【カーボンコート】
「清里のグラスハウス」の居住スペースとなる個室は、壁と天井をすべてカーボンコートで仕上げている。洞窟のような風合いを出すべく、コンクリートに近い素材を複数検討しているなかで、このカーボンコートを採用した。自然素材の質感を追求しつつ、耐久性も兼ね備えたSUEP.こだわりの素材となっている。
「機械化や工業化が進むと素材は人工的で均質になっていくが、手触りやムラを表現していくことが価値に繋がる」と末光氏は語る。本来、仕上げ材を塗る時はムラが出ないよう塗るのが業界の常識と言われているが、「清里のグラスハウス」ではわざとムラがでるように塗装。カーボンコートの炭素繊維は塗るたびにコテの方向に塗り目が変わるため、建物全体に独特の風合いが生まれている。
カーボンコートのムラが気に入りましたね。ペンキやクロスはのっぺりした印象になってしまうため、これらに代わる素材をいくつも検討しました。はじめは漆喰も考えていたのですが、「より洞窟っぽい質感を表現するならこちらだね」と施主さんとも意見が一致。木との相性も良く、建物の断熱性も損なわない素材なので、とても気に入っています。
建材開発秘話
負荷がかかっても割れない素材
カーボンコートは炭素繊維を使用した塗材です。左官材料というのは継ぎ目で割れやすいという欠点があるため、石膏ボードの継ぎ目に負荷がかかっても割れにくい耐久性のある下地材として開発しました。特に漆喰は外装にも使われる材料だったので、外にも使えるよう改良。さまざまな実験を重ね、職人さんの声を取り入れながら施工のしやすさを追求しました。おかげさまで取引先の建材店からも「非常に使いやすい」という声をいただいております。
水で練るだけの下地材
外装の塗材は強度と耐水性を担保するため、粉と液体ボンドを混ぜて使うものがほとんどです。現場で調合するため、材料の入れ忘れや品質にばらつきが出ることがこれまでの課題でした。そこで、カーボンコートを外装材として使う際も、「水で練るだけ」で完成するものにしようと改良。原料の検討や、液体ボンドと同等の耐水性や強度を持つ粉末ボンドの比較試験など、約2年の歳月を重ねリニューアルしました。万能型の下地剤としてお客様からも好評をいただき、販売数も伸びています。
仕上げ材として使う新しい用途
「清里のグラスハウス」では、カーボンコートを下地材ではなく、仕上げ材として使っていただきました。我々にとっては想定外の使用方法でしたが、カーボンコートは湿式の材料をベースに作られていますので、仕上げ材として使っていただいても全く問題ありません。あえてムラを出す塗り方も、本来下地材であるカーボンコートならではの良さが出たのではないかと思います。色や仕上がりの感じもコンクリートに近い風合いになるので、我々にとっても大きな発見でしたね。
シンコーと「カーボンコート」の特徴
炭素繊維と特殊粉末樹脂の配合により、耐久性が高く、ひび割れを抑制する効果があり、壁面全体の強度に優れた性能を発揮。
水を混ぜるだけで、内装にも外装にも施工が可能な万能型の塗材に変化。コテ切れが良く乾燥も早いため、工期の短縮が図れる。
建材の製造、卸、建築・土木工事の事業を行うシンコー。現場の声をいち早く活かす開発体制があり、日々製品のアップデートを進めている。
[本社] 〒550-0015
大阪府大阪市西区南堀江4-30-28
TEL:06-6541-5755(代)
FAX:06-6541-8797
http://www.shinko-kenzai.com/