「京都」をかたちにする建材とは。
居住滞在型インキュベータ施設 toberu

新しい価値観を見つけ飛び立つ
「次のステップへの飛び石」

京都市左京区にある「toberu」は若者が4ヶ月間滞在しながら起業に向けてプロジェクトを進める、インキュベータ施設である。時間と空間を共有しながら、新しい価値観を見つけ飛び立つ「次のステップへの飛び石」という意味が名前に込められている。

o+hの大西氏と百田氏は、学生時代を京都で過ごしたことから、この場所への思いが設計にも大きな影響を与えた。「京都のまちは、眼に見える以上に時間的・空間的な奥行きが感じられる場所だ」と大西氏が語るように、歩いてきた距離より遠くに来た感覚、時間が隔たった感覚を建築でも表現できないかと考えた。

路地のようなエントランスを進むと、吹き抜けの空間があらわれ、ハイサイドライトからやわらかな光が降りてくる。建物内には食堂やライブラリー、ミーティングルームのほか、滞在者の個室とゲストルーム、浴場などの機能があるが、外の世界が直接見えない構造になっているため、ここで過ごす滞在者は建物に入る前に見ていた町とは違う、どこか遠く離れた場所に来たような感覚を持つのではないだろうか。

また、「toberu」は三方を通りに囲まれた敷地にあり、街道に面した部分は町家の「ミセ」と呼ばれるパブリックスペースをイメージしたミーティングルーム、西側の通り沿いはライブラリーを配置するなど、通りによって性格が異なるのも特徴的である。今後、大学や企業との連携も予定されており、まちの中心部と外の世界をつなぐ存在としても期待されている。

居住滞在型インキュベータ施設 toberu
居住滞在型インキュベータ施設 toberu

所在地 / 京都府京都市
設計 / 大西麻貴+百田有希/o+h