【マティル】
「Nagasaki Job Port」の床の一部やウッドデッキは、ビニルタイルによって線状の模様が描かれているのが特徴的だ。これらの模様は屋内と屋外を分断しない連続的な風景を生み出すだけではなく、空間における補助線のような役割を果たしている。例えば、作業場に引かれた横断歩道のようなストライプのラインは、線に沿って作業に使う道具や段ボールを集めたり揃えたりすることで、自然と空間を整理できるようにする狙いがある。このデザインは「日々の作業のなかでつい乱雑になってしまい、関係者が施設に見学にくる度に作業場を片付けなければならない」というスタッフの声から生まれた。「完成して2年以上経った今でも、訪れると作業場が綺麗に整理整頓されていることに驚きました。設計のプロセスを通して私たちの意図がスタッフや利用者のみなさんに伝わり、意識変革につながったことがとても嬉しかったですね」と稲垣氏は語る。
種類豊富で場所を選ばず使える
長尺の塩ビシートは下地の不陸を拾いやすいのですが、ビニルタイルはパターン張りやストライプのようにつなげて張ることもできるうえ、水回りやリビングなど場所を選ばないのでよく使っています。このプロジェクトは青をテーマカラーの一つにしていたのですが、スプレーを吹いたようなベタっとした青ではなく、かといってわざとらしい模様ではないものを探していました。また、例えば「全て白」といったような均質な床ではない、利用者や来客に歓迎される嬉しいものとしての床をつくり、それぞれの場所で違う雰囲気にしたいと考えていました。田島ルーフィングさんの製品はまず青のカラーがあったことと、マティルシリーズだけでも120種類以上の中から選べたのがポイントでした。
建材開発秘話
田島ルーフィング株式会社
芳崎淳さん
自然素材のリアルな質感を再現
マティルは、1987年に発売されたリアルな印刷意匠を有したビニルタイルです。当時、ビニルタイルは樹脂自体に着色してチップにしたり練り込んだりした抽象柄が主体だったなか、高い印刷技術によってモルタル、大理石、金属などのリアルな素材感を再現したシリーズとしてスタートしました。また、柄や色の豊富なバリエーションもマティルの特長です。今回ご採用いただいた「MBE-258」は青色の抽象柄ですが他にも多様な色相の製品を取り揃えており、床空間に鮮やかな彩りを加えます。
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マティルの特徴
大理石、ライムストーン、金属、テラゾー、ファブリックなど多様な素材を再現したビニルタイル。柄は215色、サイズは10パターンとバリエーションが豊富。
2022年3月には、新色65色が追加。国内の最新の商業施設の視察・調査や、国内外の建築・インテリア系の展示会などから流行の素材を収集し、新色・新柄の開発を行う。
ライムストーンや大理石などの定番柄を定期的にブラッシュアップ。明暗のムラを付けたり、マット感をより重視するなど、トレンドに合わせて表現を微調整している。
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