MATERIAL
手づくりにかける情熱
【オーダーメイドタイル】

オーダーメイドタイル

まず職人が、選んだ土をところてん式に型から押し出し、一つひとつ手でテクスチャーをつける。そしてそれを窯で焼いていくという、とても手間がかかる作業を経てつくられるのが、このオーダーメイドタイルだ。時代と共に機械化が進むなかで、今もなお、職人が手作業でタイルをつくるということは非常に珍しい。また製品だけでなく、色サンプルまでもが手作業であるというから心底感心してしまう。一般的なタイルメーカーであれば、機械生産の既存品から製品を選択することが多いが、織部製陶では一つの製品に対し、色味の調整や土の配合など細かいオーダーに対応するというスタイルを貫いているのだ。その手づくりにかける情熱が、これからも受け継がれていくことを願いたい。

人と自然が生み出す価値

タイルの状態が分かるのは、窯から出てきたとき。焼きの風合いに留まらず、季節によって色合いに変化が生じる等、タイル一つひとつが違う表情を持っている。つまり、このタイルには自然の力が込められているのだ。こうしたタイルの敷き詰めを見たときに、全体によいムラが生じ、素材感とデザイン性が生まれる。これは機械的にできるものではなく、人と自然の共同作業だからこそ、できることなのではないだろうか。良質な天然素材と職人から生まれる絶妙な共作を、是非体感していただきたい。

小堀さん、なぜこの建材を採用したのですか?

NICでは、吹き抜けにすることにより、天井から差し込んだ自然光が大きな壁を伝って1階まで降りて来るようなイメージで設計しました。あくまで自然と共存できるような空間づくりを考えていたので、壁も人工的なものではなくて、自然的な素材で光を取り込みたかったんです。そこで、織部製陶さんの手づくりをメインとした、温かみのあるタイルを取り入れました。

メーカーさんへ聞いた
建材開発秘話
織部製陶株式会社
古澤 竜男さん

オーダーメイドから生まれる”織部らしさ”

織部のタイルのほとんどが、手作業のオーダーメイド品です。それには理由があって、設計者や施主のイメージをゼロからイチへと形にすることで、その建築だけに合った「ただ一つの素材」を生み出したいという想いがあるからです。「これは手作業だからこそ、叶うことではないだろうか」と、機械化とは逆の手作業に重きを置きました。絶妙な色の配合や、焼きが生むタイル1枚1枚の素材感や味のある色ムラには、職人の人間味が滲みます。それらのタイルが敷き詰められたときに、建築物の個性として独特の風合いが醸し出されるのが織部らしいなと感じています。

色合い調整における工夫

タイルは「焼きもの」であるため、理想の色に確実に仕上げていくのはすごく難しいんです。今回のNICでは、黄みを除いたベージュグレーという要望を受けていたのですが、実際に焼いてみると、どうしても黄みがかったものが出てきてしまう。こうしたものをどれだけ要望に近付けられるか。その歩み寄りに、職人の試行錯誤が詰まっています。例えば、色の原料調合にも工夫が必要なのはもちろん、窯に入れる際のタイルが詰まれた台車の位置なども関係します。タイルの色味の変化は些細なことからも影響を受けるので、本当に繊細なんです。だからこそ、織部の職人にとっては、焼く環境により色味がどう変化するのか、個人の経験と想像力が最も大事になってくると思います。

経年変化を風合いに変換するタイル

一般的に、塗装や吹き付け仕上げの外壁は劣化してしまうのですが、タイルには耐候性があり、何年経っても色の変化がないのが特徴です。そのため、タイル自体は比較的、外壁に適した素材であると感じています。特に織部のタイルは、焼きものであることに加え、面状の荒いハンドメイド加工が施されていることで、味わい深い風合いをも感じられます。そして、それらは長い年月を重ねた状態で、タイル自体のビジュアルをほぼ損なうことなく、風合いを保てるといえます。織部の強みである手作業から生まれた特色は、一般的に行われるメンテナンスの必要性を低めることに繋がるのではないかと感じています。

織部製陶株式会社

〒160-0008
東京都新宿区四谷三栄町2-5 Eフラットビル1F
TEL:03-3359-9461
FAX:03-3359-9450
www.olivebricks.co.jp

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