人と自然との関係を構築する SUEP. の住まいの考え方に迫ります。
清里のグラスハウス

光射し風そよぐ、自然と共生する別荘

山梨県・八ヶ岳の南麓に位置する清里高原は、夏場でも30度を超えないことから、避暑地として有名な場所である。今回ご紹介する「清里のグラスハウス」は、2018年に完成した個人別荘。標高約1,100mの場所にある清流沿いの細長い敷地に建築された。

効率的に自然エネルギーを取り込み、少ないエネルギーで暮らすライフスタイルを提案しているSUEP.。プロジェクトでは、敷地特有のポテンシャルを探ることから始まる。今回も設計にあたりSUEP.の末光氏は現地に赴き、年間の太陽や光の動き、風向きを綿密に調査。年間を通して気温は低いが日照量が多いという気候と、敷地の側を流れる小川の下流側から涼しい風が吹き込む特性を活かし、ガラス屋根の温室を持つ住宅を設計した。

屋根のガラス面に太陽が当たるのは朝から昼過ぎまで。その時間帯の光を蓄熱できるよう、温室の床は土で仕上げた土間になっている。屋根は断熱性を持つLow-eペアガラスと特注のガスケットを使用することで、取り込んだ熱が外に出ていかないような配慮もなされている。夜は冷え込むため、個室部分の建具を閉じることでコンパクトな空間に。自然のエネルギーを存分に享受しつつ、電気やガスなどのエネルギーはできるだけ少ない量で過ごせる「環境配慮型住宅」となった。

設計に際して、「清里のグラスハウスでは自然の一部として暮らす体験をしてもらいたい」と考えた末光氏。季節のうつろいを感じながら、気持ちの良い光を存分に浴び、子どもたちが裸足で駆け回る。人と自然が一体化した暮らしがここでは実現している。

清里のグラスハウス
清里のグラスハウス

所在地 / 山梨県北杜市
設計 / 末光 弘和 + 末光 陽子 (SUEP.)
撮影 / 中村 絵
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