川島範久氏が紹介する信頼できるプロジェクトリーダー
建築は、建築家を中心に、構造家・CADオペレーター・職人といった、さまざまな方々の協力によって成り立っています。
今回は建築家の川島範久氏に、信頼しているプロジェクトリーダーの方をご紹介していただきました。
─ 川島さん、信頼しているプロジェクトリーダーを紹介していただけませんか?
「株式会社淺沼組技術研究所」の石原誠一郎(いしはら せいいちろう)さんを紹介します。
石原さんは、淺沼組のリニューアルブランディング事業「GOOD CYCLE PROJECT」のプロジェクトリーダーです。
〒569-0034
大阪府高槻市大塚町3-24-1
TEL:072-661-1620
https://www.asanuma.co.jp/hoyu/
■「GOOD CYCLE PROJECT」とは
株式会社淺沼組のリニューアルブランディング事業。川島氏が設計(共同設計:淺沼組設計部)兼アドバイザーを、石原氏が淺沼組内のプロジェクトリーダーを務める。
同事業内の、”循環の中の建築”を考える「GOOD CYCLE BUILDING」プロジェクト第1弾「GOOD CYCLE BUILDING 001」(淺沼組名古屋支店改修)が、2021年9月16日に竣工。「GOOD CYCLE BUILDING 001」で導入された技術の多くを石原氏が担当した。
─「GOOD CYCLE BUILDING 001」で印象深かったことは?
2018年頃にリニューアルブランディング事業のアドバイザーとして関わらせていただくことになってから、石原さんとはこれからの建設業の在り方についての議論を重ねてきました。事業ですから利益を上げなければならないのは当然ですが、その前にまずは建設業というのは「ものづくり」であるという認識と誇りを強く持たれていることに心から共感しました。
地球の資源やエネルギーを使って「ものづくり」をする建設業は今後どう変わっていくべきかを考え、「より良い循環をつくる」というコンセプトに至りました。
─ 川島さんから石原さんへメッセージをお願いします。
「環境の時代」の建築デザインは、どのようなマテリアルで、どのようにつくるか、に踏み込まなければ立ち行かなくなると考えています。それに向けては、建築設計者と、素材や技術の開発者、そして施工者が、同じ目標に向かって協力していくことが不可欠です。
今回の「GOOD CYCLE BUILDING 001」ではそのような理想的な協力関係が結べたことが最も画期的だったと思いますし、こういったことが当たり前になっていくことが求められていると考えています。今後もさらなる良いコラボレーションを重ね、アイデアを発展させていければと思っています。
お話を伺いました。
─「GOOD CYCLE BUILDING 001」では、どのようなところに苦労がありましたか。
「GOOD CYCLE BUILDING 001」での取り組みは、苦労というよりも、むしろ大変楽しく仕事をさせていただきました。SDGs時代の新たなリニューアルのあり方について、川島先生に指導をいただきながら議論を重ね「つくるのは、よりよい循環です。」のコンセプトにたどり着きました。
それを具体化する本プロジェクトに関係者の皆さんから強い共感をいただき、川島先生はもとより川島先生のお知り合いの様々な分野の新進気鋭のクリエーターの皆さんと、「よりよい循環」をテーマに独自性の高い試みをこの建物の中で挑戦でき、大変素晴らしい経験をさせていただきました。
─石原さんの仕事上のポリシーを教えてください。
建設業の技術分野で長く研究開発や技術企画を行ってきましたが、ポリシーとしては次の時代の潮流をつかむことと、技術開発により世界を少しでも変えることです。すなわち、現代のように変化の激しい時代において、時代の変化の本質に少しでも迫り、その時代が求める変化に建築の分野において、少しでも貢献できる技術開発ができればと考えてきました。
─建築を学ぶ学生の方へメッセージをお願いします。
デジタル技術の進歩によりVRなどの仮想現実の世界の可能性が広がる一方、重力場に支配されるリアルな建築は制約が多いため自己実現の手段として魅力が落ちているのかもしれません。しかし、建築はリアルの世界に存在し、その構成要素として社会を変える力を持っています。
「環境の時代」の建築のあり方の試みとして、学生の皆さんには「GOOD CYCLE BUILDING」の取り組みに少しでも関心を持ってもらえればと思います。
「CLASS1 ARCHITECT Vol.16」では建築家の川島範久氏による建材のレビューをご紹介していますので、ぜひご覧ください。