LOCAL建材 – 建材としての「和紙」

新たな地域建材と出会う、見つける。
和紙ソムリエ 杉原 吉直
越前市

福井県

越前は、冷たく清らかな湧水に恵まれた地域。紙漉きに最適なその環境から、越前に和紙づくりが根付いたといわれる。

杉原 吉直 Yoshinao Sugihara

1962年福井県越前市生まれ。株式会社杉原商店代表取締役。世界中に和紙を普及すべく、お客様の要望に合った和紙を提案する「和紙ソムリエ」として活動。

数名の職人が声を掛け合い、皆で大きな和紙を漉く

"和紙 × 建材"の可能性

高度経済成長期('54~'73年)、杉原商店は和紙の問屋として襖紙をメインに取り扱っていました。当時、襖紙の需要はとても高かったのですが、時代の変化に伴いその需要は徐々に低迷。和紙の売れ行きも陰りを見せる一方でした。そこで私はオリジナル商品の開発を決意したのです。ところが、売り先を定めることなく製造してしまったため、初めはただ闇雲に売り込みを行っていました。そんなとき、知人からIPEC(インテリアの国際展示会)への参加を勧められ、出展することにしたのです。ここでは様々な建築家さんとの出会いがあり、これを機に仕事がどんどん増えていくようになりました。この体験により、私は”和紙×建材”の可能性を肌で感じることができたのです。

オーストラリアの日本食レストランで間仕切りとして使用された越前和紙

多様な職人から生まれる越前和紙

越前和紙づくりの特色は、複数の職人の技術を集結させて制作していることですね。中でも越前は和紙の産地として、とても規模が大きい。それは、他の産地と比べ職人の数が圧倒的に多いためです。そしてこの地には「紙漉き」だけでなく、「型作り」「裁断」「貼り合わせ」といった工程にも専門の職人が揃っている。だから越前では、紙漉きからパッケージという一連の作業が効率よくできるうえに、一般的に難しいとされる特殊な和紙も制作できるのです。例えば、長さ10mの巨大和紙、これは大型和紙づくりを得意とする職人が協力し、皆で息を合わせながら豪快に制作します。そういった多用な職人が集まる場所だからこそ”産地”となり、多面的な和紙づくりができるのだと感じています。

和紙の新しい姿

お客様から「和紙でこういうものを作れないか」と相談をお受けしたとき、その要望に合った職人に声を掛けます。こうしてお客様の要望と職人のマッチングを行うことが杉原商店の役割だと思っています。和紙とは襖や障子に使うもので、”現代ではあまり使い道がない”と思っている方も多いと思うのですが、実際は様々なデザインをつくることができる。それに和紙は光との相性も良く、演出の幅も広いため、世の中に定着しているイメージだけでなく、モダンで近代的な感覚が表現できる。そうした和紙の魅力を建築を通して更に伝えていければと考えています。そしてそれを見た建築家さんに、越前和紙の建材としての可能性を感じていただけたらとても嬉しく思います。

株式会社杉原商店
〒915-0235
福井県越前市不老町17-2
TEL : 0778-42-0032
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