自由に暮らし、自由に働けるかたちをつくりだす建材
五本木の集合住宅

「住む」と「働く」を横断し、心地よい環境を生み出す空間

東京都目黒区の閑静な住宅地に建つ「五本木の集合住宅」は、この建物を設計した仲俊治氏・宇野悠里氏のスタジオ(仲建築設計スタジオ)兼住宅と賃貸住宅が2戸という3つのユニットからなる長屋である。もともと「住む」と「働く」空間をまぜることに興味があったという仲氏。住宅という閉じられた空間だけではなく、「住む」と「働く」をシームレスに行き来することによって外とのつながりが生まれ、「常に街の気配を感じることができる」と宇野氏も語る。夕方になると近隣の子どもがふらっと遊びに来るなど、以前にはなかった新たなコミュニケーションも生まれている。

「住宅は機能論やシステム論ではなく、気持ちがよくないと暮らせない。『心地よい』という動物的な感覚を支えるには、環境的な配慮が必要だ」と語る仲氏。仲建築設計スタジオではエコロジカルなプロジェクトも数多く手掛けており、「五本木の集合住宅」にも環境に配慮したつくりが取り入れられている。

その一つが、エントランスの前に設置したグリーンルーバー。立体的な花壇によってクールスポットが生まれ、夏でも暑すぎず、窓を開けるとさわやかな空気が入り込む。また、グリーンルーバーは目隠しになる一方で外部とつながる中間領域の役割も果たしており、地域の人たちと植えた草花について話が弾むこともある。

もう一つが、外観で目を引くギザギザの屋根。それぞれの屋根の間にある谷樋が小分けに雨を集める装置になり、溜まった雨水を打ち水や、グリーンルーバーの水やりにも使うことができる。

心地よく暮らせる小さな工夫を取り入れながら、「住む」と「働く」をゆるやかに行き来する、「五本木の集合住宅」。そこには外とつながりながら持続可能な暮らしを実践する、新たな住宅の可能性に満ち溢れていた。

五本木の集合住宅
五本木の集合住宅

所在地 / 東京都目黒区
設計 / 仲 俊治 + 宇野 悠里 (仲建築設計スタジオ)
撮影 / 鳥村 鋼一
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