MATERIAL
有機的な素材感を出せる生石灰クリーム
【タナクリーム】

公共空間は建物の構成上、無機質でシステマチックな印象を与えてしまうこともある。しかし高野氏・森田氏は、「つなーで」ではあたたかみのある有機的な素材感を出したいと考えていたことから、創業から130年近く土佐漆喰を扱う田中石灰工業株式会社が開発した内装材「タナクリーム」を採用した。タナクリームは薄く塗ることができるうえ、乾きが早い。さらに塗ったときのムラが均質にならないため、左官職人の手の跡や光が当たったときの反射がやわらかい印象を与えることも、「つなーで」の空間づくりに一役買っている。

高野さん、なぜこの建材を採用したのですか?

「つなーで」では、高知の風土に合った建材を使いたいと考えていました。今回共同設計をした聖建築研究所は、高知県を中心に民家の再生などを手掛けており、以前から地元に根差した建材を多用していたことから、田中石灰工業さんのことを紹介していただきました。

メーカーさんへ聞いた
建材開発秘話
伊吹 知之さん

漆喰施工をより身近なものに

タナクリームは、当社が平成9年に発売した生石灰クリームです。一般的な漆喰よりも施工性が高い生石灰クリームを使うことで、漆喰施工を手軽に行えるようにしようと商品化しました。発売後も、クラックの発生を抑える配合を開発したり、従来の漆喰施工との違いを左官業者様に訴求したりするなどさまざまな取り組みを行っており、今ではDIY用として一般の方にも使われています。

付着力の強さが複数のメリットを生む

一般的な漆喰施工は、下地の状態の見極めや高い施工技術が必要とされ、仕上がりが施工者の経験やノウハウに左右されてしまいます。しかし、タナクリームは下地への付着力が高く薄く塗ることができるため、専門知識がない方でも施工でき、工期短縮にもつながるのが強みです。コテで押さえ込む必要もなく、さまざまなパターンをつけて仕上げられるデザインの自由度の高さも人気の理由だと思います。

新素材を応用した製品開発への挑戦

CNFの電子顕微鏡画像(拡大率1万倍)

現在、「セルロースナノファイバー(CNF)」を使った研究に力を入れています。CNFは食品や化粧品などに採用されているバイオマス素材ですが、これを漆喰に配合することでクラックの発生を大幅に軽減できるのです。2018年には高知県と共同で研究を行い、業界初のCNF配合漆喰製品「練りたなか壁」を開発しました。今後はこのCNFをタナクリームにも応用することを検討中です。

タナクリームの特徴

1.簡単・スピード施工

漆喰の施工で必要な重ね塗りや、コテで圧力をかけるなどの手順を省略。施工性が高くなるうえ、工期も短縮できる。

2.100%自然素材

高知県で採掘された石灰岩のみを材料に使用。調湿効果・有害物質吸着効果を持つため、住宅だけでなく、医療施設や保育施設の壁材に使用できる。

3.デザインの多様性

あえて塗りムラを残したり、パターンをつけたりするなど、本漆喰では難易度の高い表現も可能。デザインの自由度が高い。

田中石灰工業株式会社

〒783-0084
高知県南国市稲生3185番地
TEL:088-865-2151
FAX:088-865-2153
MAIL : sekkai@tanakasekkai.jp
www.tanakasekkai.jp/
※タナクリーム1日仕上げ3,900円/㎡~(材工共設計価格)

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