【特注タイル】
「八戸市美術館」外構の一部は芝生が敷き詰められており、その縁は訪れた人がベンチとして腰かけられるようになっている。「人が触れる部分であるため、剥き出しのコンクリートではなく、温かみのある素材を使いたかった」という浅子氏の考えから、ベンチの笠木部分には株式会社ダイナワンの特注タイルを採用した。「今回の外構の形は丸や三角でできているため、コーナーや曲率が異なるカーブなどさまざまな種類の役物が必要でした。ダイナワンさんには、角の部分やタイルがぶつかる部分は手作業で専用の役物を作っていただきました。タイルはひと昔前の素材と思われている節がありますが、耐久性が高く、質感が良く、形状を一からつくることができるうえに色も豊富な素材はなかなかありません。この素材の可能性をもっと引き出したいですね」と浅子氏。現在、都内で進行中の大型商業施設の案件でも採用を検討しているという。
当初はファサード部分で検討
もともとは「八戸市美術館」のファサード部分をタイル貼りにしようと思い、大判のタイルを全面に貼る方法がないかリサーチを進めていました。そこでLIXILさんに紹介していただいたのが、ダイナワンさんの特注タイル。このタイルは接着剤での固定に加えて、外壁にビス止めもできるようになっています。接着剤が剥がれた場合でも金物がタイルの落下を防いでくれるので、二重の意味で安心な製品です。実は設計の最後で金額が合わず、泣く泣くファサード部分へのタイルの採用を見送ることになったのですが、色もサンプルもつくっていたのでどこかで使いたいと思っており、美術館の外構部分で採用することになりました。
建材開発秘話
高難度の役物を全て手作業で製作
今回の特注タイルでは、繊細に調合された釉を施すことでガラスのような透明感を表現しました。釉により吸水を抑え、防汚性を高める実用性も備えています。苦労したのは、約80点にも及ぶベンチコーナー用の役物製作。一般的に接着加工や焼成後切断が多用されるコーナー部を、全て人肌に優しい手作りの一体役物で納めました。手作業の連続で難易度の高い挑戦ではありましたが、長年にわたって培われた職人の知恵・工夫とものづくりへのこだわりで完成できました。
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株式会社ダイナワンの特徴
均質な乾式成型品だけでなく、含水率の高い粘土生地を成形する湿式タイルも得意とする。成形時に収縮や歪みが生じやすい反面、焼き物らしい風合いが特徴。
タイル・レンガ・瓦から食器まで、焼き物を扱う協力工場を全国に持つことで、建築家やデザイナーの要望に合う特注タイルの製造工場をプロの目線で選定する。
最新トレンドを捉えた輸入品から、自社オリジナルデザインの国内開発品(約40シリーズ)まで、150シリーズ以上のアイテムを高回転で建築市場に提供する。
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