低炭素住宅を目指すなら知っておきたい。著名建築家が使用した木製サッシを比較で紹介
カーボンニュートラルが推進される今、注目したいのが木製サッシです。
木製サッシは、住宅を建てるために必要なCO2と、住宅で生活するために必要なCO2の両方を抑える有効な特徴を持っています。
①住宅を建てるために必要なエネルギー・CO2の排出を抑える
木製サッシをつくるために必要な木材は、生成過程でCO2を排出しません。
一方で日本で主流のアルミサッシは、アルミニウムから作られています。アルミニウム製造のためには、原料となるボーキサイトを電気で加工する必要がありますが、このアルミニウム製造過程では木質系材料(天然乾燥材)の1000倍以上の二酸化炭素を排出します。(ウッドマイルズ研究会 2008)
②生活を維持するために必要なエネルギー・CO2の排出を抑える
家庭内でのエネルギー使用に伴うCO2排出量のうち、暖房は冷房の約6倍を占めています。脱炭素のためには、冬の暖房稼働を抑える「住宅の高断熱化」が必要です。
木製サッシはアルミサッシよりも断熱性能が高いサッシです。木材の熱伝導率(0.12W/m・K)は、アルミニウムの熱伝導率(210W/m・K)の約1/1800にもなります。Low-e複層ガラス+木製サッシの窓を採用した場合、熱貫流率が2.33W/㎡・Kになりますが、これはJIS基準における最高等級「H-5」の基準を満たします。
このように、開口部に木製サッシを取り入れることは、脱炭素社会の実現と密接に関係していることがわかります。
しかし、木製サッシはまだまだ日本での採用例が少ないサッシ。主流のアルミサッシと比べ、木製サッシの普及率は数%程度です。木製サッシを採用しようと思っても、どのメーカーを選ぶべきか悩みます。
「木製サッシを使ったことがない」「どの木製サッシを使えば良いか悩んでいる」
という方に、ここからは CLASS1 ARCHITECT で今まで掲載した、著名建築家が採用した木製サッシを紹介します。それぞれの木製サッシの特徴を比較しながら、使用案件に合った木製サッシがわかります。
著名建築家が使用した4つの木製サッシを紹介
①Aria&Aura
「若杉モデルハウス」の開口部に使用
Aria&Auraの木製サッシは、CLASS1 ARCHITECT Vol.3で建築家SALHAUSが使用した建材として紹介しました。
Aria&Auraでは木製サッシをフルオーダーメイド。住空間に合わせた寸法で製作します。
また、完全な木製ではなくサッシの室外側にアルミ外装板を被覆させた「アルミクラッド」仕様が特徴。木製ならではの腐食やメンテナンスの課題を解決します。「メンテナンスに手間をかけたくない」という方におすすめの木製サッシです。
Aria&Auraを使用したSALHAUSのコメント
②curationer
個人別荘「清里のグラスハウス」の開口部に使用
curationerは、株式会社山崎屋木工製作所が作る木製サッシ。CLASS1 ARCHITECT Vol.4で建築家SUEP.が使用した建材として紹介しました。
curationerは、日本では珍しいCNCルーター機を使用して加工された木製サッシ。精度の高さが特徴で、地域特性に合わせて窓性能を分析し、年間電気料金などの算出も可能です。
木材には、山崎屋木工製作所がある長野県産の唐松を使用しています。サッシ生産までの輸送エネルギーが少ないという点で環境に優しい木製サッシです。
curationerを使用したSUEP.のコメント
③川上製作所
「須賀川市民交流センター tette」のサンルームに使用
川上製作所の木製サッシは、CLASS1 ARCHITECT Vol.7で建築家畝森泰行氏が使用した建材として紹介しました。
川上製作所は100年前から建具製品を扱っているメーカー。川上製作所の木製サッシの殆どが、防火認定を取得しています。木製の自動扉やカーテンウォールなど、窓サッシに限らない用途にも対応が可能です。
川上製作所の木製サッシを使用した畝森氏のコメント
④夢まど
夢まどは、株式会社アルスが作る木製サッシです。CLASS1 ARCHITECT Vol.16で建築家川島範久氏が使用した建材として紹介しました。
夢まどの特徴は、優れた気密性能です。窓を閉める際に障子を窓枠に引き寄せる「エコスライド」仕様によって、気密性能が下がりがちな木製引き違い窓・片引き窓でも通常の4倍以上の気密性能を確保できます。また、規格品はすべて防火認定を取得しています。
大きな引き違い窓の気密性が気になる方におすすめです。
株式会社アルスの木製サッシを使用した川島氏のコメント
著名建築家が使用した木製サッシを詳しく見てみませんか?
CLASS1 ARCHITECTでは、著名建築家が実際に使った建材を独自取材で紹介しています。
この記事で取り上げた木製サッシも、建築家のレビューやメーカーの開発秘話を合わせて掲載しています。今回の記事で気になる木製サッシがある方は、ぜひ本誌の記事もご覧ください。