本瀬齋田建築設計事務所が紹介する信頼できる現場監督
建築は、建築家を中心に、構造家・CADオペレーター・職人といった、さまざまな方々の協力によって成り立っています。今回は本瀬齋田建築設計事務所の本瀬あゆみ氏・齋田武享氏に、信頼している現場監督の方をご紹介していただきました。
─ 本瀬さん、齋田さん、信頼している現場監督を紹介していただけませんか?
日木産業株式会社の石河直人(いしかわなおと)さんを紹介します。
「いばらき幼稚園」の現場監督を担当していただきました。
〒316-0036
茨城県日立市鮎川町4-1-8
TEL:0294-34-4151
─ 石河さんとの仕事で印象深かったことは?
「いばらき幼稚園」は屋根が多角形でカーブしていたため、建て方から屋根工事までが一つの山場でした。どちらもイレギュラーで困難な工事でしたが、建て方のプレカットについては石河さんの働きかけで専任者を付けていただいたり、屋根工事は付き合いのある経験豊富な親方を連れてきていただいて実現することができました。いつも適任者を配置していただいて、チームの編成が上手い方だなと思いました。
また、石河さんには現場制作の塗装サンプルや板金サンプル、木製サッシのサンプルなどをご準備頂きました。隈研吾事務所時代には、こういったサンプル確認は当たり前のことと思っていたのですが、独立後はこちらから強く働きかけないと作製してもらえないものだということが分かりました。しかしながら、今回の工事では、石河さんの方からサンプル作製の申し出を頂くことが多く、事前に仕様を確認できたのがとても良かったです。
─ 本瀬さん・齋田さんから石河さんへメッセージをお願いします。
昨今は人手不足のため、体力・気力・リーダーシップのある現場監督さんに巡り会うことがなかなか難しくなっています。その点、石河さんは我々がイメージする頼りがいのある現場監督さんそのものでした。施主からの信頼も厚く、現場の若い人達へのフォローもあり、現場事務所を含めた現場全体の雰囲気がとても良かったです。
また「あそこから見ると建物がこんな風に見える」とか「朝、屋根に霜が降りる、夜景はこんな感じになりそうだ」など、日々できあがっていく建築の見え方などを常に共有いただき、一緒に建築をつくり上げて行く感覚があり、現場に通うのがいつも楽しかったです。もちろん仕上がりも満足のいくもので、建設のプロセスを含めて今回の現場を石河さんにご担当いただき本当に良かったと思っています。どうもありがとうございました。
お話を伺いました。
─ 「いばらき幼稚園」で、特に印象に残っていることを教えてください。
今まで携わってきた建築物は、設計図を読み込めばある程度完成後や構造部分のイメージが思い浮かびますが、今回初めて設計図を拝見した時、構造部分納まりや屋根形状のイメージが全然思い浮かばず、正直な感想として不安しかありませんでした。そんな中、本瀬さんに模型を作っていただき、打合せを進めて行くにつれて私なりにですがイメージを掴むことができ、竣工を迎えられました。竣工間際の夕方に全ての照明をつけて、職員全員で外観を眺めた時の達成感は最高でした。
─ 石河さんの仕事上のポリシーを教えてください。
施主・設計者の想いを的確に現場の職人さん達に伝え、その職人さん達が持つスキルを最大限発揮してもらうこと。現場監督と言う職業は、建築工事のコーディネーターだと思っています。実際に現場で作業する職人さん達とは、お互いプロなので時々意見がぶつかることもありますが、大抵その後は仲良くなり協力的になってくれます。
─ 建築を学ぶ学生の方へメッセージをお願いします。
学生時代に地図に残る仕事がしたいと思い、現場監督という職に就き今に至ります。何も無い更地から建物を「創る・造る」仕事は色々な知識や経験が必要となってきますが、熱意を持って取り組めばおのずと身に付いていくと思います。
「CLASS1 ARCHITECT Vol.24」では建築家の本瀬あゆみさん・齋田武亨さんによる建材のレビューをご紹介していますので、ぜひご覧ください。