「Triton」は独特な形状の外壁に斑（ふ）の入ったパネルが貼られ、リシンの吹き付けによって迷彩模様を生み出している。松島氏が採用したECORIAL STONE VEは、天然石に厚さ1mmのFRPが裏打ちされているパネルで、加工のしやすさと高い追従性を誇る。「パネルと吹き付けをランダムに織り交ぜ、グラデーショナルに切り替えることで、建物の形状が曖昧になる外観を目指しました」と松島氏。今回選んだパネルは印象的な斑が強く入っているほか、芋目地貼りでも馬目地貼りでもない不規則な割付にすることで、さらに見たことのない風貌をつくり出している。「Triton」が位置する豊中市は、洗練された住宅街でありながらも豊かな自然が残る多様性のあるまち。豊中の今を象徴するように佇む、ここだけにしかない独特のファサードは、見る人に大きなインパクトを与える。

追従性の高さと加工のしやすさ

多面体かつ曲面をもつ「Triton」の外壁に追従できるような仕上材を探していたところ、担当スタッフがリサーチの中でこの建材を見つけてくれました。何といっても、天然石でありながら簡単に曲げられる追従性の高さや、カッターでも切れる加工のしやすさに驚きましたね。この建材の「斑」は一見強烈なインパクトを与えますが、その表情が良い意味で建物の強いフォルムとケンカし合うことで、建物のピントをいろいろなところに合わせられる素材だと思い採用しました。端材は建物のあらゆる箇所に再利用しており、歩留まりによる無駄も出ません。しかも航空便で運べるので、輸送コストやエネルギーが少ないということも大きな決め手となりました。

積層石が見せる力強い模様

ECORIAL STONE VEを知ったのはヨーロッパの展示会です。重たい天然石材が極薄シート状になっていることにとても驚き、日本でも広めたいと思い取り扱いを始めました。今回松島さんに採用いただいたのは「インディアン オータム」。積層状の天然石で、地層のダイナミックな模様を感じられます。ECORIAL STONE VEは表層にコート材を塗布しており高い耐久性を持っているため、「Triton」のように外装にも問題なくお使いいただけます。

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