MATERIAL
藍のグラデーションと冴えた白が出せる窯元
【有田焼タイル】

深く静謐な藍色から、目の覚めるような冴えた白まで、「REVZO虎ノ門」の1階から10階をつなぐ階段の踊り場には、フロアごとに微妙に色合いと模様が変化していく有田焼のタイルが貼られている。タイルを追いかけながら知らず知らずのうちに階段を上り下りしたくなる仕掛けだ。ビルの利用者の心を潤すだけでなく、健康にも一役買っている。このタイルを焼いているのは佐賀県の有田町にある有限会社 李荘窯業所。17世紀初頭に日本で初めて白陶を焼いたという李参平の住居跡に開かれた窯元だ。有田焼の伝統的な技術を継承しつつ、時代と共に磁器彫刻から食器、そして建材へと常に新しい挑戦を続けている。タイルに施されたユニークな模様は、東京2020五輪・パラのエンブレムをデザインした野老朝雄氏が手掛けた。全てのフロアで異なるタイルを見るために、通常は足を運ばないフロアにも行ってみたくなる、という川島氏の狙いがある。

川島さん、なぜこの建材を採用したのですか?

ピュアな白と多様な藍色の表現

各フロアごとにタイルの色やパターンを変えて上り下りする楽しみをつくるという仕掛けも、10階建ての規模だからこそできますよね。有田焼を選んだのは黄ばみのないピュアな白と美しい藍色を出せるから。有田焼の陶土の特徴です。そしてフロアごとに微妙に異なるトーンの藍色をグラデーションで出せる李荘窯さんの技術はやはりすごい。野老さんが10フロア全て違うパターンでデザインしてくれたタイルの模様は、デジタルファブリケーションを使ってロボットアームで描いています。最先端のロボティクスを取り入れて、有田焼の伝統的な技術に現代の技術を結びつけながらものづくりを進化させてこそ実現したタイルです。

メーカーさんへ聞いた
建材開発秘話
寺内 信二さん

磁器の可能性を建築目線で追求

階段のアートピースタイルは、各階を単色で構成しつつ白から濃い青へ変化させていくとのご依頼で、中間色の部分を色にムラのないようにつくるのが非常に難しかったです。生地によって釉薬の吸い方が変わるため、なかなか色が揃わないのです。また窯内の焼成場所によって火の当たり方が違い、これによっても影響が出ます。川島さんにはこうしたこともご理解いただき無事に製作できました。磁器は多くの可能性を持つ素材のため、今後も建築の目線で磁器の可能性を追求していきたいです。

有限会社 李荘窯業所の特徴

1.約400年の伝統に裏打ちされた品質

約400年前に日本で初めて白磁が焼かれた有田焼の伝統技術を継承。「心を動かすモノ作り」を目指し、高度な技術を持つ職人集団による確かな品質の製品を提供。

2.デジタル技術による高精度のものづくり

伝統的な技術に加え、デジタル技術を用いた革新的で精細なものづくりが可能。食器から建材としてのタイルやアートピースまで李荘窯ならではの製品を手掛ける。

3.強度や透光性を持つ多彩な磁器を製造

基本の白磁のほか、色を添加した土での磁器や通常の5倍の強度を持つ磁器、透光性の高い磁器、軽量磁器、収縮しない多孔質磁器などさまざまな磁器を製造している。

有限会社 李荘窯業所

〒844-0007
佐賀県西松浦郡有田町白川1-4-20
TEL:0955-42-2438
FAX:0955-42-2104
MAIL:s_terauchi@risogama.jp
www.risogama.jp/

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