種類が豊富
- 磨くと独特の光沢が出る
と言った特徴を持つ反面、
炭酸カルシウムを主成分とするため、酸に弱い
という弱点も持ち合わせているのが大理石。炭酸カルシウムは強酸に触れると二酸化炭素を放出します。そのため、大理石は酸性雨に触れると表面が風化してしまうんです。そのため基本的に屋外での使用はお勧めできません。
- わかったこと その2
- 大理石は基本、屋内向け。ただし、わざと磨かず床材で使うと経年変化を楽しめる。
大理石は内装用石材
軟らかく加工がしやすい大理石、その特徴を生かした施工事例が多いです。彫刻を施して室内のインテリアとして使用されることも。
ただ、汚れがついたからと言って酸性洗剤で洗ってしまうとすぐに劣化してしまいます。大理石は基本的に汚れにくい場所での使用がお勧めです。
大理石の施工事例
①オフィスの内装壁
オフィスの内装壁に大理石が使用されている例です。白大理石(タソスクラウド)が使われています。タソスクラウド、かみそうな名前です。
②玄関まわり(戸建て住宅)
玄関まわりの床にベージュ大理石(クレマノバ)を使用した事例。曲線の加工がすごく大変だったそうです。職人技ですごく美しい。基本的には軟らかい石材なので壁での使用がおすすめですが、それすら覆すだけの美しさを持っていますよね。
③柱(会館)
柱に白大理石(セミカバラホワイト)を使用した事例。ピンポイント使いも非常にかっこいいですね。
④水回りでの使用例 : 浴室
水回り、特に浴室で大理石を使用されるケースもありますが、こう言った使い方をするときにはしっかりと大理石をコーティングしておく必要があります。
大理石は水に浸されるとシミが発生する性質を持っているので、浸水しないような撥水コーティングが必要ですね。
⑤インテリア彫刻
こちらの机、天板が大理石で作られています。
大理石は比較的軟らかく加工がしやすい石材なので、こういったインテリア用品を大理石で作ってもらうのもいいですね。この天板も湾曲している形ですが、しっかりと1枚の石材で作られています。
内装壁など石材調に統一したい場合、インテリアにも少し石材を取り入れてみては?
参考 : 天板にも大理石が使われる
大理石は比較的軟らかく加工がしやすい石材なので、天板に使われます。
御影石は火成岩
大理石が変成岩に分類されるのに対し、御影石は火成岩という種類に分類されます。
火成岩はマグマがゆっくりと冷やされて固まることで出来上がる石で、他の石材よりも硬くなります。
基本的にはマダラ模様をしている石材なのですが、中には大理石のようなマーブル模様になる部分もあるみたいですね。
御影石は屋外や水回りでも大丈夫!
- 耐久性の高い石材で、風化に強い
- 磨くと光沢が出る
- マダラ模様やマーブル模様など、特徴的な模様が出る
と、かなり硬く強い石材です。
大理石に比べると、酸に対しての体制も強く石材自体が硬いのが特徴。傷がつきにくく水にも強い特徴を持っているので、大理石とは違い屋外や水回りでの使用にお勧め。
- わかったこと その3
- 御影石は屋外でガンガン使える。
- わかったこと その4
- 価格は大理石>御影石。海外産は安い場合も。
御影石の施工事例
①玄関床(戸建て)
玄関床に黒御影石、壁にクラディングストーン(石英)が使用されています。このように硬い御影石を使用して床を施工すれば、傷もつきにくく石材独特の高級感を魅せることができます。
②外構床(戸建て)
白御影石を使用した戸建て住宅です。「御影石=黒」と思っていましたが、白色もあるんですね。明るくて素敵な事例ですよね。
③店舗カウンター
④お風呂の縁石
大浴場の縁石に黒御影石が使われた事例。よく見る光景ですが、あらためて見ると気づかされますね。
御影石はその硬さだけではなく、水に対しての耐久性から水回りでも使用ができます。
特にキッチン周りは固い食器やキッチン道具、濡れた道具などをおくことが多いので、大理石の場合は注意が必要。施工の際にはしっかりとコーティングしてもらい、定期的な清掃とコーティングが欠かせません。
しかし、御影石を使用すれば水濡れによる劣化や、キッチン用品による傷などは気にする必要もないでしょう。
参考 : お墓
日本の場合はお墓の見た目だけではなく、長い期間綺麗に保つ耐久性が重視されます。そのため、水や酸に強い御影石が使われています。
海外ではお墓に細かな彫刻を施すこともあって、大理石で作られたお墓もありますが、酸性雨の影響でかわいそうな状態になります。
- わかったこと その5
- お墓のほとんどは、御影石。海外は大理石のもあるみたい。
まとめ
石材屋さんへの取材をまとめると、全部で4つありました。
【この記事のポイント】
- 石材として使用されるのは、大理石と御影石が大半。
- 大理石は基本、屋内向け。ただし、わざと磨かず床材で使うと経年変化を楽しめる。
- 御影石は屋外でガンガン使える
- 価格は大理石>御影石。海外産だと安い場合も。
大理石と御影石、どちらも柱や玄関床のようなピンポイント使いで、空間の雰囲気がガラっと変わるアイテムだと思います。
次回は、実際にどんな製品があるのか、ネット販売でどんなものがあるのか、調べてみたいと思います。
<取材にご協力いただいた石材屋さん>
村上大理石株式會社様