内と外の境界をデザインする建材とは。
Aesop 日比谷シャンテ

ダイナミックな2つの什器で
店舗の世界観を成立させる

開業以来最大規模の改装を行い、2018年春に営業を開始した東京都の商業施設「日比谷シャンテ」。その1階に、国内で4つ目となる直営店をオープンしたオーストラリア発のスキンケアブランド「Aesop(イソップ)」が、店舗設計を増田氏と大坪氏に依頼した。

Aesopは、製品の魅力を五感で体感できる重要な場として店舗を位置づけ、国内外ののデザイナーを起用し空間全体をつくり込むことで知られる。今回の新店の場所は、三方が開口部ないしはガラス面で、壁は1枚のみという構造。完結した空間にはできないため、新しいアプローチが必要だった。

増田氏と大坪氏は、地下から地上へエスカレーターで上った所にある開口部に、あたかも壁一面が動くように感じるほど巨大な扉を設置した。それが開くと店舗が営業を開始し、扉の裏側はバックヤードへと変わる。扉の全面に付けたマジックミラーによって、照度の高い店内側から見ると、鏡に反射した外部のプロムナードの緑が視覚を占拠しながら街と一体的な体験になる一方で、照度を落としたバックヤード側からは店内の様子がよく見える。

中央にはキャッシャーと、製品のテスティングができるシンク付きの什器を設置した。扉とこの什器は、シンクを格納しないと扉の軌跡にぶつかるほど近接している。ダイナミックな2つの構築物がテリトリーが被る状態で配置され、その存在感のせめぎ合いが良い意味での緊張感を成立させる。これを、この店舗の構えとした。

閉店して扉が閉まると店内と外部の関係性は反転する。日中に周囲の景色を反射していた扉が閉まると、プロムナード側からのディスプレイとしてブランドの世界観が完結する。マジックミラーの巨大な扉の動きが店舗のプログラムと一致することで、その場所ならではの機能を最大限に発揮している。

Aesop日比谷シャンテ
Aesop日比谷シャンテ

所在地 / 東京都中央区
設計 / 増田信吾+大坪克亘
施工 / 株式会社 アンドエス
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