【浮造り木板】
「大地の家」では、「浮造り(うづくり)」と呼ばれる自然の凹凸を活かした工法でできたナラ材を壁・床・天井に使用した。この家は周辺の自然とともに存在するために生まれた家であるため、綺麗に均質化された木は、この家にとっては不釣り合いなものになる。使用した木板は一部が割れていたり、節が目立ったり、抜け節の補修痕が見えたりしているなど、木のありようがそのまま表れている。
人の肌が触れる場所に木を使用することで、人の営みとともに風化し、「人の痕跡」をつくっていくことを設計に組み込んだ。木の節や年輪の幅、自然が生み出す不均質さは、中にいても外とつながる感覚をつくり、自然との一体感を演出している。「生態系が自然の中に定着するような流れで、人も自然の一部となって生活を定着していけるように」との思いが込められている。
本当に木が好きな会社
ワールドフロンテアさんを知ったのはずいぶん昔です。営業の方が飛び込みでこられて、とにかく木の魅力をやたらと話されて。「なんだこの人は」と驚きましたが、よっぽど木が好きなんだなと思い、そこからずっとどこかで気になっていました。私はカタログから素材を決めることに少し抵抗を感じます。「これって本当に何かを選んだことになっているんだろうか?」と思うときがあって。もう少し素材のことを勉強してから選びたいと思っていたなかで、木に詳しく、木を扱うことを心底楽しんでいるワールドフロンテアさんはとても信頼できました。
ちょっとした加減を感じ取る
ワールドフロンテアさんは自然素材を扱う会社。「どの木をどれくらいのロットで欲しいのか」といったことも丁寧に対応してくれます。同じ樹種でも採ってくる山が違うと感じが変わるため、「『ナラ』といえば同じものが手に入る」というような均質な感じとは違います。そういうことをちゃんとコントロールしてくれて、「ちょっとした加減」をわかってくれています。この「加減」というものが建築には大事だと思っていて、そこを相談に乗ってくださったのは大きかったです。いい意味での不均質さがありながら一定の品質を保つという、非常に難しい部分を両立されているところが素晴らしいと思います。
建材開発秘話
張 傑さん
オーダー製作による柔軟な対応
当社の主力製品は自然素材のフローリング・パネリング・特注造作材(框・階段板など)です。今から20年前、ホルムアルデヒドを含む建材による「シックハウス症候群」が社会問題になったことがきっかけで、本当に居心地の良い空間とは何かを追求した結果、自然素材を取り扱うことにしたのです。当社ではこの自然素材製品のオーダー対応もおこなっています。建築家の方々の構想・ご要望に寄り添いながら積極的に提案していることも、当社がご支持いただいている理由だと思います。
予算内で建築家の思いを形にする
今回の「大地の家」に関しては、統一感を出すために壁と天井にフローリングと同じ素材を使いたかったそうです。しかし、フローリングの標準規格の長さは1820㎜、壁に一枚通しで使うには2400㎜が必要だったのです。普通ならあきらめるところでしたが、丸太からオーダーで切り出して仕上げ、予算の範囲内でご提案いたしました。建築家さんのご要望は非常に細かいので、「きめ細やかな対応」はいつでも心がけています。
本物志向に対し、本物の技術で提案
畑さんから、本物の木の質感を最大限に表現できる素材とその素材の仕上げ方法についてご相談いただいた際、材料はナラの浮造りしかないと思いました。ナラ材は古来より内装、家具などに使われ、広い巾を取れる材料です。専門の職人さんが手斧などの道具を用いて木の木目に沿って凸凹をつけることによって、ナラ材の表面に立体感と豊かな表情が生まれます。結果的に、巾220㎜、長さ2400㎜の立派なナラのフローリング、パネリングをつくりだすことができました。
浮造り木板の特徴
「浮造り」は専門の職人が手斧などの道具を用いて、木の木目に沿って一つひとつ敢えて凸凹を付ける古来よりの技法。表面に豊かな表情をつくり出すことができる。
木目や節の凹凸などを消してしまわず、ある程度肌で感じられる程度に残している。木のありようがそのまま表れる不均質さが自然の延長を演出。
人の肌が触れる場所に使用しており、触ったり踏んだりした部分が特有の経年変化を起こすことで、住む人の営みが木板に表れる。
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