暮らしに独自の動きをもたらす建材
写真家のスタジオ付き住宅
心地よい緊張感を楽しむ森のなかの住宅
群馬県下仁田町の森のなかにある「写真家のスタジオ付き住宅」は、名前の通り写真家のための住宅である。「Y」の形をした独特の形状は、この場所で佇む樹齢150年のヤマザクラやカエデ、クリなどの大木を切らず、美しい風景のなかに建物を滑り込ませようというコンセプトから生まれた。森の分布を調べると、木には勢力範囲があり、それを見極めながら森を3つのエリアに分ける3枚の「背骨壁」をつくっている。建物の一番の特徴は、この3つのエリアが「立つ」「座る」「じっとする」という所作に応じて分けられていること。360°美しい風景をおりなす森のなかで、「緊張感を保ちながら暮らしたい」という、施主の要望が取り入れられている。建物は中心に向かうにしたがって高くなり、光に包み込まれるような感覚になる。また、背骨壁の構造から、各部屋に移動する際は必ず建物の中心を経由しなければならないようになっており、移動動線も森の変化を楽しむ一役を担っている。
写真家のスタジオ付き住宅
所在地 / 群馬県甘楽郡
設計 / 仲 俊治 + 宇野 悠里 (仲建築設計スタジオ)
撮影 / 鳥村 鋼一(上1枚目)・仲建築設計スタジオ(上2枚目)