【石材の種類一覧】建築に使われる石材を調べてみた!

「おしゃれな海外風の家を作りたいな〜。」なんて考えている方、多いのではないでしょうか?私も一戸建てに住んで5年になりますが、今でも海外風のおしゃれな家に憧れがあります。

海外映画に出てくるようなかっこいい家がいいな!と思っていたのですが、よくよく考えてみると日本の家は木造や鉄骨。でも、おしゃれな海外の家は石造り(石で作られている建物)が多い。特にヨーロッパ系の映画を見ていると石造りの家がたくさん映っていますよね。

「そうか、石造りってなんだかかっこいいな〜。」なんて思っていたんですが、石造りの石材にも色々な種類があるようで…。

しかし下記記事によれば、日本では海外のような石造りの家は難しいとのこと。建築基準法の耐震性能に引っかかってしまうそうです。

とはいえ内装や外装の一部に使うことはできるので、「かっこいい石造り」を諦めるわけにはいきません。

そこで、今回はそんな石造りの建築物に使われる石材の種類について調べてみました。一生に一度の買い物、ちょっと思い切った形を考えるってのも楽しいもんです。

基礎知識 : 石材の長所・短所

初めに、石材にはどのような長所と短所があるのか列挙します。

【長所】

  • 圧縮強度 (押す力に対する強度) が大きく、耐久性が高い。
  • 耐火性・耐熱性に優れる(耐熱度が最も低い花崗岩でも570度)。
  • 研磨することで光沢が出るものもある。
  • 仕上げ材として用いた場合、重厚感あるデザインになる。
  • 種類が多く、様々な趣のデザインがある。

【短所】

  • 圧縮強度に比べて、引っ張り強度や曲げ強度が小さい。
  • 他の建材に比べて運搬が不便。
  • 他の建材に比べて加工が困難。

(参考 : 加藤武彦・渡辺英彦編『わかる建築学6 建築材料』117頁、2009年)

こうして長所・短所を見ると、石材がどのような場所に適しているかが何となくイメージできますね。例えば圧縮方向の圧力がかかる壁などに使えます。

しかしひと口に石材と言っても、それぞれの種類で性能が異なります。以下、それらを見ていきましょう。

石材の種類は成り立ちで大きく3つに分類される

石材の種類一言で「石材」と言っても、その成り立ちの方法によって大きく3種類に分類されます。そして更に、これら3種類の中にも沢山の種類があります。

ブランド石材は30種以上

石材の分類マップ
そしてさらに掘り下げると、このようなブランド石材がたくさん見つかりました。地名にもとづくユニークな名前もあり面白いですよね。

石材の種類というと大理石をイメージされる方がほとんどかと思いますが、大理石は変成岩という大枠に含まれる結晶質石灰岩の名前。「大理石」という石がどこかから生まれてくる事はないんです。

変成岩というのは、火成岩や堆積岩などの地層が地殻変動による熱や圧力を受けて結晶化し、変質したもの。大理石のあのキラキラとした綺麗な見た目は結晶化によるものだったんですね。

変成岩、大理石…ちょっと名前がたくさん出てきましたね。以降、大分類3つの「火成岩」「堆積岩」「変成岩」の順にそれぞれの石の特徴をまとめてみます。

▼参考 : 石材の成り立ち

火成岩に分類される石材

火成岩というのは、マグマが冷え固まり結晶化したもの。固まる場所によって、大きく3種類に分けられます。

地中深いところで熱と圧力を受けながらゆっくりと固まったものを深成岩、逆に地表近くで急激に冷やされて固まったものを火山岩、その中間層で固まったものを半深成岩と呼びます。

  • 地表近くで固まったもの : 火山岩
  • その中間層で固まったもの : 半深成岩
  • 地中深くで固まったもの : 深成岩

基本的には同じような成分なのですが、固まったときの場所、固まるスピードなどによって、呼び方も性質も大きく違います。

安山岩(あんざんがん) : andesite

安山岩(諏訪鉄平石)の乱張り

安山岩(諏訪鉄平石)の乱張り

火山から噴出した火山岩で、地表近くで塊状(かいじょう : 不規則に固まること)や柱状、また板状に露出している岩石。

安山岩は斜長石(しゃちょうせき)、角閃石(かくせんせき)などで構成されており、灰褐色のものが多く、光沢はほとんどありません。しかし、中には美しい色を持つものも。

火成岩で硬く、高い耐久性と耐火性をもつ石材。そのため、建物外装に使用する事も可能で、色々な場所で活躍する石材です。

花崗岩(かこうがん) : granite

白御影石(花崗岩)の石板

花崗岩(白御影石)の石板

花崗岩は地球上で最も多く存在する岩石で、主に建物の外装に使用されている石材。日本では御影石(みかげいし)と呼ばれることもあります。「御影石」聞いたことありませんか?
そう、お墓の暮石としてよく使用されている、あの石です。近くに寄って見たことありますか?実はマダラ模様がある石で、御影石自体にも様々な色があります。

花崗岩は神戸市の御影が有名な産地だったことから、その地名をとって「御影石」と呼ばれているんです。

その花崗岩は、地下深部のマグマが地殻内で冷却され固まった結晶質の石材。上の図で言うと火成岩に当てはまり、地中深くで固まったものなので深成岩になります。

花崗岩は石英(せきえい)やカリ長石(かりちょうせき)、黒雲母(くろうんも)などの結晶から形成されている石材。この部分、学校で習ったこともあるんじゃないでしょうか?

また、花崗岩はゆっくりと冷やされて固まることにより、強い硬度と見た目の美しさを持ち、他の石材に比べて非常に耐久力が高くなっています。しかし、その硬さゆえに建築用加工の費用が高くなる傾向に。

マグマが冷やされたものというと黒っぽい色をイメージするかもしれませんが、黒だけではなく白色、ピンク、赤っぽい色合いの花崗岩も。白・ピンク・赤い色合いのものは花崗閃緑岩(かこうせんりょくがん)また「白みかげ」と呼ばれ、黒いものは閃緑岩(せんりょくがん)「黒みかげ」なんて呼ばれています。

白みかげは、日本のお墓で最も多く使用されている石材で、その大きな模様が特徴。それだけ流通量も多いので比較的安価に手に入ります。

また、花崗岩はその硬さや耐久力、美しさから建物の外装部分によく使われている石材。外壁だけではなく、玄関アプローチやカーポート付近にちょこっと使われていてもオシャレに見えるのかも。

堆積岩に分類される石材

堆積岩というのはその名の通りで、色々なものが堆積して押し固められることによって出来た岩。

砂利や砂、粘土、生物の遺体(サンゴ、貝殻)などが川の水流や波、風によって湖や海の底に運ばれて積もることにより堆積岩となります。

堆積岩の元となるのは、砂利や貝殻の堆積だけではありません。火山が噴火したときに噴出される、火山灰や砕屑が堆積することによっても堆積岩が出来ます。

石灰岩(せっかいがん) : limestone

石灰岩(ライムストーン)の壁石

石灰岩(ライムストーン)の壁石

石灰岩というのは、主に炭酸カルシウムからなる岩石で、粒の荒い石材。堆積岩と呼ばれる種類の石材で、貝や動物の遺骸(いがい)、軽石や火山灰、火山砕屑物(かざんさいせつぶつ)が地表に堆積して作られる岩石です。

細かい粒子が堆積して作られた石材なので、比較的軟らかく加工がしやすい。しかしその反面、他の石材に比べて強度が低いので、力がかかる部分での使用はオススメできません。

建築用に使用されるものの中では一番柔らかい部類の石材で、高い吸水性を持っています。小さな穴がたくさんあるため、水をよく吸い、その水分のせいで割れやすく汚れやすい石材。外装に使うというよりは、建物内壁、床材として使用したい石材ですね。

砂岩(さがん) : sandstone

砂岩を使った壁

壁材として砂岩を使用

砂岩というのも堆積岩の一種で、石英や長石などが荒い粒となって水中に堆積したもの。

一般的に軟質で加工がしやすく、水中でグッと押し固められているので耐火性があります。また、酸にも強い特徴を持っていますが、吸水率が高いため外壁での使用はオススメできません。石材の中に水分を含んでいることで凍害(凍って割れる)を受けたり、汚れや苔がつきやすくなります。そのため、外装に使用された砂岩はメンテナンスが大変…。

その反面、自然の力で見た目がゆっくりと変化していくので、経年変化を楽しむ事も出来る石材です。メンテナンスができる人は、玄関の敷石として使用するのも面白そうですね。

凝灰岩(ぎょうかいがん) : tuff

石垣に使う凝灰岩(別畑石)

石垣に使う凝灰岩(別畑石)

凝灰岩という名前は聞き慣れないかもしれません。

凝灰岩は火山岩や砂、岩塊片(がんかいへん)などの火山噴出物が水中や陸に堆積して凝固したもの。つまり、火山から出てきた岩石が集まり、ギュッと固まったものです。

火山から出た石の塊なので光沢はなく、軟らかい石材なので経年変化でどんどん変色していきます。白色、グレー、緑灰色の色をしており、材質が軟らかく強度が低いため採石と加工が簡単。

耐火性にも優れていることから石塀や石蔵、温泉の岩風呂などに使用されている石材です。凝灰岩で自分だけの露天風呂を作るってのもロマン溢れますね。

粘板岩(ねんばんがん) : slate

粘板岩の、玄昌石(左の板状の石)と那智黒石(右の粒状の石)

粘板岩の、玄昌石(左の板状の石)と那智黒石(右の粒状の石)

粘板岩はスレート(slate)とも呼ばれる石材で、均一で非晶質の板状組織を持っているもの。

…と言っても分かりにくいかもしれませんが、とにかく板状に薄く剥がれる性質を持っているという事!他の石材のように砂や岩が堆積したものではなく、粘土が沈殿、固化することによって出来上がる石材。板状の加工が容易なので屋根材に多く使用されている石材です。

また、建築材料以外で言えば、習字をするときの硯(すずり)にも使用されている石です。一般的には硯のような黒、または赤褐色ですが、緑色をした粘板岩も確認されています。

変成岩に分類される石材

変成岩というのは、火成岩や堆積岩などの地層が地殻変動による熱や圧力を受けて再結晶化し、変質したものです。

つまり、すでに岩石となっているものが変成作用を受けることによって出来上がった岩石。そのため、変成岩が変成作用を受けて、さらなる変成岩になる事も。

大理石(だいりせき)

村上大理石が手掛けた、薪ストーブ壁面の石

薪ストーブ壁の大理石

こちらはご存知の方も多いでしょう。高級石材の代名詞でもある大理石。

「俺ん家の床、大理石なんだぜー!」なんて言ってみたいですね!めちゃくちゃ性格悪そうな奴ですが。

大理石というのは皆さんのイメージ通り、主に内装材として使用される装飾石材。花崗岩は地中深くで固まった深成岩なので、とても硬く丈夫。でも大理石は花崗岩に比べて軟らかく、短時間で加工が可能なため内装材として使用されます。

また、大理石の色も石灰質の混入鉱物によって違い、白い色やベージュ、グレー、緑、紅、黒など様々な色をした大理石が確認されています。

無地だけではなく、その成り立ちから縞模様になったり、筋が入ったり、と様々な模様が入っているのも特徴。TVなどで見る大理石の輝きは、大理石本体をしっかりと磨くことによって作り出されているんですね。

しかし軟らかく繊細な石材なので風化に対して弱く、屋外での使用には適していません。酸性雨を浴びると半年〜1年ほどで表面の艶が無くなってしまいますので、外装として大理石の使用を考えていた人は注意が必要。あの輝きをずっと守るためには、しっかりとした手入れが必要です。

石材種類、使用箇所の一覧まとめ!

石材と一言で書いても様々な種類が…。ということで、それぞれの石材種類を表にまとめてみます。

各種石材の性質

岩石名 比重 吸水率(%) 圧縮強さ(N/mm2) かたさ
安山岩 2.58 2.12 85 17.7
花崗岩 2.64 0.58 129 18.6
石灰岩 2.72 0.56 137 15.8
砂岩 2.0 11.0 45
凝灰岩 2.43 8.20 55 17.3
粘板岩 2.81 0.20 11.0
大理石 2.7 0.30 120

それぞれの性質をまとめてみると、比重はどれも同じくらいですが吸水率に大きな差があります。吸水率というのは水を吸う力、ということはそれだけ柔らかく弱くなるということですね。

そのため、圧縮強さを比較すると安山岩や凝灰岩は弱い傾向にあります。特に凝灰岩は、外装に使用する建築石材としては適していませんね。

各種石材が使える場所

次に、先ほどの性質を踏まえて「各種石材を建築に使用するならどこに使えるか」を考えてみます。それぞれの石材性質が生きる場所へ使用したいですね。

建物外装 建物内装 その他
石材種類 屋根 アーチ 浴室・浴槽
安山岩
花崗岩
石灰岩  –
砂岩
凝灰岩
粘板岩
大理石

石材なのでどうしても気になるのが強度。強度が高い石材は壁材で使用できますが、強度が低いものは壁材として使用することはできません。石材自体が建物の重さに耐えきれないからです。

また、屋外で使用できるかどうかは吸水率も関係してくるので吟味が必要。上の表はあくまでも参考として、使用する場所は石材屋さんとしっかり相談する必要がありますね。建物を立てる場所、地域、温度や湿度によっても使用できる石材は変わるでしょう。

石材をどこに使いたいかが重要

調べるまでは「石造りの家ってかっこいいだろうな〜。」程度に考えていたんですが、実際に石材のことを調べてみると色々な性質があってびっくり。

とりあえず、よく名前を聞く大理石を選んでおけばOK!くらいに考えていたんですが、大理石って思った以上に繊細で、しっかりと手入れしないといけないんですね。さすがは高級石材。

中学の授業?で花崗岩については勉強したことがあるのですが、この花崗岩の一種がお墓にも使われているとは驚き。それだけ流通量が多く、丈夫な石だということですね。

建物外壁を飾るときには花崗岩(御影石)を、内装にちょっとゴージャス感を出したいなら大理石、屋根部分に使用したいなら粘板岩。と使い分けて考えると、質感の違いから新しいデザインも思いつくかもしれません。それぞれ石材の特徴を理解して使用することが大事ですね。

僕の理想は、庭に凝灰岩の岩風呂!男のロマン!

参考文献

  • 野口貴文ほか『ベーシック建築材料』彰国社、2010年
  • 橘高義典・杉山央『建築材料 第四版』市ヶ谷出版社、2013年
  • 加藤武彦・渡辺英彦編『わかる建築学6 建築材料』学芸出版者、2009年

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