【25角白色タイル】
月1回は施主と現場で打ち合わせを行っていたという中川氏。敷地の周辺環境が気に入りこの場所を選んだ施主とともに、敷地エリアを散策することも多かったという。「敷地周辺の山には、かつて保養所の浴室などで使われていたタイルが、RCの壁とともに残置されている風景を目にしました。そこにヒントを得て、『桃山ハウス』では内外に等しく使える材料のひとつとして白いタイルを採用しています」。なかでも当初は予定になかった柱の根元部分にもタイルを貼っている。これは、家の中にいながらも周辺環境とのつながりを感じることができるようにした中川氏の工夫の一つだ。今回採用したタイルは、陶磁器の産地である岐阜県多治見市でつくられたもの。「山の中で明るい小石を見つけたような感覚だった」と中川氏が言うように、磁器のやわらかな透明感がこの土地の表情にマッチした存在感を放っている。
自然な透明感を放つ「白」
「桃山ハウス」の周辺環境にはコンクリートや石など濃さや透明度が違うさまざまな「グレー」の色で溢れていたことから、「白いタイル」といってもグレーの延長にあることを意識していました。そこで片っ端から白いタイルをサンプル請求し、30〜40種類事務所に取り寄せたのですが、さまざまなタイルの中でも轟製陶さんのタイルは目を引きましたね。真っ白ではないグレーさと光が当たった時の透明感や、人工的につくったというよりも自然にあるものがそのまま目の前に現れたような新鮮さがありました。独特の質感が気に入ったのはもちろん、メーカーさんもすごくフレキシブルに対応してくださったので、その後もほかのプロジェクトで使わせてもらっています。
建材開発秘話
柴田宗一郎さん
焼き物ならではの自然な色幅を表現
タイルなどの焼き物は、焼成時の温度や焼成方法などによって色幅が出てしまいます。特に白色は単色で認識しやすい色のため作業者の目が慣れてしまい、色の微妙な変化に気付きづらいのです。そのため、当社ではタイルの色を「自然な色幅」に収めることを特に気をつけています。ペンキを塗ったような人工的な感じではなく自然界にあるような色で仕上げられた点が、中川さんにも気に入っていただけたのだと思います。当社の白色タイルは普段は小学校や保育園などの手洗い場に使われることが多いので、住宅の柱にも使うのは珍しいなと思いました。
轟製陶株式会社の特徴
内外装・床用の磁器質施釉タイルを扱うタイルメーカー。吸水率が低い特性を活かし、手洗い場やキッチンバック、浴室の壁のタイルとして人気がある。
製造・販売しているタイルの種類は23ミリ四方・25ミリ四方・45.5ミリ四方で、色は18色。小さなモザイクタイルの製造を得意とする。
他社と比較して厚みが薄いタイルが特徴。資材費や製作のためのエネルギー・運送費・施工材料を抑えた「環境に優しいタイル」になっている。
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