島田陽氏が紹介する信頼できる現場監督
建築は、建築家を中心に、構造家・CADオペレーター・職人といった、さまざまな方々の協力によって成り立っています。現場監督もまた、建築に欠かすことのできない存在。
今回は建築家の島田陽氏に、信頼している現場監督の方をご紹介していただきました。
─ 島田さん、信頼している現場監督を紹介していただけませんか?
「株式会社 アンドエス」の國岡秀匡(くにおか ひでただ)さんを紹介します。
〒577-0005
大阪府東大阪市七軒家19-45
TEL:06-6744-9885
FAX:06-6744-9886
http://and-s.co.jp/
─アンドエスさんに依頼した理由を教えてください。
「京都みなみ会館」のクライアントである映画館の親会社から当初挙げられた工務店の候補はゼネコンだったのですが、独自路線を貫く関西指折りのインディペンデント系映画館の空間づくりには、ともに細部に至るまで工夫し挑戦していける施工者と進めることが必要だと思い、アンドエスさんを我々から推薦させていただきました。
なかでも國岡さんは気心知れて設計者以上の目線で細部の美しさを追求してくださる監督さんですので、無事担当していただけることになって助かりました。
─「京都みなみ会館」の現場で印象深かったことは?
納期や費用、安全性の問題などから、どうしてもあらゆることを「抑える」立場に立つのが現場監督だと思います。これは、大きなプロジェクトになればなるほど意識せざるを得ないことだと思います。
しかし國岡さんは、仕上がりの1か月前という段階でも、「これはどうしますか?それなら、こうしたほうがいいですね」などと積極的に提案してくださったので楽しかったです。本当に果敢に、粘り強く一緒に考えていただきました。
─ 島田さんから國岡さんへメッセージをお願いします。
いつも厳しい予算の仕事ばかりで申し訳ありません(笑)。そんな中でも諦めず、図面の意図を超えて更に良くなるよう、我々も驚くような提案をし続けてくださる國岡さんのポジティブな姿勢にいつも学び、励まされております。
我々の仕事は、予算や要望にもまれて妥協しつつも、それを工夫の連続でより良いものに洗練させていくことなのですが、國岡さんとともに進めるのは心強いです。今後ともどうぞよろしくお願いします。
お話を伺いました。
─「京都みなみ会館」の現場を担当された当時のエピソードを教えてください。
まず、島田さんから本案件のご連絡を頂いた時「あの京都みなみ会館ですか?」と聞き返したことをよく覚えています。これまで様々な案件に携わらせて頂き、ビルのリノベーションの経験はありましたが、“あの京都みなみ会館”を担当することになったのは驚きました。
また、既存部の解体工事が終わったスケルトンの大空間の真ん中で、「オレ映画館やるんやなぁ」と武者震いしたこともよく覚えています。
─國岡さんの仕事上のポリシーはなんですか?
細部に至るまで品質の高い空間をつくることは、私一人の力では限界があります。そのため「現場の空気」に最も気を使います。
現場の花形である職人さんたちが、気持ち良く、楽しんで働ける現場の空気。設計者さんとも勿論ですが、職人さんとも対話する事を心掛けています。信頼関係を築き、呼吸と歩を合わせ、一体感のある空気をつくることで、その職人さんの能力を引き出し、知識や経験を活かしてもらうことが、品質の高い仕事に繋がると考えています。
時には上手くいかないこともありますが、そんな状況下でも、冷静さと笑いを忘れないことです。
─建築を学ぶ学生の方へメッセージをお願いします。
建築やものづくりに限らず、その場所に行き、体験する事が大切だと思います。画面や写真からは感じる事ができない、空気感や匂いを、色んな角度や視点で見て、自分なりに考える。それを繰り返し行う事で、おのずと力が付いてくると思います。
─最後に、当社のガラスについていくつか伺います。
─「夜景専用ガラス TEIEN( 庭園 )」をご存知ですか?
ガラス表面に施した特殊な多層コーティングにより、通常の透明ガラスよりも反射率を大幅に抑えた低反射ガラス。窓への映り込みを大幅に抑え、カフェやホテル、レストランなど「窓外に広がる美しい庭園、景色を限りなく自然に再現したい」場所にピッタリです。
TEIENは知りませんでした。低反射ガラスは時計店やジュエリーショップなど、対象を限りなくクリアに見せたい時に使うので、同じような使い方ができそうですね。
─「カラーガラス ラコベル」を使ったことはありますか?
ラコベルは、日本の高い生産技術とヨーロッパの色彩センスを取り入れたAGCのカラーデザインガラスです。
カラーガラス自体はたまに使います。例えば、キッチンカウンターの腰壁の部分などですね。あとは、シャワールームの壁。
ミラーほど映りこませたくはないが、透け感により狭い空間を広く見せる意味合いで使うのも良いと思います。
「CLASS1 ARCHITECT Vol.12」では建築家の島田陽氏による建材のレビューをご紹介していますので、ぜひご覧ください。