松島潤平氏が紹介する信頼できる現場監督
建築は、建築家を中心に、構造家・CADオペレーター・職人といった、さまざまな方々の協力によって成り立っています。今回は建築家の松島潤平氏に、信頼している現場監督の方をご紹介していただきました。
─ 松島さん、信頼している現場監督を紹介していただけませんか?
株式会社コハツの本田大一(ほんだ だいいち)さんを紹介します。
「Triton」の現場監督を担当していただきました。
〒658-0022
神戸市東灘区深江南町2丁目12-8
TEL:078-452-5388
─本田さんと知り合った経緯を教えてください。
関西の案件は「Triton」が初めてだったので、関西のいろいろな建築家さんに「どの工務店がいいか教えてください」とリサーチをしたんです。すると多くの方がコハツさんを挙げられたので、依頼することにしました。
結果、評判通り素晴らしい建築に仕上げていただきました。「Triton」をはじめ、建築業界には利益率よりも「やっていて楽しい」と思わないと絶対に手を出さない領域というものがあると思います。コハツさんはその領域に踏み込んで仕事をされる工務店なので、頭が下がりますね。同期や後輩の建築家から関西の案件について相談を受けたら、コハツさんを紹介しています。
─本田さんとの仕事で印象深かったことは?
「Triton」では、こちらの設計指示以上の防水施工等を自主的にしていただきました。「意匠設計を尊重して口出ししない」というスタンスではなく、逆提案をしていただけるのはむしろありがたい。そこに依存しすぎてもいけませんが、私としては意匠設計にもどんどん口出しをしてほしいのです。そうした緊張関係があるからこそ本当におもしろいものができるので。本田さんは、こちら側に踏み込んできてくれる積極性をもった方で、現場監督というよりコラボレーターだと思っています。
また、休暇時には弊社の担当スタッフが本田さんに渓流釣りに連れて行ってもらったりと、良いアニキ分として人生を教えていただいたようです。
─ 松島さんから本田さんへメッセージをお願いします。
「Triton」は現場の雰囲気がとても良く、東京から監理に向かうことがいつも楽しかった記憶があります。もちろん色々と厳しい局面もありましたが、本田さんのお人柄による温かな空気感が現場全体に漂っており、無事に乗り越えることができました。
現場を離れても、うちの担当スタッフを遊びに連れていってくれて深いコミュニケーションを取っていただいたことも感謝しております。とても幸せな現場で学ぶことができて、設計者としても、ひとりの人間としても、彼は幅広く奥深く成長したなぁと感じています。正直うらやましかったです(笑)。
関西の心強いコラボレーターとして、またご一緒にお仕事できる機会を楽しみにしております!今後ともよろしくお願いいたします。
お話を伺いました。
─「Triton」で、特に印象に残っていることを教えてください。
外装において、天然石パネルにリシンを上から吹き付けるという施工は当社でも経験がありませんでした。そのため、依頼をいただいた時はどのような仕上がりになるか想像できなかったのが正直なところです。
実際に松島さん立ち会い指示のもとでリシン吹き付け施工をさせていただき、仕上がりを見た時は、驚きと同時に感銘を受けました。道行く人々も皆さん足を止めて「すごい!」と見入っておられ、言いようのない高揚感があったのを覚えています。
─本田さんの仕事上のポリシーを教えてください。
一つの物件が完成・お引渡しさせて頂いた時にお施主様、設計者様、工務店、職人の皆さんが全てにおいて納得して満足できるように心掛けています。お引き渡し後「建具がスムーズに動かない」や「床板がきしむ」などの専門分野の対応は当然として、お施主様の家庭内の悩みなど、建築とは関係のないこともよく相談されます。
相談にのる際には、自分の生い立ちなどをお話させていただくこともありますね。要は、コミュニケーションをたくさんとることで信頼関係を高めています。
─建築を学ぶ学生の方へメッセージをお願いします。
「建築」にはいろいろな携わり方があります。設計、職方、現場監督、建築資材配送等、数えきれないほどです。携わり方によっては向き・不向きもあると思うので、「この仕事がやりたい!」というものがあれば実際にアルバイトなどを通して何でも経験してみることが大事です。
そのなかで選択し、経験を積んで「この道を選んでよかった」と思うことができれば良いのではないでしょうか。
「CLASS1 ARCHITECT Vol.20」では建築家の松島潤平氏による建材のレビューをご紹介していますので、ぜひご覧ください。