MATERIAL
無限の表情と唯一の存在感を持つ銅板
【発色銅板】

最上階のラウンジでは、キッチンカウンター(左奥)や内庇の小口(右上)にモメンタムファクトリー・Oriiの銅板を使用している

「REVZO虎ノ門」の内部には、随所に日本の伝統的な技術や文化に基づいてつくられた建材が用いられている。その一つが、エントランスホールやラウンジに室内装飾のアクセントとして使われている銅板だ。これらは富山県高岡市にある有限会社モメンタムファクトリー・Oriiが、高岡のまちで400年もの歴史を持つ高度に発達した鋳造技術を礎に、自社で独自に培ってきた金属への着色技術によって生み出している。着色といっても塗装とは異なり、銅の腐食性を利用し、薬品や熱を加えて発色させる。しかも伝統的な高岡銅器の着色法では不可能とされてきた1mm以下の極薄の銅板を発色させる技術は、無数の試行錯誤の末にその方法を見出したこの工房にしかない。金属と職人との間に奇跡的な瞬間が積み重ねられて生まれた錆や腐食がつくり出す無二の表情は、「REVZO虎ノ門」の空間にも独特の空気感を添え、愛着の起点として機能している。

川島さん、なぜこの建材を採用したのですか?

素材のストーリーを伝えたい

インテリアにおいて私が大事にしているのは、デザイン性や素材感だけではなく、誰が、どこで、どのようにしてそれをつくっているのかが分かるものをできるだけ選ぶということです。また、高岡や会津など゙日本には日本の伝統技術や文化が残っており、それをいかに現代の社会で価値をつくり出すかに懸命に取り組んでいる人たちがいるところを応援したいとも考えました。この銅板は、そのような考えのもと選んだ素材のひとつです。また、エントランスホールのデジタルスクリーンに映し出される家具と素材の産地の風景・工房の映像は、その背後にあるストーリーやネットワークを建物の利用者にさりげなく伝えるための工夫でもあります。

メーカーさんへ聞いた
建材開発秘話
折井 宏司さん

建築と調和する発色銅板の魅力

川島さんには当社にお越しいただき、さまざまなサンプルをご提案させていただく中で、当社の発色銅板の中でもあまり強烈な色味を主張しない筋目茶褐色や荒し色、真鍮黄華色を採用いただきました。これらは特に繊細な色なので、薬品処理してからの変色も激しく、色や斑模様のバランスを調整することに大変神経を使いました。多くの方に銅や真鍮の発色の魅力を感じていただき、建築と調和できる素材としてスタンダードになっていくことを願っています。

有限会社モメンタムファクトリー・Oriiの特徴

1.金属素材に新たな表情を生む着色

昭和25年の創業以来、高岡の伝統技術を継承し多様な鋳造品の着色を行う。金属の腐食・錆びを人為的に発生させることで独特の発色と風合いを生み出す。

2.1mm以下の銅板を発色させる技術

独自に開発した低温焼き付け技術により、1,000度以上の高温で焼く伝統技法では成し得なかった1mm以下の銅板の発色に成功。製作の幅をさらに広げた。

3.インテリア雑貨の開発・販売も

金属の繊細な発色技術を用いて装飾用建材やインテリア雑貨を製作しホームページで販売。繊細なデザインで日常に溶け込む雑貨ブランド「tone」も手掛ける。

有限会社モメンタムファクトリー・Orii

〒933-0959
富山県高岡市長江530
TEL:0766-23-9685
FAX:0766-23-9696
MAIL:info@mf-orii.co.jp
www.mf-orii.co.jp/

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