【タイル】
水野製陶園は創業以来さまざまなタイルを製陶しており、依頼者のニーズに合わせてものづくりをする姿勢が、多くの建築家から絶大な信頼を得ている。「toberu」では外壁と中庭、キッチンに水野製陶園のタイルが使われているが、使用するタイルによってその表情もまったく異なる。外壁は紫や茶色など複数の色のタイルを使うことで生き物のような生命感が生まれ、中庭のタイルは濃い青とスカイブルーのグラデーションによって宇宙のような広がりを表現。平面でありながらも奥行きを感じさせるタイルが生まれた。
水野さんがつくるタイルは一つひとつがパーツというよりも焼き物の作品のように質感があるんです。「こんなタイルがほしい」と依頼すると実験のように技法を組み合わせていくのも水野さんならでは。建築家と一緒にものづくりをする関係がいいなと思い、さまざまなプロジェクトでご一緒しています。
建材開発秘話
京都ならではの雰囲気を感じられる建築
「toberu」で求められたのは、「京都の薄暗い喫茶店のようなイメージ」でした。僕と大西さん、百田さん、そしてテキスタイルを担当した森山さんは歳が近く、ほぼ同時期に京都で学生時代を過ごした仲間。そのような「京都ならではの雰囲気、豊かさ」も全員が共感できました。皆でイメージを合わせながら、「toberu」をつくっていけたのは楽しかったですね。
「動物感」「宇宙」を表現するために
「動物感を出したい」とオーダーされた外壁のタイルは、表面をスクラッチすることで動物の毛皮をイメージしました。ムラが出やすい「還元焼成」という方法で焼いており、それもタイルの醸し出す動物感につながっています。中庭のタイルは、深みと透明感がある黒い釉薬の上に、コバルトを化学反応させた青色を表面に定着させて宇宙らしさを表現しました。
建築家とともに、新たな焼き物を生み出す
この仕事を通して思うのは、建築家さんは皆ものづくりが好きで、良いものをつくりたいと思っている方々ばかりだということ。そのような方々が色々なアイデアを持ちこんでくれて、一緒につくっていけることは本当に面白いです。焼き物は木や石と同じように古くから親しまれてきた普遍性と自由度のある素材のひとつです。「焼き物で何かやってみたい」と思ったら、ぜひ一度相談していただけると嬉しいです。
株式会社水野製陶園の特徴
陶土や釉薬など、タイルに必要な原料から生産。完全な機械生産ではなく適度に手作業が入るため自由度が高く、建築家の細かな要望にも対応できる。
現在、会社の一部門として「水野製陶園ラボ」を設け、アーティストとのコラボレーションや陶壁の製造など新領域を開拓し続けている。
今までにない技法や素材を試し、次々に新たなタイルを製作。「toberu」の2号館では、泥を表面に定着させ釉薬をかけた、土壁のようなタイルに初挑戦する。
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